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プロの翻訳者になるためには、トライアルを突破する必要がありますが、そもそもトライアルとは何なのか。
そして、このトライアルに突破してプロの翻訳者になるには具体的にどうすればいいのかについて、誤解している方が非常に多いです。

そこで、プロの翻訳者としてのキャリアをスタートさせるために、避けては通れないトライアル突破法についてお話ししたいと思います。

翻訳者になるためのトライアルとは何か

トライアルとは、翻訳会社が受注した案件を任せられる人かどうか、つまり、一定レベルの品質水準を満たす
翻訳者かどうかを判定するために、各翻訳会社が応募者に課す試験問題のことです。

会社毎に実施するという意味では、入社試験と同じようなものです。
なお、このトライアルを「特許事務所」や「クライアント」が直接実施する場合もありますが、
ここでは実施主体が「翻訳会社」である場合を前提にお話したいと思います。

巷では、ある「認定試験」に合格したら、どこの翻訳会社も無試験で仕事が受注できるような謳い文句で、
受験者の募集をかけている認定試験運用会社もあるそうですが、現実にはそのような試験合格者を
無試験で受け入れている翻訳会社はほとんどありません。

あくまで会社ごとにトライアルを受ける必要があるのであり、会社ごとに個別のトライアル対策が必要となってくるのです。

トライアル対策のやり方

各翻訳会社ごとにトライアルを突破する必要がありますから、傾向と対策も当然、「応募先ごと」に研究する必要があります。
産業翻訳中心なのか特許翻訳中心なのか、特許翻訳中心であっても、化学中心なのか機械中心なのか、それとも
バイオ中心なのかによって対策が異なってくるはずです。

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例えば、自分の専門が「化学」なのに、わざわざ「機械」専門の翻訳会社のトライアルに応募することは普通ないと思います。

しかし、それでもあえてそういう応募をするのなら、それ相応の理由があるはずです。
例えば、「翻訳案件が大量にある」「翻訳レートが平均以上」「大学時代の専攻は化学だが機械メーカーに就職し、
機械系の研究開発に従事してきた」「趣味で自動車のエンジンいじりをやってきて特にその分野に詳しい」等です。

それらの理由がないのに闇雲に応募書類を送りつけても、相手はその分野の知識が応募者にはないと判断して、
相手にしない可能性が高いです。

トライアルを突破するために意識すべきプロセス

まずは、トライアルを突破するために必要なステップを整理しましょう。ある「料理」を作ろうと思ったら、
おそらく以下のような手順を踏むと思います。

料理に必要な「材料」が手元にあるのか調べ、もし不足する材料があればそれを揃えます。
さらに、料理する道具も必要ですし、レシピも必要です。これら全てが揃っていることを確認して
料理スタートです。トライアルもこれと同じです。

どの分野で応募するのか、応募する分野の案件が多そうな翻訳会社はどこか、
過去にどのような問題が出されているのか、その分野の知識が十分か、
翻訳作業に必要な翻訳環境(ハードやソフト)が揃っているかなどを確認します。その上で、
応募書類(CV)を完成させ、メールライティングのお作法に則って、翻訳会社にトライアルの応募をします。

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送付後は、相手からトライアルが送られてくるのを待ちますが、しばらく経っても連絡がなければ、
応募先を増やすCVを見直して相手にとってより魅力的な応募者であることをアピールします。

トライアルが送られてきたら、納期までに課題を完成させ、相手の希望する形態で返却し、合否判定が出るのを待ちます。

結果、合格できれば、正式に翻訳者として登録され、応募した分野や、翻訳会社がこの人なら対応できるだろうと判断した仕事が
クライアントから来れば、あなたに仕事を依頼してくるはずです。こうしてあなたのプロの翻訳者としてキャリアがスタートするのです。

「英語の達人」を目指すな

あなたは、「料理の鉄人」という番組を覚えていますか?「鉄人」と呼ばれるレギュラー出演者のシェフ達と
「挑戦者」として登場するゲストシェフとが、特別キッチン・スタジオ内の器具や食材を使い調理した料理を
ゲストおよびレギュラーの審査員に試食してもらってその評価を競う番組です。

番組の見どころは、テーマ食材が、調理開始の直前まで「秘密」になっているところでした。
素材によっては、自分の得意やジャンル、例えば中華料理にしてしまうと不利な場合があるので、
料理人にはイタリア料理、フランス料理、中華料理、日本料理から創作料理まで幅広く対応できる力が求めらます。

翻訳者になりたい人を見ていると、「英語の達人」であったり、
あらゆる分野に対応できる翻訳者を目指している人が多いという印象を持っています。

まず、TOEICは「900点後半」がとれるまで頑張る。英検はできれば「1級」せめて「準1級」まで頑張る。
民間がやっている「なんとか認定」も頑張る。できれば「一番上のクラス認定」まで履修する。
さらに、有名な翻訳スクールの上位クラスの卒業証書を揃える、

このように、自分の考える「凄いCV」にしてからトライアルに応募しようとする人が少なからずいます。

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自分の自信のなさを「肩書き」で補填したいという気持ちは分からないでもありませんが、これは時間の無駄です。
どんな分野の翻訳案件でも完璧にこなせる「英語の達人」になってからトライアル受験しようとする人は、
そういうものに「自身」のよりどころを求めたいのだと思いますが、これは人生の浪費ですので即刻やめて下さい。

トライアルと大学入試とは違う

意外と理解されている人が少ないのですが、翻訳会社のトライアルは大学入試の英語の試験とは違います。
大学入試では、ある程度どこの大学であってもトップで合格できる英語力みたいなものを想定して
勉強すると思いますが、それと同じように翻訳の勉強を初めてしまうと迷走してしまいます。

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なぜかというと、翻訳会社ごとに募集している翻訳者のタイプは異なりますし、翻訳会社が得意とする専門分野も異なるからです。
自分が一番やりたい分野の案件を沢山持っている翻訳会社のトライアルに合格できれば、それで済む話であって
あらゆる翻訳会社のトライアルを突破できることや、あらゆる分野に対応できる翻訳者になる必要はないのです。

特許翻訳であれば月に2~3件受注して、数十万円の報酬を継続的に得られればよいのであって、それ以上は、いくら引き受けたくても物理的に処理できません。依頼されても断るしかないのです。

したがって、安定受注のために、2~3社と契約することに意味はあっても、50社、100社のトライアルに合格し、登録翻訳者になる必要はどこにもないのです。このように、何のための勉強なのかを常に意識しないと、漫然と英語の勉強に「時間」と「お金」を使ってしまいますのでくれぐれもご注意ください。

トライアルに合格しただけでは足りない

ときどき、「トライアルに合格したのに仕事が来ません」という人を見かけます。理由はいくつか考えられますが
まず考えられるのは、翻訳会社が受注している仕事の中にあなたに依頼する適当な案件が存在しない場合です。

これは、そもそもトライアルに応募する「翻訳会社の選定」が間違っていたとが考えられますので、
あなたの得意とする分野の仕事を定期的かつ大量に受注している翻訳会社のトライアルに応募しましょう。

次に考えられるのは、あなたのトライアルでの評価です。仮に2軍として登録された場合は、仕事がたくさんあって
レギュラー陣だけでは処理しきれないという事態でなければ、まずあなたに仕事が振られることはないでしょう。
つまり、トライアルは突破するだけでは不十分で、上位で突破する必要があるのです。

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漫然とトライアル合格実績だけ積み重ねても意味はありません。仕事を受注し「報酬」を受け取って初めてプロと言えるのです。

まとめ

プロの翻訳者として仕事を受注するためには、トライアルはどうしても越えて頂かなければなりません。
ですから、自分が一番やりたい分野の案件を沢山持っている翻訳会社見極めて、そこのトライアルに合格するよう準備をして下さい。

そして、ただ合格するのではなく、プロとしてのキャリアをすぐにスタートさせるためにも、上位で合格することも忘れないで下さい。

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