卒業生の声(文系、30代、女性、元会社員)

30代後半、独身女性です。
文系・翻訳経験ゼロから2年コース(第8期・2018年1月~)を受講しました。

当初は会社員の副業での立ち上げを目指していましたが、受講期間中に会社員の仕事を辞め、
約1ヶ月の無職期間を経て実ジョブを獲得。専業フリーランスに転向し半年で計60万円弱、
直近では月10~15万円の収入を得られるようになりました。分野は産業翻訳(医療)で、
言語は現状、中国語:英語=9:1です。

はじめに、この受講感想は約25,000文字あります。読み終わるのに30分はかかります。
この長い文章の中で私がお伝えしたいのは2点のみです。

それは、成功のカギは「マインドセット」であるということと、
ブログを継続することで成功につながりやすくなるということです。

マインドセットという言葉、聞き慣れないかもしれませんが
「行動のもとになっている考え方」を指します。

この講座で結果を出すためには、特に文系でゼロから始めた場合、
「絶対に翻訳者になる」「絶対にあきらめない」といった
マインドセットが必要になります。
一言で言うと「本当にやる気があるかどうか」です。

そんなの当たり前じゃないか、と思いますよね。
ここで言う「やる気」は実は、死んでも目標を達成してやる、
むしろ達成しないと死ぬくらいの強い気持ちです。

なぜそこまでの強いマインドセットが必要なのか、
持っていなかった場合はどうなるのか、そしてどのように獲得するのか。
私がこの2年間で学んだことを、受講感想に代えてお伝えしたいと思います。

講座受講の理由

 受講を検討されている方の動機はさまざまだと思います。
私は、なぜ講座を受講したのかと聞かれたら「人生を変えるため」と答えます。

もちろんそのために、プロの翻訳者となることが前提です。
私が人生を変えようと思ったのは、これまで「とんでもない人生」を生きてきたからです。
まず、これまでどういう人生を歩んできたのか、そしてなぜ人生を変えるために
講座を受講したのかについてまとめます。

暗記こそが勉強:子ども時代~大学入学まで

 私は人口3万人ほどの、最寄り駅まで車で30分という田舎で生まれ育ちました。

 両親は特に教育熱心な方ではありませんでした。
父親が新聞・雑誌以外の活字を読んでいる姿を見たことがなく、
母親の言う「本」はだいたいミステリー小説でした。

 小・中学校の成績は中の上くらいでしたが、算数・数学は大の苦手でした。
公式を暗記するだけでなく問題集を解きまくって途中の式の展開まで
暗記することで乗り切っていました。

数学でさえこうなのでその他の教科も察しがつくと思いますが、
私にとっての勉強は暗記でした。
せっせと穴埋め式の自作問題集を作成し、何度も何度も繰り返して覚えて
「勉強」していたのです。

 そして高校入試。公立高校の選択肢が少なく、レベルの高い1校と
中の下くらいの1校の実質2択でした。
「レベルの高い高校に挑戦して落ちて私立に入る」という状況だけは
家庭の事情から避けたかったため「中の下」を推薦で受け、合格しました。

 高校は、大学に行く人がそもそも学年全体の3分の1以下、
四年制大学に行く女子は数人というレベルの高校であったため成績は相対的によく、
学年で1人の公立大学の指定校推薦枠を勝ち取り、面接と小論文で大学に入学しました。

唯一の「主体的な行動」:大学時代~就職まで

 地元の大学の国際関係学部に進学しました。
専攻については、どうしてもやりたいものがあるというわけではなく、
「文系で、英語はまあまあできる」というところからの消去法での選択です。
実際のところは、「お金のかからない公立大学だったから」が最大の理由でした。

 ここに至るまで「ひたすら流れのままに楽な方向へ生きる」生き方をしてきたのですが、
大学時代にひとつだけ自分の意思で行動したことがありました。

それが中国への留学です。

大学の2週間の短期留学プログラムに参加した際に初めての海外となった中国にはまってしまい、
その後長期留学を計画し必死にお金を貯め、物価の安い東北地方へ1年半留学しました。

 留学から帰国後、将来特にやりたいこともなく日本での就職活動が億劫だった私は、
中国で就職することを決意し再度中国へ渡りました。

当時は日系企業の日本人現地採用者の募集も多く、「中国語が話せる日本人であればOK」
くらいの条件の所もありました。せっかく学んだ中国語を活かしたいという思いもあり、
複数社面接を受け、とある日系メーカーの工場の事務スタッフとして
社会人としてのキャリアをスタートさせました。

ストレス>現状維持:転職×3ののち、安定を求める

 この後、上記の会社を1年半ほどで辞め、同じ地区の日系企業に転職、
ここをわずか3ヶ月ほどで辞め(採用面接時の話とあまりに違っていたため)
英語力アップのためフィリピンへ数ヶ月滞在。

帰国し貿易事務の派遣社員を4年ほど続け、その後再度中国に渡り日系商社の
現地法人で働く、という行き当たりばったりの20代~30代前半を過ごしました。

 このめまぐるしい転職には、自分自身の都合というよりも
留学時代から付き合っていた相手の都合に合わせた面が大きいです。

私自身に明確な「将来設計」がなかったのもあり、
特に不満もなく相手に合わせていました。

30代に入って関係に何の進展もなくても私は行動を起こしませんでした。
というよりも、そもそも私は「結婚するかしないか」ですら
自分で決めることのできない、超絶受け身な人間だったのです。

結局、9年半近く続いたこの関係は最後に中国で働いていた頃に
突然終わりを迎えます。

当時,私は仕事でかなりストレスを抱えており、
そんな中で同棲中の相手の世話までしたくない、
という気持ちが膨れ上がって半ば衝動的に関係を切りました。

結局それから約1年半後、仕事上のストレスがピークに達し
「これ以上は無理だ」と思い帰国を決意します。

在職中に「正社員でまずまずの待遇」の条件のみで転職活動を始めます。
この時はもう中国や中国語、そして仕事へのこだわりもなく、
ひとりで生きていけるだけの貯蓄ができればそれでいいと思っていました。

運良くすぐに条件のよい会社と巡り会い、
帰国の2ヶ月後には転職先に出社することになりました。

自分探しinぬるま湯:まったり正社員時代

 新しい職場は輸出商社で、業務内容は貿易事務です。

転職した当初、中国の職場とのあまりの違いにここは天国かと思いました。
土日祝完全休み。残業もほぼない。ボーナスも出る。
資格手当が支給されるため、関連の資格を片っ端から取っていきました。

 始めの1~2年は仕事を覚えることと資格の取得で「充実した日々」を送っていました。
そこから3年目、4年目となると、生活が安定してきていろいろと考え始めます。

30代半ば頃です。今はいいけれど、それほどのスキルが溜まらない
職場環境では次の転職は恐らく難しい。この会社、いつまであるだろうか
といった不安。そして、定年まで会社があると仮定した上で、
ここにずっといたいだろうか、という疑問。

 この会社は女性社員の未婚率が恐ろしく高く、50代・60代の未婚女性社員も
少なくありませんでした。ですので、ここにいた場合の「私の10年後・20年後」が
ありありと想像できました。

私は果たしてこういう人生を歩みたいのだろうかと自分に問いかけた時に、
「違う道があるのではないか」とも思い始めました。

 ただ、その「違う道」が何かはなかなか見えてきませんでした。
それでも、このまま人生終わりたくない、何かしら「生きててよかった」
と思って死にたい。ひとりになったんだから、もっと自由に生きてもいいのでは。

そんな思いから30代半ばにして自己啓発系の本を読みあさり、
「自分探しの旅」を始めました。「自分探しの旅」の終着点は、
「中国語を活かす道を探す」でした。

私がこれまで唯一と言ってよいほど自分で興味を示して、のめり込んだものが
中国語でした。「語学力を活かした仕事」といって思いつくのはやはり、
翻訳・通訳でした。

自分の性格から通訳はまず無理というのは十分理解していたので、
やるとしたらやはり翻訳です。この頃、ネット上で翻訳講座や翻訳者の
ブログなどをチェックしている時に講座卒業生のブログが目に留まり、
そこで「レバレッジ特許翻訳講座」について知りました。

「まずは資格を取ろう」:講座の存在を知るも、華麗にスルー

2017年の話です。前からチェックしていたAyumiさんのブログで
講座を受講することを知り、そこから「ママはフリーランス翻訳者」さんの
以前のブログにたどりついたと記憶しています。

 ただ、私はこの時点では「特許っていうとバリバリの理系だよなぁ、
ちょっとハードル高いな」と大して調べもせずに講座のことは
一旦頭の片隅にしまっておくことにしました。

そして、他の通信翻訳講座について調べつつも「やっぱり中検1級を取ってから
考えよう」と、中国語検定を取るための学習を始めました。

 私はこの時、「ものはついで」とばかりに通訳案内士(中国語)の学習も並行しました。
前述の通り、通訳には向いていないと自覚していたので取ったとしても
通訳案内士になることは99%ないのに、です。

 この「とりあえず資格を取ってから次考えよう」という
先延ばし・現実逃避のマインド、そして関係のない資格を取るのに
お金も時間もかかり貴重な人生を浪費しているということに
当時は全く問題意識を持っていませんでした。

ファーストインパクト:受講開始まで

 一連の資格試験を終えてから、さすがに冷静になりました。

この試験に受かったとして、一体何になるのだろう。
結局私は何がしたいのだろうか。
ようやく自分でも、現実逃避していることに気づきました。

そんな時講座の存在を思い出し、とりあえずメルマガ登録することにしました。
そして当時で1000ページくらいというわけのわからないボリュームの
「受講案内」(こちらからリクエストを)を読み進め、
頭がかち割れるような衝撃を受けました。

受講案内のボリュームのほとんどを占めるのは、受講検討中の方、
そして受講生の生の声です。

これだけ不要な時間を削って(中には命を削って)勉強してプロになれる
という厳しい世界。何名かの受講感想からは鬼気迫るものすら感じました。

pdfファイルの最初から最後まで目を通して、これまでの生き方・考え方が
いかに甘かったかを痛感しました。

 確かにめちゃくちゃ大変そうだ。でも、これまで何となく浪費してきた人生。
そして変えようと思ってもひとりでは変えられなかった人生。
この講座なら、変えることができるのではないか。そう思ったのです。

これが、私が講座を受講した理由です。

vs「夢子Lv100」:受講2年間の歩み

 受講開始後の2年間は、まさに自分自身との戦いでした。

上記の通り、受け身で自分ひとりでは何も考えられない脆弱マインドだった私が
いつ、どのような課題に直面して、どのように解決しようとしたのか。
そしてその結果どうなったのか、を基本的に時系列で書いていきます。

戦いの幕開け (受講開始~半年)

<学習内容および進捗状況>

・2018年1月末~2月初旬(1ヶ月目):環境整備・マスタCV作成
・2018年2月~6月(1ヶ月目~5ヶ月目):岡野の化学・橋元の物理
・2018年7月(6ヶ月目):トライアル準備(トライアル関連ビデオ視聴・CV作成)
(1年目の学習時間は、平日平均6時間、休日13~14時間です)

ビデオダウンロードや学習環境整備の後にマスタCV
(実際のトライアル応募時の「あるべき姿」を記載した仮のCV)を作成し、
高校のテキストを利用した講座ビデオ「岡野の化学」シリーズの学習を始めました。

理系科目全般にアレルギーがあり、開始前は果たしてついていけるのかどうか
かなり不安を感じていました。

しかし、その不安は杞憂に終わりました。

ビデオを進めながらひとつひとつ理解していくことで確実にわかる範囲が
増えていくのが楽しくて、毎日夢中で学習を進めました。

ノートに資料を切り貼りして説明を加えたり、
「知子の情報(テキストデータベース)」へまとめたり
マインドマップでグルーピングしたりといった学習法は、
これまでの暗記一辺倒の学習とは異なるもので当初はただただ新鮮でした。

ビデオ内で丁寧に「王道の学習法」のやり方が解説されているので、
数をこなすうちに少しずつ身についていきました。

この学習の過程で苦労したことは「今学習すべき内容の見極め」が
自分でできなかったことです。岡野の化学・橋元の物理シリーズでの学習が
推奨されているのは、あくまでも特許明細書に書いてある内容を理解して
訳せるレベルになる基礎的な理系知識や考え方を身につけるためです。

期限内にプロになるという時間的制約もあり、
決して趣味的に勉強している暇はありません。
それが頭ではわかっていながらも、私は実際にはそこから離れた勉強を
していることが多かったのです。

幸い、ブログで毎日進捗状況を報告していたため
「その項目をそれ以上深掘りするのは時間のロス」と何度もご指摘を頂き、
その度に軌道修正をしてきました。

この頃、どうしても自分でその過ちに気づけず、
2、3回間を置かずに同じ指摘を受けた時はさすがに恥ずかしく、
また時間を取ってビデオにして頂いているのも申し訳なく感じて
ブログの更新をやめようと思ったこともありました。

 ただ、ここでやめたら成長できない、仮にプロになれたとしても
この癖を引きずっていてはレベルが上がらないだろうと思い、
ビデオを見て理解した点、頂いたアドバイスを実行した気づきや
今後の改善策などを翌日のブログに書く、ということを繰り返しました。

これにより、迷走しながらも完全な脱線・脱落を避けることができ、
学習を継続できました。

 この時期、ブログに書いた学習記録から翻訳への取り組みに対して
「今まで頭を使って生きてきたのか。ここで性根を入れ替えろ」と
ビデオセミナーで厳しくご指摘を頂いたことがあります。
このビデオ、当時はかなりショックでした。

というのも、それまでも散々「夢子はやめろ」と突っ込まれてはいたのですが、
実はあまり自分事として捉えていなかったからです(「夢子」とは、物事を
現実的に捉えられず「いつかできたらいいな」くらいで理想を語る、
口だけの人を指します)。

私は毎日極限まで頑張っている。言われたことはちゃんとやっている。
「夢子」と言われるのは正直心外だと思っていました。

この時になって、ようやく自分自身が最強の「夢子」であり、
これを退治しないことには成功はないことを自覚しました。
そして、ちっぽけなプライドもこだわりも何もかも捨てて、
根っこから自分自身を叩き直すことを誓ったのです。

その「夢子の自覚」事件の後すぐの、受講半年に差し掛かる頃です。
私は当初から「受講半年時点でのトライアル応募」を目標にしており、
学習も予定通り進めていました。ところがこの時点でのトライアル応募を
断念することにしました。

理由は、これまで学んだことと自身の経歴などを連動させてトライアル課題文が
送られてくるレベルのCVを書くだけの力が身についていなかったことです。

そして身についていなかった理由は、「自分で考える要素」が多すぎて
頭がパンクするため、CVへの取り組みを先延ばしにしていたからです。

トライアル自体は、CVを送らずに会社ごとのフォーマットの入力をすることで
受験ができるところもあることはわかっていましたが、「CVすらまともに
書けない。この状態で受かるはずがない」と必要以上に悲観的に捉えてしまい、
計画を修正し、もう少し学習を進めてから応募することにしました。

ここで、翻訳言語について少し補足しておきます。

受講開始当初は中日翻訳で考えていましたが、「中国語にこだわりすぎるのは
得策ではない、稼ぐのなら需要の多い英語でまずは安定稼働を目指そう」と、
英日に切り替えて学習を進めることにしました。

岡野の化学に入る前の管理人さんとのスカイプでも
その当時は「まずは英日でいいのでは」という話でした。

ただし、現在はまた状況も異なっており、バックグラウンドや興味も
異なると思いますので、英日、中日どちらも対応可能な場合
「英語から入った方がいい」とは必ずしも言えません。

理系の基礎固めの時点では、とりあえずどちらかに決めて学習を進める、
くらいで考えてもよいのではと思います。

参考までに、私の語学レベルは中検1級、英検準1級、TOEIC900点台前半です。
すべてとにかく過去問を解きまくることで獲得した資格で、かつ業務としての
翻訳経験もないため翻訳をする上の負荷・難易度は両言語ほぼ同じという状況です。

見えない突破口 (7ヶ月~11ヶ月目)

<学習内容および進捗状況>

・2018年8月~9月(7~8ヶ月目):
対訳シリーズ(IBM社レジスト)・半導体の学習

・2018年10月~12月(9~11ヶ月目):
対訳学習(半導体・MEMS関連)、トライアル関連ビデオ視聴、
トライアル受験(2社受験、いずれも不合格)

 トライアル受験を受講10ヶ月目の11月に設定。そこからやることを逆算し、
対訳シリーズ、公開訳を使用した翻訳学習などを進めました。

 対訳シリーズ(IBM社レジスト)をまず進め、その後半導体の知識を
肉付けするために講座おすすめの本『はじめての半導体プロセス』で
学習しながら各プロセスに関連する明細書を読んでいきました。

 このあたりになると、岡野の化学・橋本の物理で学習した基礎的な概念、
例えばpHや表面張力などと明細書とを連動して読むことができ、
確実にレベルが上がりつつあることを実感しました。

この頃は、明細書を翻訳している際の気づきや公開訳と自分の訳を
比較した際の気づきなどをブログにアウトプットするようにしていました。

訳語確定のプロセスについて、自分自身がとても悩んだことに対して
直接ビデオセミナーでフィードバックを頂くことで、自分の見えていなかった
部分やアプローチを変えた方がよい部分が明確になり、非常に深い学びを得られました。

 受講10ヶ月目に初めてのトライアルに挑戦。

持ち時間をフルに使って「現時点でのベスト」で提出したものの不合格。
課題文提出後の振り返りで、訳文の正確さ以前にコメントの付け方や
訳語の選び方が非常に独りよがりで、「自分はこれだけ調べた、これだけ
内容を理解して翻訳しているんだ」という承認欲求丸出しの訳文を
提出していたことに気づきました。

ここで、訳文はあくまでも相手が読むものであり、自分を引っ込めて
「感情と納品物を切り離して考える」重要性を学びました。

 1回目のトライアルを徹底分析し悪かった点を洗い出し、
次こそはと思い臨んだ2社目のトライアル。提出時の自己評価ですでに
「これは恐らく無理だろう」というレベルで、結果も不合格。

主な敗因は課題文の選択ミスでした。複数選択式の課題文で
「特に募集している分野」に目がくらんでしまい、
当時自分が得意としていた分野を選ばず、かなり無理をして
「特に募集している分野」へ挑戦してしまったのです。

 その後、2社目のトライアルを一文一文分解して分析。
「箸にも棒にもかからないレベル」と自己判断して全体的なレベルの底上げを
目的に、トライアル関連ビデオにて学習を進めました。

 トライアルを1度受けると、トライアルを受けることへの心理的ハードルは
確実に下がります。そして受けたからこそ埋めるべき「差」が見えてきます。

その一方で学習中やトライアル分析中に、どうしても自分の訳文に感じた
違和感にとことん向き合うことができないことと、わからないところを
無視してわかったところだけを無理やりつなぎ合わせてわかったと
判断してしまう「わかったつもり病」から抜け出せないことがこの頃の悩みでした。

当時は根本的な解決策を見いだせずに、
ただ学習が足りないのだと思いひたすら学習を進めました。

 受講半年時点では、そもそもこの頃(1年目後半)に感じていた違和感に気づくこともなく、また誤訳の原因を分析して次につなげるということもできていませんでした。1年目の後半は、性格に起因すると思われる癖や自分のミスパターンなども含めて、「自分が成功するまでに乗り越えないといけないハードル」がどのくらいの高さで、どんな形をしているのかが少しずつ見えてきた時期でした。

夜明け前が一番暗い(12ヶ月~1年1ヶ月目)

<学習内容および進捗状況>

・2019年1月(12ヶ月目):不合格トライアルの振り返り、トライアル関連ビデオ視聴
・2019年2月(1年1ヶ月目):対訳学習(材料関係)、トライアル応募

 受講1年前後は、ひとつの転機となる時期でした。

 毎日2時起床。定時ダッシュを続け、長期休暇も有給もすべて学習に突っ込む。夜出歩いたのは週1の会社帰りの買い物と強制参加の会社の忘年会のみ。こうして、昼間フルで働きながら1年間で3000時間を超える学習時間を確保してきました。

 1年目終了時点の到達地点は、トライアル2社受験、いずれも不合格。それも「まだ合格までは遠い」と自分で思うレベルでした。

 受講開始時は1年目で実ジョブ獲得を目標としており、その後「1年目終了時点でトライアル合格」に目標を修正しただひた走ってきました。

 当初1年で実ジョブ獲得を目標にしていたのは、受講感想を見ていて同じような境遇(文系・ゼロからで1日の学習時間が5時間程度の30代の方)が1年以内に実ジョブを複数こなして卒業されたのを見て、その方をペースメーカーとしていたためです(もっとも、その方は確か岡野の化学を3ヶ月くらいで終わらせていたので途中からすでにペースが異なっていたのですが。私は5ヶ月かけました)。
 ともかく、講座の実績を見ても3000時間というのはゼロからでも実ジョブ獲得、最低でもトライアル合格には届く時間だろう、と思っていました。

 なのに、なぜ自分はまだ「ここ」にいるのか。

 毎日10時間以上集中して学習するのと、平日6時間程度では集中度が異なるため結果の出やすさも異なるということ、学習中の計画・振り返りのブレイクダウンが甘いせいで軌道修正が遅かったこと、そもそも学習中に寄り道が多かったこと、成功された方は同じ時間でも「時間密度」が違うことなどがその理由だとその当時は思っていました。

 この時にすべきなのは、「まだ成長曲線のプラトー(結果が目に見えない時期)にいるだけ」という現実を受け入れ、足りないものを冷静に見つめ、目標を設定しそれを日々の学習に落とし込み、自分を信じて淡々とやるべきことをやる、ということでした。

 当時の私は、成功している受講生・卒業生と自分とを比較し、同じようにできない自分をただ責めて、責め続けることで結果として現実逃避していました。たまたま会社での業務がこの時期に異常に集中していて、またトラブルも続発していたこともあり、「前を向いて頑張る」ことができなくなっていました。

 そんな時、私が何気なくブログに吐露した心情から事態は急展開します。

該当のブログ記事から一部抜粋します。

「甘い、弱い、本気じゃない。何とでも言ってください。少なくとも私は本気です。ですが、アラフォー独身女性が人生を転換するっていうのは、そんなに簡単じゃないです。」

これは何かアドバイスを求めていたわけではなく、日々「思うこと」として書きました。ビデオセミナーで取り上げられたこと自体も予想外であれば、その内容も想像だにしていないものでした。

ビデオセミナーの内容は、「何も捨てずに現状維持では、人より上のステージにはいけない。成功したいなら、今あるものを捨てろ。マインドを変えろ。」といったものでした。ここには書けないくらい、厳しい口調でした。
「こんなに頑張っているのに!なぜここまで言われなきゃいけない?」
私は当初、そのアドバイスを受け入れることができませんでした。

その後、冷静になって考えました。私はなぜ講座を受講したのか、なぜこの1年死にそうになりながら学習を続けてきたのか。出社しても頭の中がいっぱいで仕事にならなかったため、早退して考え続けました。

この時、私は自分自身に「会社を辞めて退路を断つ」か「講座を辞めて1年前に戻る」かの選択を迫りました。「引き続き会社員をしながら副業での立ち上げを目指し、状況を見て退職」の道では恐らく私のマインドでは成功が遠いか、成功しないとビデオを見て悟ったので、この現状維持の道は選択肢にはありませんでした。

そして、「会社を辞めて退路を断つ」道を選択したのです。

 決意してから約2ヶ月後、実際に退職します。退職までの間にクレジットカードを念のため新規で複数枚申請し、さらに引越しをすることに決めて物件の下見に行き賃貸借契約まで済ませました。突発的ではありましたが、最低限やるべきことはやった上で、また最低2、3年は無収入でも困らないだけの預貯金がある状態で退職しました。

つかぬ間の春、ようやく出た芽を踏んづける(1年2~3ヶ月目)

<学習内容および進捗状況>

2019年3月(1年2ヶ月目):
・対訳学習(材料関連)
・トライアル応募(4社)、トライアル課題文への取り組み(3社目→合格)
2019年4月(1年3ヶ月目):
・トライアル課題文への取り組み(4社目→合格)
・スタイルガイドの読み込み、ミスパターンの整理、ジョブスキームを考える
・翻訳会社訪問(2社)

この期間はトライアル受験を最優先で進めました。4社応募し、1社は返信なし。2社よりトライアル課題文を受領しました。2月末にトライアル解答を提出した翻訳会社より、念願のトライアル合格の通知を頂きました。累計3社目の挑戦、受講1年2ヶ月目のことです。そしてこの後、間を置かずもう1社の応募先よりトライアルなしでの登録の連絡を頂きました。(もう1社、4月にトライアル解答を提出した翻訳会社からは、5月に入りトライアル合格のご連絡を頂いています。)

時は猫の手も借りたい3月初旬。そしてトライアル解答提出から合格通知までが比較的早かったこともあり、実ジョブへの期待が高まりました。

ようやく春がやってきたとばかりに、頂いたスタイルガイドなどの資料を読み込んで自分のこれまでのミスパターンを整理して「実ジョブスキーム」を作成するなど、いつ実ジョブを頂いてもいいように準備を進めました。

 しかし、待てど暮らせど何の音沙汰もありません。3月下旬になり「猫の手以下」である現実を受け入れ、それならばと思い会社訪問のお伺いを立てご了承を頂きました。

会社訪問にあたって、事前に会社HPなどを隅から隅まで目を通し、こちらの質問事項と先方の想定質問事項をまとめ万全の体制で臨みました。翻訳会社を訪問中、とあるメディカル分野の人手が足りていないという情報を入手し、勉強して数ヶ月後にその分野のトライアルにチャレンジさせて頂きたい旨を伝えて訪問を終えました。

その分野は確かに求人が出ていることを事前に確認していました。しかし、私は「メディカル系はちょっとハードルが高いなぁ」と思い自分事として捉えず、事前調査も特に行っていませんでした。

それでもやはり、需要があるのならいくべきか。とはいえ、その分野のトライアルを受けるまでにまとまった学習量が必要となる。そこに挑戦するよりも、これまである程度学習してきた分野でのトライアルを受け続けた方が結果は早く出るのではないか。そう考えました。

 そして私はここで、自分でそれ以上の分析をせず、管理人さんに訪問内容について報告し「こう言われたが、どうしたらよいか」と質問を丸投げしてしまったのです。

講座では質問は歓迎されており、いつでも無制限で行えます。ただし、「このように調査・アプローチをした結果こう思うが、この考え方で合っているか」といったような、自分で十分考えた上での質問です。この「丸投げ質問」に対して、そして数少ないチャンスを活かす方向に動かなかったことに対して、当然ながらビデオセミナーできつくお叱りを受けました。

 折しもこの日は会社の最終出社日でした。これからフリーランスとしてひとりで生きていくというのに、その自覚を持たずひたすら受け身で数少ないチャンスを活かそうとしなかったことに、深く反省しました。そして、その分野の学習を集中して行い3ヶ月後にトライアルを受けることを新たな目標とし、「勝利の女神には何が何でも抱きつけ」という教訓を脳に刻み込んだのです。

すべては一瞬で変わる(1年3~4ヶ月目)

<学習内容および進捗状況>

2019年4月~5月(1年3~4ヶ月目)
・基礎医学(解剖学・生理学)の学習
・関連の明細書の読み込み
・引越し
・中国語医療翻訳のトライアル(5社目→合格、実ジョブ獲得、その後継続受注)

 今振り返ると、4月中旬の会社退職後から5月下旬のこのわずか1ヶ月半ほどの期間が、2年間の最大の転換点でした。

 新しい分野の学習を進めるにあたって、まずは幅広く情報を集めて集約し、重点学習事項を決め、学習計画を作成しひとつひとつ実行していきました。当初はなかなか進みませんでしたが、知っているようで知らなかった体のしくみに「そうだったのか、なるほど」という単純な喜びがあり、またこれまで学んできた機械・電気・化学分野などとのつながりの発見も面白くて学習に文字通り没頭していました。

この期間中、学習時間は毎日14~15時間で、ほぼ毎日2回ブログを更新(夜にその日学習したことの簡単なまとめ、翌朝に学習した項目をピックアップして記事にする)していましたが、特につらいと感じることはありませんでした。

これは恐らく、実際に退職して後がない状態になったこと、「次は絶対にチャンスを逃さない」というマインドを強制的に獲得したこと、そして引越しという時間的な制約があったからだと思います。

 実際にこの時は学習したことがどんどん血肉になっていく感覚がありました。また、副産物として4月から5月でブログのPVが5500程度から1万近くへと一気に倍近くに跳ね上がりました。

引越しを無事終えて医療分野のトライアルに向けて学習を進めていた5月下旬のある日、「中国語の医療分野の翻訳者が足りなくて困っているのですが、いかがですか」と連絡を受けました。ブログで医療関連の記事を日々アップしていたことからお声を掛けて頂いたようです。

中国語。医療。

こちらの医療は、目先学習している分野とは全く別の分野です。そしてこれまでずっと英日の勉強をしてきた中での中国語。当然Tradosのメモリも用語集も真っ白です。

とはいえ、足りなくて困っているということは、どう考えてもすぐに仕事が来る可能性はとても高い。

「勝利の女神には何が何でも抱きつけ」
少し前の苦い経験がフラッシュバックします。

この分野に挑戦することを決め、CVを送り、課題文を受領。そしてトライアル解答を提出し、その数日後。トライアル合格の連絡と共に、数百字~2500字程度の実ジョブを複数頂きました。一連の出来事は、お声掛け頂いてからわずか10日ほどの間に起こりました。

トライアルが癖のない問題だったのに対し、かなりえぐい(と当時は感じた)実ジョブを前にしてうれしさをかみしめる余裕もなく、特に初めの1件は納期設定を甘くみていたこともあり納期ぎりぎりで焦りまくり、無意識に呼吸を止めてしまい酸欠になりかけながら納品。納品後、全身から力が抜けしばらく椅子から動けなかったのを覚えています。

そこからパラパラと案件を頂けるようになって、スイッチが入りました。
レギュラー認定されたい、もっと仕事をしたい、もっと速くうまく訳せるようになりたい。

案件がない時に似たような中国語の文章を探し出して自力翻訳。日本語側でも書籍やウェブ上の論文や症例報告などを読み込んで使える表現を「知子の情報」へストックしていきました。定型的な文章も多いためTradosでマッチ率が上がるように登録し、さらにミス撲滅のため、初期の頃は見直し時に気づいたミスをすべて洗い出しひとつずつ対策を練っていきました。

 この取引先からは最初の案件から約2ヶ月弱経過時点で、継続的に案件を頂ける状態になりました。さらに、英日案件も数百~最大2000ワードレベルですが時折舞い込んでくるようになりました。最初の5件と直近の5件の平均では、作業効率が時給換算で5倍ほどアップしています。

 このあたりのレベルアップの方法はすべて、これまで講座で学んだことの応用です。このトライアル自体は講座を受講していなくても受かった可能性はあります。ただ、そこから講座でたたき込まれた「学んだことは資産にする」ことの重要性を認識していたか、また資産化の方法を知っていたかどうかで、同じだけの案件をこなしても得られたものは雲泥の差であったと思っています。今はわずか半年の経験の差ですが、これが3年、5年、10年になると、そこには途方もない差が広がっているだろうと推測できます。

ここで引越しについて、少し補足させてください。

会社を辞める時、せっかくなので引越しをすることにしました。もともと住んでいた関西のアパートは、居住スペースが1間しかなくかなり手狭であったことに加えて、どうせなら関東に住んでいろんなイベントに参加したいという思いがあったからです。

 時間と費用はかかりましたが、引越しして大正解でした。家賃据え置きで専有面積ベースで1.8倍程度広くなり、何より居住空間がキッチンを除き2部屋になったので、1部屋まるまる作業スペースに使用できるからです。
 そして、関東に引越ししたことでセミナーや展示会などにも複数参加でき、受講生同士で集まり情報交換することもできました。それぞれの目標に向かって頑張っている仲間と実際にお会いできたのは精神的にも大きな助けになりました。

アグレッシブ夢子、登場(1年5~10ヶ月目)

<学習内容および進捗状況>

2019年6月~7月中旬(1年5~6ヶ月目)
・実ジョブ(中国語) 原文数百字~最大3000字ほどを週に1~2件
・実ジョブと類似した文書を使用したレベル上げ学習

2019年7月下旬~11月(1年6ヶ月目~10ヶ月目)
・実ジョブ(中国語:英語=9:1)原文数百字~最大4000字ほどを週に3~5件
・治験翻訳の学習
・治験翻訳のトライアル(4社受験、2社合格)

中国語医療翻訳の案件はなんとか立ち上がりましたが、案件の性質(特に、1件あたりのボリュームが小さいこと)からみて、たとえレギュラー上位陣に認定されたとしても年収は上がりにくいということが当初から見えていました。そのため、実ジョブで信頼を積み重ねること、作業を効率化することと並行して新規取引先の開拓が必須でした。
4月から学習していた分野に関しては、時間が経過し応募を予定していた翻訳会社の状況が変わってしまったため、他の選択肢も含めて考えることにしました。

 まず始めに考えたのが、今の取引先と同じような仕事を受注して一気に実績とメモリを増やして作業を効率化させようという作戦でした。計4社に打診し2社はトライアルなしで登録のみして頂き、そのうち1社からは後ほど案件を頂き、もう1社からは案件の打診のみ(先方の都合により案件自体がキャンセル)頂きました。もう2社は返信なしという結果に終わり、この方法での新規開拓はうまくいきませんでした。

 次に、メディカルライティングについて調べる機会があり、そこからフックがかかった治験翻訳について検討しました。特許のように公開訳が探しやすいわけではありませんが、あることはあります。そして、この分野の良質な用例が豊富な対訳集「イートモ」もあります。治験そのものについて学習するための自習用素材も豊富で、これまで学んできた講座の手法を応用すれば立ち上げることは可能だろうと感じました。治験文書は定型的な言い回しや繰り返しの部分もあり、ボリュームもあり、需要もあります。

 特許や他の産業翻訳でいろんな分野で打診されるより、ひとまず医療系で固めてもう一本の柱を立てる方が早く効率的に稼げるのではと考え、この分野でのトライアル合格と実ジョブ獲得を目指し、目標の「講座卒業時に月30万円稼げるようになること」へ向けて舵を切りました。

7月末(受講1年半時点)から本格的に治験翻訳の学習を始めました。これまでと同様に、まずざっくりと学習すべき内容をつかむため、翻訳対象文書の日本語版文書をいくつかピックアップして読み、必要な知識を確認。その部分の知識を補充してもう一度読み、日本語で読めるのを確認してから、英文を自力翻訳して公開訳と比較する、という形で学習を進めていきました。

 はじめはちんぷんかんぷんだった統計用語も薬学用語もだんだんと自分のものになっていく感覚があり、学習開始2ヶ月後の9月末に3社のトライアルに応募します。

うち1社は実ジョブが得られる可能性は高いと見込んで急募のMTPE案件に応募しました。さらに、10月の翻訳祭にてご挨拶をさせて頂いた会社のトライアルにも応募し、治験関連のトライアルは計4件応募しました。

 トライアルの結果は2勝2敗。1勝にはMTPEも含みます。MTPEでないトライアルにも合格でき、ここまでの学習に手応えを感じました。

これで、合格した2社どちらかからでもジョブが来れば、次につながるように全力でやろう。来なければ12月頭に再度トライアルを集中受験すれば、1月末の卒業時までにはうまくいけば案件の打診があるかもしれない・・・。

 と、考えていました。とにかく何でもいいから稼ぎたい、取引先を増やしたい、目標を達成したい。できるはずだ。そんな思いのもと、実ジョブをこなしつつ学習を進めていきました。

しかし、トライアルを突破した翻訳会社からは、登録の手続きが完了して数週間経過しても案件の打診が来る気配はありません。恐らくトライアル合格時のレベルが低く、よくて繁忙期の猫の手代わりだったのでしょう。

さらに、不合格だったトライアル1件を一文一文再度自己分析したところ、提出直後に自信があったはずなのに実際はボロボロの出来だったことがわかりました。文法上のミス・文脈を読み間違えているミスが散見され、目を覆いたくなる状況でした。

 受講1年半を過ぎてからのこの期間中、私はこれまでの自分では考えられないくらい積極的に動きました(といっても、講座で求められる行動量にはまだ足りていないとは思いますが)。トライアルは当初の計画より前倒しで受験しました。セミナーにもいくつか参加しました。チャンスにも飛びつきました。

 これは、中国語の実ジョブでの「プチ成功体験」によって少し自信がついたことから来るものでした。全く未知の分野だったけどなんとかなった。だから、次もなんとかなる。そう思っていました。

 当たり前ですが、「なんとかなる」と思っただけではなんともなりません。自分のレベル、プロに求められるレベルの差、そしてどのくらいでその差が埋まるのか。それを冷静に分析して軌道修正を行う必要があります。

この時、私はそれができていませんでした。「いけるはず」と根拠のない自信のみで現実を直視せずに突っ走ってしまった姿は、まさに「夢子」そのものでした。行動力だけはあったので、さしずめ「アグレッシブ夢子」といったところです。

このままでは、トライアルを受け続けても受からない。受かったとしても仕事が来るレベルで受からないだろう。そして運良く来たとしても、レートは低いだろう。これが、講座卒業2ヶ月前になって、気づいた事実でした。

将来のための今(1年11ヶ月目~現在)

<学習内容および進捗状況>

・血管モデル対訳シリーズの学習
・岡野の化学の復習をしつつ、バイオメディカル系をメインに明細書を読む
・対訳学習(バイオメディカル系、実ジョブを想定したシミュレーション)

11月末(1年11ヶ月目)の時点で、「卒業時までに月30万」の目標を自ら放棄し、「今の状態でトライアルを受け続けるのは得策ではなく、まずはレベルを上げるべきだ。それも、ある程度のレートですぐに実ジョブを頂けるレベルまで」と自分自身の状況を分析していました。

そこから講座の対訳シリーズを利用した学習中の気づきや、もう1件の不合格トライアルの自己分析から「ある程度のレートですぐに実ジョブを頂けるレベル」にはまだかなりの距離があると判断。時間を捻出し集中して学習するために、継続して頂いていた中国語メインの実ジョブも一旦ストップして完全に学習モードに戻ることにしました。

「かなりの距離」とは、原文を読み飛ばしていて「わかったつもり」になっていること、長い文章の骨格を捉えられずに係り受けを間違えていること、そもそも特許明細書に約半年間触れていなかったことで日本語の明細書を読むのにも時間がかかる、といったところから感じたものです。

分野も、治験翻訳ではなく特許翻訳へ戻ることにしました。治験翻訳でのレベルの上げ方も見えてはいたので、もう少し学習を続けてトライアルを数こなせば立ち上がる可能性もあるとは思いました。

 特許翻訳に戻った理由は、学習時・実ジョブともに、その過程で獲得したスキルが翻訳以外の他分野へより展開しやすいと判断したからです。言葉を換えると、講座でも重要視されている汎用性の高いスキルである読解力、図解する力、説明する力などは、特許明細書の読解・翻訳を通じて効率的に鍛えることができると考えたからです。

 現在は3月末までの期間限定で「岡野の化学」で復習をしながら、これまで量・質ともに不足していた明細書の読み込みをする学習、そして実際に実ジョブがきたと想定してスケジュールを決めて行う自力翻訳とを組み合わせて学習を進めています。

 自分のレベル不足を痛感したこと以外にも、この決断に至ったのはもうひとつの理由があります。それは、「翻訳のその次の仕込みをする時間(スラック)を早く作れるようになりたい」という思いです。

 MTPE導入の動きが加速していることやAI翻訳の進化などから翻訳業界にも二極化の波が押し寄せる、と予想されています。

 生き残るために翻訳者としてのレベルを上げることも重要です。ただ、講座ビデオで散々お話されている通り、仮に翻訳で稼げなくなっても将来生きていけるだけのスキルを身につけることもまた大切であると私自身も考えています。

 それには、まずは翻訳である程度(年400万以上)稼いで、少しでも早く時間とお金を「次」に向けて投資できる環境を整えることが大切だと思っています。

 そう考えた場合、例えば低レートでトライアルに合格し、レベル上げの時間も取れないまま来た案件を処理し続けるのと、仮にですがその倍のレートで合格し仕事を控えめにしつつ学習の時間をとりつつさらに翻訳者としてのレベルを上げていくのと、どちらが得策かは明らかです。もちろん、「実ジョブが一番の勉強」であることも自分自身、実感として持っているので勉強を延々と続けることは得策ではないことは理解しています。そのため、学習に専念する期間は、最長3月末までとしています。

私はこれまでずっとその場しのぎで生きてきて、「将来を見通して今の行動を考える」という投資思考を持っていませんでした。少し前も「案件がすぐ来るかも」とMTPEに積極的に応募したくらいですから。

「目先の利益に囚われない」考え方ができ、自分で決断できるようになったのは、この2年間の「目には見えない大きな収穫」であったと思っています。

ただし、「目に見える収穫」の翻訳者としての実績は、卒業時の到達目標(売上月30万)には届いていません。

次の1年はトライアル上位合格のために足りないものを見極めて(現時点では特に、明細書を読み飛ばさずに正確に理解する力と翻訳の絶対量が足りないと考えています)、日々修正を繰り返し、2021年1月には特許翻訳者としての安定稼働(月売上40万以上、トライアル合格5社以上、2社以上より継続的に案件打診あり)を目指します。

この章の最後に、この2年間のトライアル受験状況、実ジョブ受注状況、学習時間をまとめます。

<トライアル受験状況>

応募:15社
合格:5社
不合格:4社
トライアルなしで登録のみ:3社(英語メイン:1社、中国語メイン:2社)
返信なし:3社

<実ジョブ受注状況>

・1社より中国語・英語医療翻訳案件を継続受注(中国語:英語=9:1)
売上は半年で計60万円弱、直近では月10~15万ペース
・上記以外の中日医療翻訳 1件
・英日産業翻訳のチェック案件 1件

<学習時間>

・1年目(会社員):約3061時間
(トライアル対応時間を含む。隙間時間のビデオ視聴などは含まず)

・2年目51週目まで(3ヶ月目過ぎに会社を退職):下記の合計で約3845時間
-学習時間(トライアル含む、隙間時間含まず):約2499時間
-実ジョブ(ジョブ関連の学習も一部含む):約928時間
-ブログ記事:約263時間
-将来のための時間(読書やライティングの学習など):約155時間

ブログをおすすめする理由

 この2年間でやってよかったと思うことはいろいろあります。例えば、早朝学習、使った時間の可視化、早めの設備・環境投資などです。

 ただ、これらすべてまとめても「ブログを書き続けること」の効果にはかなわないかもしれません。

 結果を出す(プロの翻訳者になる)という目的のためだけでなく、人生をも変えてしまう力がブログにはあります。そして私は、この2年間でブログの力を最大限に利用してきました。受講検討中あるいは受講初期の方のアドバイスとして、ここでは「なぜブログがおすすめなのか」についてまとめます。

チャンスが生まれる

 私の初めての、そしてこの2年で唯一継続受注できた取引先の案件は、ブログに日々学んだことをアウトプットしていたことがきっかけで頂くことができました。この受講感想を講座受講案内でご覧になっている方は、例えば「ブログを通してご連絡」で検索されると、同様にブログからチャンスをつかんだ他の卒業生の方の実例を確認できるかと思います。

 思いがけないところからブログ記事を見てご連絡を頂いたこともありました。今すぐに仕事にはつながらなくても、後々何かにつながる可能性があります。

 人とつながるチャンスという意味では、他の受講生とのつながりができることも大きなメリットだと思います。前述の通り何度かお会いする機会に恵まれましたが、それもブログを開設し、学習の進捗や悩み、興味のあることなどを書いていたことからこそ生まれたチャンスでした。

ブログコンサルを受けられる

学んだこと、疑問点、日々思ったこと(学習と直接関係がなくても)をブログに書いていると、ビデオセミナー内でアドバイスを頂けることがあります。

 私は、このブログコンサルの恩恵を最大限に受けたひとりであると思っています。かなりの頻度でビデオセミナーに取り上げて頂いたのですが、これは日々、まとまった分量(1000文字以上)を書いていたため私がどこで思い違いをしているか(あるいは計画の軌道修正が必要かどうかなど)がわかりやすかったからだと思います。

 翻訳者として稼働するためのスキルや考え方(訳語確定の方法など)についての貴重なアドバイスも、もちろんありがたいものでした。それ以外にも、ブログ記事から読み取れる自分では気づかない「甘さ」にツッコんで頂き、その指摘に対し真剣に考え改善してきたことで徐々にマインドに変化が起こりました。この意味での恩恵も非常に大きかったと思っています。

アウトプットを前提とした質の高い学習ができる

「今日学んだことをブログに書く」と決めて学習すると、そうでない時に比べてインプットにも集中するようになります。学んだことをまとめるのは知子の情報やノートでもよいのですが、「他人の目」があるかないかで真剣度はやはり異なります。ブログ記事は他人が読んで理解できるように書く必要があるので、あいまいな理解では書き進められなくなります。そのため本当に理解しているかどうかの確認にもなります。さらに、自分が悩みながらまとめた記事は記憶に強く残るものです。

 私は1年目最終週まで毎朝、学習開始前にブログを書き続けていました(その後は不定期です)。学習と関係ないことを書くこともありましたが、「学んだことを書く」を基本としていたので会社で「明日の朝何を書こうか」と考え、仕込みをすることも多かったです。

経験上ですが、もし時間や環境が許せるのであれば少しでもいいので毎日同じ時間に書く方が、いつしかそれが歯を磨くくらい「当たり前」になるので継続しやすいと思います。「時間があるときに書こう」と思うと優先順位が低くなり、いつしか「書かなくてもいいか」となってしまいがちです。

目標や学習時間などの実績をアップすることで強制力を利用できる

 何かを始める時に、途中で辞めないように周りの人に宣言して始めることがあると思います。ブログに目標を書くことで同じ効果が得られます。

また、今日やったことや明日やることなどを書くこともおすすめです。アップしなければならないと思うとやはりサボっていたことがわかる記録は出したくないので、勉強を継続する動機付けになります。

私は下記の項目をブログにアップしていました。

・毎日使った時間の実績をその種類ごとに色分けした表(1週間に1回まとめる、2年目8ヶ月目頃まで)
・昨日の学習内容と学習時間の実績、今日の学習内容と予定学習時間(ほぼ毎朝、1年目)
・時間計測アプリで計測した結果のスクリーンショット(毎日~3日に1回まとめて、2年目3ヶ月目~8ヶ月目頃まで)

 記録は現在でも続けていますが、途中ですべてブログへのアップはやめました。もうアップしなくても大丈夫だろうという気持ちがあったのですが、公開をやめた当初、やはり「サボってしまう」方向へ傾いてしまいました。そのくらい強制力があります。

書く力が向上し、次のビジネスへの展望がみえる

この2年間で、メモ書き程度の記録も含めて680件以上のブログ記事を書いてきました。頻度については、1年目は最終週までは毎日(500文字~長くても2000文字前後)、2年目は不定期で2000~5000文字程度の記事が多かったです。

 書くことを続けるうちに、当初は3、4行ほどの説明にも苦労していた状態から徐々に長く、そして当初よりも筋道立てて書けるようになりました。それがPVに表れたり「参考になった」とコメントを頂いたりすると、やはり励みになりました。

受講2年目にはライティングについて講座ビデオのブックレビューで紹介されていた本や教材などで学び、多く検索される記事、そして検索して来た人の疑問が解決されるような記事を書く方法など、「書き方」についても学習しました。また、書く力を向上させるために、アフィリエイトにも挑戦しました。ここまで、アフィリエイト収入と広告収入の合計で23,000円ほどの報酬を得ています。直近のPVは1万PV/月程度を維持しています。

もちろん、まずは翻訳で立ち上げなくてはなりませんし、翻訳と直接関係ない記事を書いたり、ライティングの学習をしたりするのは最優先事項ではありません。

ただ、ライティングやアフィリエイトで稼ぐのは翻訳よりもさらに時間がかかること、そして学んだことを日々の翻訳学習のアウトプットにも活かせること、さらに「内容を完全に理解して自分のフィルターで説明する力」はこれから何をするにも必要だと確信したことから、「緊急ではないが重要」である第2領域の学習と位置づけ、時間をとって取り組みました。

また、自分が書くことによって、他人が書いた文章への見方も変わりました。今は自然と、なぜこの記事はとても刺さるのか、なぜこの明細書は読むだけで頭が整理されるような感じがするのか、という視点で文章を読むようになっています。そして、文章で人を動かすことや書いて収入を得ることへの興味が高まり、翻訳者として安定稼働した後のやりたいことが見えてきました。

 この心境の変化は、思わぬ効果をもたらしました。それは「他人との比較は本当に無意味」というのが実感として得られたことです。約1年前、あれだけ他人と不毛な比較をして勝手に落ち込んでいたのに、です。これも「自分はこういう方向に進みたい」というものが見えてきたことが大きいのではないかと思っています。

以上の点から私は猛烈にブログをおすすめします。やったことについて書き、書いたことを資産化するという意味では、なるべく早く、受講開始時に始めるのがベストです。最初の頃の素朴な疑問や間違いや迷走も、すべて後々の資産となるからです。

なぜ、「マインドセットが成功のカギ」なのか

 1年目。必死に時間を捻出して勉強を進めながらもなかなか結果が出ず、2年目に入る頃には1年を振り返って「失敗だった」と感じていました。

 2年目。チャンスに乗って中国語の実ジョブをつかんでさらに治験翻訳の学習を始めトライアルに合格するも案件の打診はなく、自ら特許翻訳から大きく外れた道をひた走り、2年間で結局特許翻訳者としてのデビューには至りませんでした。

 客観的に見ると、方向転換を繰り返し、複数の分野と言語を並行させリソースを分散させまくっていた2年目の方が「致命的な迷走」かもしれません。

それでも、私は2年目については失敗だったと思っていません。それは、自らが「稼げるようになりたい」と本心から願い、そして自分なりに行動して得た結果だからです。うまくいかなくても、なぜうまくいかなかったのかを分析し、次はどうすればいいのかを考えて調整して再度行動すればよいだけです。得た結果から気づきを得られれば将来の成功確率が少し上がったことになる、そう考えています。

これに対して、1年目は「人生を変えたい」という思いこそ強烈だったものの、「変わった後」のイメージを明確に描けず、さらに「本当に翻訳者になれるのだろうか」「そもそも、本当に翻訳者になりたいのだろうか」という迷いも常に抱えていました。さらに、会社にも特に大きな不満はなく、その当時は目に見えるリストラの恐怖もありませんでした。

その状態で時間だけは確保して学習を進めた結果、1年目終了時点では他人と比較してただただ嘆き、失敗ばかりで結果の出ていない自分はやはり向いていないのではないか、と自分を信じることができない状態になっていたのです。

 この違いは「絶対に目標を達成する」というマインドセットの有無によってもたらされたものです。

マインドセットの違いが、一分一秒の行動を変えていきます。同じ時間投入したとしても、マインドセットができている人とそうでない人では、時間の使い方が変わります。さらに、マインドセットができていれば、うまくいかなくてもそれを失敗と捉えず、どうしたら次うまくいくだろうか、と自然と考えるようになります。

ひとつひとつの行動で起こる差はわずかかもしれませんが、蓄積効果によって年単位でみればそこには圧倒的な差が生まれます。

 今だからこそ、「1年目はマインドセットができていなかった」ことがわかります。そしてこれこそが、趣味的な勉強をしていたり無駄に悩んで時間を浪費したりすることが多かった本当の理由であり、かけた時間の割には結果に結びつかなかった最大の理由であるということも。

 もし、受講開始時点で「絶対に何が何でも翻訳者になる」という強固なマインドセットを持っていたら、この受講感想は全く違ったものになっていたはずです。

2年前に戻ってやり直すことはできません。

今は1年目の頑張りを認めた上で、目標達成のために足りないものを見極めて試行錯誤を繰り返しつつレベルを上げていくこと、それが私のやるべきことであり、今はそれができると思っています。

 これから始められる皆さんには、私と同じように「一番大切なもの」をないがしろにして時間を浪費してほしくない。この気持ちから、私はマインドセットの重要性をこの場を借りてお伝えしています。

この受講感想には、受講検討中の方に向けたその他のアドバイスは「ブログを書くこと」以外に直接的は書いていません。それはマインドセットさえ強固であれば、この講座のコンテンツの量と質、そしてサポートの手厚さから、途中で環境が激変しない限り成功しないはずはない、と思うからです。このことは成功された卒業生の受講感想を見ても明らかでしょう。

 ここまでで、マインドセットが大事ということはおわかりいただけたかと思います。

ただ、自分が果たしてマインドセットを持っているかどうかは、自分自身では気づきにくいものです。私も受講当初は「知識・経験はないけどやる気だけは誰にも負けない」と思っていましたから。

では、どうやって自分がマインドセットを持っているかを確認すればよいか、そしてどのようにしてマインドセットを獲得できるのかを最後にお話します。

これは、私がこれまで講座で学んだこと、そして成果を出された卒業生の共通点などを自分なりに分析して得たものです。小玉歩さんの「殆どの人が稼げない理由」(https://youtu.be/65X4BstG-2I)という動画も参考にしています。

(1)マインドセットを持っている人

(1-1)過去に成功体験があり、成長曲線を実感している人
(1-2)到達地点が明確に描けていて、自分はそこへ到達できると信じている人(例えば、下記の質問に明確に答えられる人)
-なぜ、翻訳者を目指しているのか
-いつまでに、いくら稼ぐのか、それはなぜか
-上記の目標を実現した時に、具体的にどこで、どんな生活を送っているのか
(1-3)外部的要因から絶対に期限内にプロにならなければならない理由がある人(金銭的理由など)

(2)マインドセットの獲得方法

(2-1)何かを捨てて、目標を実現するしかない方向へ自分を追い込む(退職するなど)
(2-2)将来のあるべき姿や理想の生活をできるだけ詳細に書き出して見える所に貼り、脳内で「実現した」と思えるレベルにまで潜在意識にすり込む
(2-3)他人から弱いマインドを指摘してもらい、矯正する

私は他人(管理人さん)から指摘を受けることでまず自分の弱いマインドに気づき、そこから将来のあるべき姿を模索していましたがうまくいかず、さらに管理人さんからの指摘から「仕事を捨てる」ことを決意し、マインドセットを獲得しました。

この過程は限りなく「個別コンサル」に近いものであり、別のビジネス塾などでは恐らく何百万とかかるコンサルティングを私は数十万の受講料に含まれるサービスとして受けた形になります。私は他の翻訳講座の受講歴はありませんが、このような翻訳者・フリーランスとして持つべきマインドにまで踏み込んだ「翻訳講座」はどこを探しても見つからないのではないでしょうか。

私のように、マインドセットが伴わないまま講座に飛び込んで叩かれまくってようやく覚醒する、という道もあります(ブログを続けることが前提となりますが)。ただし、この場合私が歩んできた道のりのように、恐らく結果が出るまで時間がかかります。

 誰よりも長く時間勉強した人がプロになるわけではなく、誰よりも強い気持ちを持って勉強した人がプロになるのだ、と私は考えています。

 受講を検討されている方にはぜひ一度、ご自身が翻訳者を目指す理由などを書き出して、「絶対に翻訳者になる」という気持ちがどれだけ強いか、また「途中であきらめない」と自分自身に約束できるかどうかをご確認いただければと思います。

 「絶対に翻訳者になる」というマインドを持っていることが確認できたら、あとは自分を信じて、講座を信じて進むのみです。

最後に

 私はこの2年間で人生を変えました。それは、会社員からフリーランス翻訳者になったということよりも、「目の前の景色」の見え方が全く違うものになったことから感じるものです。

 自分から世界を狭くして失敗を恐れて生きていた頃と、正しい努力を継続すれば何でもできるだろう、失敗こそが財産だと心から思える今。

 自分に縁のない世界だと思っていた「情報発信」の世界を垣間見て、そして挑戦してわずかな手応えを得て、もっと勉強したい、稼げるようになりたいと思える今。

 物事への見方が変われば、同じ情報に触れてもそれに対してどう考えどう行動するかが変わります。そして、行動が変われば得られるものも変わり、その得られたものによって人生そのものが変わります。

 正確に言えば、私はまだ「人生が変わるきっかけ」を得たにすぎません。これから自分の頭で考え、行動することを繰り返すことで本当に人生を変えていけるのだと思っています。

最後になりましたが、管理人様、2年間本当にありがとうございました。

正式受講後、初めて見たビデオのタイトルは「夢子への宣戦布告」でした。今思うとこの時に夢子との戦いは静かに幕を開けていたのですが、当時は全くの他人事でした。ここで夢子であった自分自身へ「勝利宣言」し、自分の将来のための新たな戦いへと出発します。

1年後、翻訳者として月40万継続的に稼げるようになっていること、そして3年後には「翻訳者兼ライター兼アフィリエイター」で活躍している姿をご報告できるように、毎日の学習と行動を積み重ねていきます。

受講生・卒業生の皆様にはブログから有意義な情報を頂いたり、直接お会いしたりメッセージのやり取りで励まして頂いたりすることで、自分にはない視点でアドバイスを頂く機会に恵まれました。本当に感謝しております。ありがとうございました。

そしてここまで、長い長い受講感想にお付き合い頂きました皆様。
本当にありがとうございました。

ここまでお読みになり「興味があったけどなんだかものすごく大変そう」と思われたかもしれません。是非、他の方の受講感想も参考にしてご判断ください。

「講座で楽しみながら勉強してプロになりました」という方がいらっしゃるのも事実であり、2年かからずに年収600万レベルに立ち上げる方がいらっしゃるのも事実であり、この受講感想もまた事実です。

もうひとつ事実をお伝えすると、私が当初ホワイト企業だと思っていた勤め先は、私が退職した年に吸収合併され、待遇にも大きな変化が生じました。

私はそれを予期して辞めたわけではないのですが、人生何事もタイミングだなとしみじみ思います。

この2年間の戦いの記録が何らかのきっかけになりましたら幸いです。

40代・文系女性・子育て中・中国語の産業翻訳/特許翻訳者として独立

私について

・受講コース:1.5年コース(2018年5月受講開始)
・受講開始からの学習時間の累計(含む実ジョブ):2,180時間

現在の実績

  ・取引先2社

A社:産業翻訳、メディカル分野
B社:特許翻訳、機械・化学分野

翻訳者として稼働して5ヶ月経ち、これまでの平均月収は8万円

レバレッジ特許翻訳講座を受講するまで

中国語学習のきっかけは夫の中国赴任に帯同したことでした。
中国語が好き、というよりは必要に迫られてというのが正直なところです。
ところが、いざ勉強を始めると楽しくなってしまい、大学の語学コースに通うようになりました。

4年の駐在期間を終え、帰国。当時は子どもがまだいなかったため、
自治体の臨時職員として事務職兼通訳として働き始め、キャリアを拡げるべく通訳案内士(中国語)の
資格も取得しました。しかしその後妊娠・出産のため退職せざるをえませんでした。

自分の今後のことについてゆっくり考えられるようになったのは、子どもが幼稚園に通うようになってからです。
夫は転勤族のため、どこに行くことになってもキャリアを積める職業は何かを考えてたどり着いたのが翻訳でした。

最初は大手翻訳学校の通信講座に申し込みました。半年間のコースで、週に1回の課題提出というスタイルでした。
始めたばかりの頃は先生に添削してもらうのが楽しかったのですが、しばらくするうちに、
このままで翻訳者になれるのだろうかと思うようになりました。

というのも、その大手翻訳学校の講座に通うにはレベル分けテストを受けなければいけないのですが、
大体は初級コースから始まります。その後、進級テストを受けて、合格したら
基礎コース→中級コース→上級コースと進んでいきます。順調に行っても最低2年はかかるわけです。

実際に翻訳者として活躍している人で情報発信をしている人はいないだろうかと検索したら、
レバレッジ特許翻訳講座の卒業生のブログにたどり着きました。残念ながらそのブログは削除されて
今は見ることができないのですが、直感的に「この講座だ!」と感じたのを今でも覚えています。
すぐにビデオセミナー300本無料プレゼントを申し込み、スカイプコンサルをしていただき、
そのまま講座に申し込みをしました。

レバレッジ特許翻訳講座の進め方

管理人さんのアドバイスに従って「岡野の化学」と「橋元の物理」から始めました。

1ヵ月目

最初の1ヵ月はビデオをダウンロードしつつ、1日をどう過ごすかの試行錯誤で終わってしまいました。
子どもの幼稚園には預かり保育がないため、幼稚園に迎えに行くために13:40には家をでなければなりません。

そのまま公園遊びまたはスーパーへ買い出しに行かねばならず、勉強時間がなかなか取れませんでした。
子どもが寝た後に勉強したりもしたのですが、自分の部屋がないためリビングにある
ダイニングテーブルで学習していると、夫の帰宅によって一次的に中断しなければならず、
なにか方法はないかと考えた末に、朝型に切り替えました。

具体的には;

3:00~ 起床・勉強
5:30~ 家族起床、朝食準備、朝食、弁当作り・・・etc.
8:30~ 子ども登園
9:00~ 家事
9:30~ 勉強
13:40~ 子どもお迎え→そのまま外遊び or スーパーへ買い物
16:00~ 帰宅、家事、夕食作り
17:20~ 夕食
18:30~ 片付け
19:00~ お風呂
20:00~ 子どもと一緒に就寝

現在は「勉強」の部分が「仕事」になっていますが、
今もこのスケジュールで1日を過ごしています。

2ヵ月目

 この頃の1日の勉強時間は5時間程度でした。ひたすら「岡野の化学」を学習する日々が続きます。
ビデオセミナーではノートのとり方も丁寧に教えてくれるので、その通りにノートをとっていました。
並行して「化学のドレミファ」も読み進めていました。

1日のスケジュールが安定してきたので、この頃にブログを立ち上げました。
これも管理人さんオススメの「ワードプレス」「お名前.com」「エックスサーバー」で立ち上げました。
なんとなく難しそうと思っていたのですが、自分で立ち上げ方を調べて、実際にやってみたら、
若干時間がかかりましたが自分の作品(?)が形としてウェブサイトに上がったときの感動は格別です。
この経験を通して、できない理由を考える前にまずはやってみようと思えるようになりました。

3ヵ月目~6ヵ月目

半年かかって「岡野の化学」が終了しました。この頃にマウスコンピュータでPCを新たに購入し、
Tradosが30%offのセールをしていたので、こちらも思い切って購入しました。

7ヵ月目~8ヵ月目

2ヵ月かけて「橋元の物理」を終わらせました。
また、ブログのGoogleアドセンスのことを意識し始めたので、
この頃にワードプレスの有料テーマを購入しました。

8ヵ月かかって「岡野の化学」と「橋元の物理」を終わらせました。
ただの高校の化学・物理の復習ではありません。「特許を読むため」に必要な
化学・物理の基礎の勉強です。なので関連特許を平行して読んでいました。
まずは日本語の明細書を理解しないことには、他の言語で書かれた明細書も理解できませんから、
この期間はひたすら日本語の明細書を理解することに努めました。

9ヵ月目~10ヵ月目

ようやく対訳シリーズに入りました。講座は英日のペアでビデオが進んでいますが、
私の翻訳言語は中国語なので、中日のペアのある明細書を最初に選びました。
1件目の「P&G」はビデオと並行しながら対訳を取っていき、1ヵ月かけてじっくり取り組みました。
2件目の「3Dプリンター」は、まずは自力で翻訳し、その後ビデオでトレースしていき、
自分と管理人さんとの差がどこにあるのかを見ていきました。

対訳シリーズに入ったのをきっかけにTradosの操作方法を学ぶべく、卒業生の方がされている
「翻訳支援ツールマスター講座」を受講しました。Tradosのウェブセミナーなどを利用して
自分で勉強することもできるのですが、私は時間をお金で買うことを選択しました。
講座を始めた頃と比べると勉強時間は増えましたが、それでも1日に6時間ほどしか
勉強に充てられなかったので、結果的によかったと思っています。

 またこの頃にトライアル応募先を探し始め、マスターCVを管理人さんに見ていただきました。

11ヵ月目

トライアルに挑戦しました。勉強時間は1,000時間をちょっと越えた程度です。
「最初は落ちますから」と言われていたし、私も1,000時間では全然足りないと思っていました。
が、なんと嬉しいことに合格いただきました。ただ、すぐに仕事が来るわけではないので、
その後も続けてトライアルを受けました。

また、トライアルを受けてから「時間は自分で作るもの」ということに改めて気づかされました。
今までも工夫をして時間を作ってきたつもりでしたが、トライアルのように時間制限がある中で
課題文に取り組んでいると、1分1秒が大変貴重なものに感じられ、なんとかして時間を作ろうと、
さらに工夫をするようになりました。その結果、この頃には1日7時間を勉強に充てられるようになりました。

1年1ヵ月目

登録した翻訳会社に挨拶に行きました。この頃から仕事をポツポツいただくようになり、
今のところ途切れずに仕事が続いています。

現在の状況

登録している翻訳会社は2社で、ありがたいことに継続的に仕事をいただいています。
収入はまだパート並みなので、まずは主人の扶養から外れることが2020年の目標です。

まだ仕事に充てられる時間が少ないので、仕事の依頼があると、仕事にかかりっきりになってしまい、
勉強時間が取れなくなっています。仕事をいただくようになってからビデオセミナーの進捗率が
ガックリと減っており、11/5現在のビデオセミナーの消化率は1176本/3294本です。

「岡野の化学」と「橋元の物理」は終了。対訳シリーズは「P&G」「3Dプリンター」
「IBM(68/73本)」を見ました。トライアルを受ける時は「CVの書き方」や「専門分野の広げ方」
「メールライティング関連」を中心に見ていました。現在は隙間時間に「仕事の進め方」「マインドセット」など、
最新のビデオよりも1000番~2000番台のビデオを中心に見ています。

仕事を始めた今だからこそ管理人さんの言っていることがわかることがあったり、
腑に落ちたりすることがあるからです。そして時々おやつビデオで最新のブックレビューシリーズを見ています。

今後のこと

現在は中国語の翻訳者として稼働中ですが、私の中では中国語と英語が両方できる翻訳者になる
というのが常に頭の片隅にあります。

もともとは管理人さんからのアドバイスがきっかけで考え始めたことでした。
3件目のトライアル応募したときに「中国語は案件が少ないため募集していません」
と書類落ちしたことがあり、「翻訳で報酬をもらう」という喜びを得るきっかけとして
中国語にこだわる必要はないのでは?と思ったのです。実際市場としては中国語よりも英語の方が圧倒的に多いです。

今は幸運なことに「翻訳で報酬をもらう」という段階を中国語でできるようになったので、
ひとまずこのまま中国語で進んで行きたいと思っています。ただ今後のことを考えると
英語もできた方が良いなとも感じています。中国語と英語ができる翻訳者を当面のゴールとして進んで行きます。

最後に

この講座はただの翻訳講座ではありません。この講座を通して翻訳だけではなく、
ハード面、ソフト面、ITスキルなど、あらゆる点をカバーしてくれています。
自分の無知をさらけ出すようで恥ずかしいのですが、ビデオセミナー300本プレゼントに応募したとき、
フリーメールで申し込んでしまい、管理人さんから「それじゃダメですよ」と、そこから教えていただきました。

他にも、ビデオセミナーでは、たびたび予備のパソコンの用意、バックアップの大切さ
についての話がありますが、実際に仕事を受けている途中でメインパソコンが故障してしまったことがあります。

一瞬パニックにはなりましたが、講座で言われたとおりに予備のパソコンの用意、
バックアップも2重でとっていたので滞りなく納品できました。私が以前通っていた翻訳スクールでは、
ここまでカバーはしていませんでした。仕事を受けた後のことまでカバーしてくれているのは、この講座の強みだと感じます。

また、この講座を受講してから私自身が変わりました。「できない理由を考える前にまずは行動してみる」
ようになったことです。まだ頭がガチガチな部分もありますが、それでもかなり変わったと思います。

講座を始める前は「ブログなんて難しそう。文系だし、ITわからないし、(8期は)
必須ではないし、時間ないし」とスルーしていたのですが、何度も繰り返される
管理人さんの「ブログやるべし!」コールに、「そこまで言うなら、とりあえずやってみよう」と思うようになり、
「ワードプレス、ブログ 立ち上げ方」で検索し、実際にやってみたら思っていたよりも短い時間でできてしまい
(1週間くらいかかると思い込んでいたのですが、実際には3日ほどでできました)、
自分で勝手に「できない」と思い込んでいたことに改めて気づかされました。

この経験は、私にとって大きい財産となっています。実際に仕事で医療機器×ITの案件が来たときに
受けようと思えたのも、このときの経験があるおかげです。

受講当初は、自分がソフトウェア開発におけるウォーターフロー図を見ている姿を
想像することはできませんでした。資料を読んでいると、この分野に抵抗がないことがわかり、
自分の意外な一面を発見しました。というよりも、自分の限界を勝手に決めていたことに気がつきました。

また、家族も変わりました。夫は、最初は「学校を変えただけだよね」という意識だったのですが、
私が勉強時間を確保するために毎朝3時に起きるようになり、
それが3ヶ月以上続いた頃から「おや?」と思い始めたようです。

この頃から気が向いたら週末の皿洗いを担当してくれるようになりました。
トライアルに合格する頃には、何も言わなくても週末の皿洗いは夫の担当になり、
今では「食洗機ってどうかな?」と言うようになりました。来年子どもが小学校に上がるので、
子どもの勉強机の購入について話していた時に「リビングの配置を少し換えて、自分の机も置けば?」と、
家の模様替えの提案をしてくれました。

言うだけでなく、カタログで調べたり、気分転換もかねて家具のショールームに
連れて行ってくれたりしました。模様替えは現在進行中で、
年内にはダイニングテーブルでの作業から卒業する予定です。

子どもも受講当時は4歳半でしたが、現在は6歳。この1.5年でずいぶん成長しました。
最初は3時に起床しても、私が隣にいないと狂ったように泣き叫び、
「眠るまで手をつないでて!!」と離れてくれず、せっかく3時に起きても、
子どもの寝かしつけに2時間かかったりして、朝の勉強時間が30分なんてことがザラでした。

今は隣に私がいなくても大丈夫になりましたし、仕事を納品した翌日に
少しゆっくりめに起床した日には「ママ、今日お勉強しなかったの?ダメじゃない。」
と言われるようになりました。

私が無事に受講を終えることができたのは、すごく恵まれた環境にいたからだと思います。
子育て中というハンデはありますが、主人の収入だけて食べていけるという専業主婦の立場を
思う存分利用させてもらいました。また受講期間中、離れて暮らしている
それぞれの親の健康が守られたというもの大きかったです。

親たちは皆70代ですが健脚で、それぞれの趣味に忙しく、実母に至っては、
私が仕事で手が回らなくなったときに何度も来てもらい家事など手伝ってもらいました。

数年後には直面するであろう親の介護、夫の役職定年など、避けて通れない問題はありますが、
その前に少しでも仕事で稼ぐモードに突入することができ、最高のタイミングで講座を受講することができて、
私は幸運だったと改めて感じます。現在はステージを上げるべく、4ヶ月ぶりにトライアルに挑戦しています。

ご参考までに現在までのトライアルの実績は以下の通りです。

1件目(2月):(産業翻訳、医療分野):合格
2件目(3月):(特許翻訳、機械分野):合格
3件目(4月):書類落ち(中国語の案件が少ないために現在は募集していないとのこと)
4件目(6月):(特許翻訳、化学分野):合格
5件目(10月):書類落ち
6件目(10月):返事待ち

この講座に出会えたおかげで、変化すること、チャンスつかみ取ることが怖くなくなりました。
人間とは不思議なもので、目の前にチャンスが転がっていても、なぜか「まだ自分には早いから」
とか「自分だけ抜け出してしまうなんて」と躊躇してしまう自分がいたのですが、
今は「つかみ取っていいのだ」と思えるようになりました。

QOLノートに自分のなりたい将来を言語化し、具体的なイメージを貼りだしているので、
チャンスをつかみ取った後に起こる変化に対して心の準備ができているからだと思います。

まだ見るべきビデオもたくさん残っていますし、バイオの勉強、5Gの勉強など、
やりたいことがたくさんあります。これからは自分で知識を深めてステップアップしていきたいと思います。
また、子どもが小学校に上がれば、自分の時間が増えるでしょうから、ブログにも力を入れていく予定です。

管理人さん、1年半どうもありがとうございました。

海外在住・文系女性、在宅特許校正者から翻訳者へ転向

レバレッジ翻訳講座1年コースの受講を開始してから、もう1年間が過ぎようとしているとは、
真剣に毎日毎日勉強に取り込むにも、のんびり日々を過ごすにも、早いものです。

私のことを先に紹介させていただくと、アラフォーの既婚女性、小学生の子どもが2人います。
国際結婚し、海外生活は15年ほどでしょうか。もともと文系出身、化学の知識は高校まで、物理の知識ゼロ。
英語は、学生時代から好きだったのと、海外生活が長いこともあり、大分前ですがTOEICで満点近くを取得。

育児・家事をこなしながら、日中は、某翻訳会社の在宅特許校正者として働いています。

校正業務について

 特許校正のお仕事は、育児でお休みをいただいた時期を除いても6年程度になりますので、
これまでに数百件の特許明細書を担当しています。翻訳コーディネータさんとも良い関係を築いており、
また登録先が大手翻訳会社とのこともあり、校正であれば、いくらでもお仕事をいただけます。

 校正作業の利点は、短時間、短期間での作業が可能なことです。
下の子どもが就学前は、どんなに時間を節約しても、1日の作業時間5時間、週5日稼働で計25時間が限度。
作業可能時間、自分のキャパを考慮し、毎週割り当てられるジョブ依頼を引き受けられるかどうか決定する。

翻訳とは違って、1案件にかかる時間が短いので、作業可能時間、曜日等に限りのある(例えば主婦)の方にはオススメです。
また、多数の翻訳者の訳に触れることで、翻訳の質がどの程度のものなのか、特許特有の表現方法、スタイルなども
参考にすることができ、私自身もそうですが、特許翻訳学習者には最適と言えます。

 ただし、翻訳者と比べ、校正者の賃金は訳文レート1ワードにつき1円以下、
時給換算でも1000円稼げるかどうか。翻訳の質が落ちれば、その分、校正者の負担が増え、
普段であれば時給1000円換算のところ、600-700円程度にしかならない場合もあります。

校正のプロとして、翻訳の質の善し悪しにかかわらず、完璧な状態で後工程に回す必要があるため、厳しい状況です。
過去あまりに酷い翻訳文が提出され、締め切りも厳しく、校正を施した訳文が全ページ赤ペンで染まることもありました。
の時は睡眠時間もあまり取れずに作業して、それでも時給500円になったかどうか。

管理人さんもおっしゃってる通り、校正から特許翻訳に入り、仕事をしながら勉強する手もあるが、
自分で期間を限定(半年、1年間など)して翻訳に転向するべきかと思います。

受講の申し込み

 前置きが長くなりましたが、下の子どもが就学し作業可能時間が増えたこと、
また、いくら完璧な仕事をしても最低賃金から抜け出せないこともあり、
今度こそ絶対に特許翻訳者になろう!と決意。レバレッジ翻訳講座の受講を申し込みました。

また、他の翻訳者さんの訳を見てきて、これなら自分でもできるのではないか、
逆に自分の訳の方が分かりやすいのではないか……と感じることも多々あり、
翻訳者への転向を希望しました。

受講申し込みの際、受講料を工面するにあたり、本講座の内容が自分の求めるものであるか、正直とても迷いました。
レバレッジ特許翻訳講座のHPを拝見すると、講座の特徴、受講までの流れ、受講料、卒業生の声等、
詳細に記載されており新規の方にとても分かりやすく、申し込みやすいサイトになっています。

 以前は、現在ほど明確には記載されておらず、管理人さんからいただいた何十、何百通の卒業生の声を読破し、
無料ビデオ300本を視聴し始め、受講を決意しました。

翻訳講座の比較

 以前に、某翻訳スクールの特許翻訳講座を受講した経験があります。
初級、中級、上級を修了しました。まだ子どもが生まれる前、専業主婦の時期で、1年間半程度かかりました。

上記スクールは、特許翻訳を始める足がかりとしては問題ありませんが、
特許明細書の1部分ずつを抽出した課題を解く方式であり、あの講座が実ジョブに直結するとは思えません。

実際に、やっと校正者として職に就けましたが、未だに特許翻訳者として出発できていません。
今考えてみると、「とりあえずこのスクールを修了すれば、勝手に道が開けるかもしれない」
という私自身の甘え、管理人さんのおっしゃる夢子思想の表れも原因かと思います。

 レバレッジ特許翻訳講座は、そんなに甘くありません。
自分でやった分だけ、必ず成果として戻ってくる(やらなければ勿論何も起こらない)。

 まず、講座を開始してすぐ、3000本を超える(現時点でほぼ3200本)ビデオコンテンツ、
つまり、自分に欠けている知識を目前にし、夢子思想を断ち切られます。
量の多さに圧倒されながらも、やる気が起きる。

レバレッジ特許翻訳講座では、特許明細書全体を取り上げ、ビデオセミナー形式で、
ベテラン翻訳者である管理人さんの作業方法を、全て吸い取りながら学ぶことができます。

その他にも、CV作成方法、化学・物理関連、翻訳業界情報、トライアル等、
特許翻訳者になるのに必要な知識を網羅しており、
短期間で翻訳者を養成する講座として最適だと思います。

1年間を振り返り

 受講申し込み当時、それこそ最低1年間は寝ずの努力をして、意地でも自分の時間を作り、
その全てを勉強につぎ込み、最短ルートで結構な金額を稼げる翻訳者になる、と決心して本講座を始めました。

 この1年間を振り返り、そうであったかと思えば、残念ながら、そうとは言えません。
夫に相談し、1年間勉強に熱中するため、校正の仕事をお休みする機会をいただきました。
ただし、無賃金の際に育児料金を支払える余裕はありません。子どもたちの学校が長期休暇の際は、
ほぼ育児専門になります(海外では特に休暇が多く、1年の半分位)。

 その間、早朝と子どもが就寝後の時間を使い、ビデオ視聴、学習を続けました。
1日の学習時間は3時間程度でしょうか。もう少し無理をして学習時間を増やすことも可能でしょうが、
家事・育児も体力勝負です。翌日のことを考慮すると、あまりの無理は禁物です。
20代では多少の無理もできましたが、アラフォーになると体調を崩したり、
精神的に不安定になってイライラしたり、逆効果です。

 こんなやり方では管理人さんの渇を受けてしまいそうですが(管理人さん、すみません)…… 
学習スケジュール、予定目標(収入、期間など)は、あくまでも個人個人の自由であり、
自分の人生の一部なので、自分の都合で設定し、一歩ずつ前進していけば良い、それしかない、と思います。

 昨年は、子どもが稀な感染症にかかり、入院生活を送り、その後、完治するまで出席停止になりました。
講座の受講とは無関係ですが、ここで大幅な時間(計3ヶ月ほど)を失いました。

その間も、家にいる時は、1日3時間程度の学習を続けましたが、
子どもがあまりに体調不良の時には、精神的・体力的にも、他のことを考える余地は全くありません。
ちょうど本講座を受講中にタイミングが悪く残念ですが、こうした事態は常に起こる可能性があり、
その時その時で順応するしかありません。子どもの有無にかかわらず、
自分や他親族のトラブルなどの可能性もあります。

 その後、やっと通常に戻り、子どもが学校に行っている時間(5時間半)をほぼすべて学習に向け、
家事は子どもが帰宅後にサッと済ませることにしています。失った時間を埋めるまではいきませんが、
早朝と、子どもが就寝後の時間を使い、ビデオ視聴に専念しています。学習時間は平均1日8時間。

これまでの学習成果

 講座受講開始後、管理人さんのおっしゃる通り、まずビデオコンテンツをすべてダウンロード。
膨大な量なので、かなり時間がかかりましたが、ダウンロードしながら、自分に最も必要な
コンテンツから視聴を開始しました。

 まず、実務作業に直結したソフト関連のビデオを視聴し、TRADOS、E’Storage、Concept Search、
秀丸等を実際に使用した作業方法を習得しました。

TRADOSはこれまで旧バージョンを使用していましたが、TRADOS Studio 2019を新規購入。
また、Memsourceを指定する翻訳会社も多いので、Memsourceをインストールし、作業方法を学習。

 その後、CV作成に関したコンテンツをファイル分けし、ひたすら視聴。同時に、各翻訳会社の求人情報、
会社概要等を読み、必要とされる翻訳者像、社風等を確認しました。応募条件、社風が
自分に合いそうな翻訳会社をピックアップし、リスト化。また、ウェブ上の翻訳者名簿から、
翻訳者のCVを参照し、マスターCVを完成するのに必要な項目・内容を練りました。

 CV作成で特に悩んだのは、必須となる得意分野・専門分野の選定です

その選定に的を絞ったコンテンツも用意されています。
私の場合は、これまでの翻訳・校正経験より、化学・電気/日英翻訳に絞り、
また本講座が特に化学分野を強化していることもあり、化学を主体にしました。

 サブ項目の選定にはとても悩みましたが、ビデオセミナーで管理人さんがなさっていたように、
特許の登録件数(会社別、項目別)を調査。化学・電気分野でトップ30以上の会社をリストアップ。
会社別にどんな製品・発明方法等に需要があり、特許登録されているのかをさらにまとめました。

その集計リストをもとに、自分の経験分野、興味がある項目と合わせ、サブ項目を、半導体、電子デバイス、
電池、画像処理、有機化学、感光材料、新素材等に絞りました。どれだけ頑張っても、需要の少ない、
あまりにマニアックな内容に絞っては、仕事につながりません。

 CV作成にあたり、管理人さんが、「誰でも初めは初心者であり、実ジョブではなくても、
自力で翻訳したものは翻訳経験としてどんどん記載すること、
短い人生なのだから夢子生活で時間を無駄にしない、行動するのみ」とおっしゃっており、
CVの中でオドオドしていた私、遠慮気味になっていた私を捨て去ることができました。

 マスターCVは、近い将来の自分の姿・目標を記載したもので、管理人さんのおっしゃる通り、
受講開始後すぐに提出し、少しでも経験が上がるごとにアップデートすると良いと思います。
時間のロスもあった関係で、提出が10ヶ月目と遅くなってしまいましたが、
管理人さんよりGOサインをいただき、とても自信がつきました。

 CV関連と併行して、特許明細書を翻訳するビデオを視聴しました。
管理人さんの作業をすべて真似るように、参照案件より訳語・イディオムを取り、
用語集やTMに書き込み、Googleでの調査、ノートまとめの作業を繰り返しました。

特許翻訳のベテランである管理人さんの動き・思考方法を真似ることで、自分では素通りしていた物事でも、
深入りして調査する癖がつきました。また、管理人さんがオススメされたサイト等は必ずブックマークし、
他にも有用な情報がないか確認しながら作業しましたので、結構時間がかかりました。

 校正業務を通して、特許明細書の内容や照らし合わせ作業には慣れていますので、
特許明細書3案件分を終了した後、化学関連の学習を進めました。

「岡本の化学」の有機・無機化学、理論化学を読み進め、それと同時にビデオ視聴を続けました。
 「岡本の化学」は初心者向けの内容になっていますが、やはり分かりにくい部分もあり、
ビデオを視聴することで、内容を補充し理解を深めることができました。

管理人さんがおっしゃるとおり、「常に手を動かす」ことを念頭に置き、管理人さんの手を真似して、
化学式等を自分でノートに書き留めました。遠い過去の受験時を思い出しますが、自分の手で書き写し、
口に出して言ってみることで理解し、記憶することができます。「岡本の化学」の他に、化学英語に親しむため、
マクマリー有機化学(英語版)を購入。辞書ほどの厚みですが、少しずつ読み進めています。

トライアル

 受講開始から10ヶ月目にして、ようやくトライアルに応募しました。
3件応募し、現況は下記の通りです。

トライアル合格 1件
トライアル返事待ち 1件
トライアル受験中 1件

 1件目は大本命の翻訳会社で、ようやくトライアル合格のお返事をいただき、
心から嬉しくて、本当信じられません!

まだ仮登録の状態で、特に実ジョブ1~3件目はより慎重にしなければ
本登録に繋がりませんので……頑張ります。もちろん、本登録後も丁寧な仕事を続けますが。

 2件目はトライアルを終えたばかりなので、お返事をいただくまで1ヶ月半要するとのこと。
3件目は、まだトライアルに着手したばかり。ライティング作法が厳しいところなので、
当会社のスタイルを学習中です。

 以前の私は、特許校正経験、翻訳経験、そこそこの英語力がありながらも、
書類選考落ちでトライアルまで及ばず、この先が見えない状態が続いていました。
先はまだまだ長い道のりですが、とりあえずやっとスタート地点に立てた気がします。

今後の予定・目標

 当面の最大の課題は、トライアルを合格した翻訳会社に自分の実力を示し、
翻訳コーディネータと良い関係を築き、コンスタントに実ジョブをいただけるようにすること。

それには、常に良質な訳文を期限に余裕を持って提出し、コミュニケーションを大切にすること。
そして、コンスタントにお仕事をいただける翻訳会社、2-3社に翻訳者登録できるよう、トライアルに挑戦する。

 ご依頼待ちの期間は、レバレッジ翻訳講座のビデオ視聴を続け、専門分野(特に半導体、有機化学)の特許明細書、
その他文献を沢山読み、理解を深める。また、PC環境の整備、好適化。

 レバレッジ講座では、具体的な作業方法や化学関連を中心に勉強してきましたが、少し余裕ができましたら、
AI技術の進化を考慮して「書くチカラ」等を視聴し、今後の翻訳者としての生き抜き方について考察したいと思います。

 まず、翻訳会社2-3社と契約してコンスタントに実ジョブをいただけるようにし、
その後の金銭的な目標は、現実的に考えて、

1年目¥300,000/平均月収(¥3,600,000/年)
2年目¥350,000/月(¥4,200,000/年)
3年目¥400,000/月(¥4,800,000/年)~
5年目¥600,000/月(¥7,200,000/年)
最終的には¥750,000/月(¥9,000,000/年)。

 目標達成のためには、翻訳スタイルを確実に自分のものにする。管理人さんのアドバイス通り、
「これだけは任せろ」という得意分野を持つこと。また、マクロ・アドインの強化、その他
作業に役立つソフトや機器に投資することで、作業効率を上げ、
より多くの案件をこなせる(=収入アップ)ようにする。 

 やっとトライアル1社に合格。トライアルに合格したとは言え、はたしてギリギリ合格なのか、
普通程度、または、かなり上位で合格できたのか、計り知れません。
ここからが本番です。より気を引き締めて、前進します。

 他の受講者の方のようにブログを立ち上げる余裕はありませんでした……が、
前進するごとに、管理人さんにご報告いたします。ありがとうございました!

理系女性、元会社員(知財部)、特許翻訳者として安定稼働中

現在

アラフォーの既婚女性です。子供は二人で、現在、翻訳会社6社と契約しています。
一昨年の 2016 年夏から講座(2 年コース)を受講し、昨年春からトライアル受験。
実ジョブは昨年夏から受け始め、現在、安定的に依頼を受けられる状態になりました。

受講動機

私は、もともと企業の知財部門に勤務する会社員でした。
会社内で、先行技術調査・出願・中間処理業務・侵害予防調査・分析など、一通りの
知財関係業務をやっていくうちに、はじめのうちは知財の仕事にあまり興味は持てなかったものの、
時が経過するうちに、新しい技術をたくさん知識として取得できることや、この仕事の特徴として
チームプレーの部分は少なく、個人の調査能力などに寄与する部分が多いことなどから、
この仕事に携われて良かったと思えるようになっていきました。

そんな中、結婚して2人の子を出産。産休・育休もしっかりと取得し、会社員として復帰しました。
1人目の復帰の際は、会社員として「育休」を取得したからこそ、希望した保育園に入園できた
という感謝も大きく、「これからも会社で頑張ろう」と思う気持ちですごすことも多かったと思われます。
そのような気持ちの中での二人目の妊娠&出産。二人目の会社復帰直後も「これからもこの会社で頑張ろう」
という気持ちで、はじめは頑張ってみようと思っていました。

ただ、復帰後の会社通いと2人の家事育児の両立はやはり体力的にも本当に大変で
(夫は超多忙のほぼワンオペ 2 人育児)、それに加え育休ブランクや子持ち勤務による見えないハンデにより、
会社の方向性ややり方など、疑問に思うことは日を追うごとに増えていき、
次第に「何が自分にとって一番大切なのか?」「この先、どういう生活がしたいのか?」
を考えるようになっていきました。疲れ果てている中いろいろ考えましたが、
何よりも大切にしたいのは我が子であり、その我が子のそばになるべく居られる仕事がいいな
と思うようになっていきました。

しかしながら、知財関連の仕事自体は嫌いではないし、家でコツコツ勉強することはむしろ好きでした。
そのため、この先、家で、会社のしがらみにとらわれることなく、
知財をからめて働いていけることはないかな?と考えるようになり、
いろいろとリサーチしているときに、この講座と出会いました。

企業の知財部門では、特許明細書の翻訳というと、外注や、
特許出願を依頼する特許事務所でしてもらうことが多かったのですが、この講座を発見して、
「そうか、特許翻訳なら新しい技術に携わりつつ、自宅でも自分で勉強&努力しながらすすめていけるな」
と思い受講を決めました。

たしかにこの講座は、金額としては高額でしたが、自分自身が会社員で、月給&ボーナスも
自分で稼いでいる身でしたので、夫にはさほど相談という相談もすることなく
「このレバレッジ特許翻訳講座講座で絶対に結果を出せるように頑張ろう」という
自分の強い決断のみで受講を決定しました。

1年コースではなく2年コースを受講した理由は、「会社員をしながら、二人の子持ちで、
夫が超多忙というこの状況では、どう頑張って時間を捻出したとしても、圧倒的な時間不足により、
1年では結果が出せないかもしれない・・・」という不安や、何か不測の事態に備えてのことです。

はじめから2年スパンで考えていたわけではありません。目標はあくまで1年。1年でとにかく
トライアル合格までの結果はだし、2年目になって少し先が見通せるようになったら、
会社をやめて、そこからは、実ジョブを受けつつ、ブラッシュアップしていけたらいいな
という目標をはじめにたてました。

受講前期(1年目)・・・会社員と並行しての講座での勉強期間。

このあたりは、1年目の受講感想でも記載したことなので、あまり詳細には書きませんが、
講座受講当初は、とにかくビデオをたくさん視聴して、講座の考え方や手法をたたき入れる
という受講スタイルをとっていました。Trados ははやい段階で購入し、
ビデオを見ながら、いじっていました。

早朝学習+会社勤務+家事・育児という状況はかなりハードな毎日でしたが、子どもの近くで、
自宅で働くという目標を達成するために、毎日を頑張ってこなしていました。環境整備をするには、
お金が必要になりますが、新しいパソコンや辞書など、そのあたりをわりと惜しみなく
自分の権限で出費できたのは、自分が会社員として働きながら講座も育児も・・・
と頑張ったからだと思っています。

会社をやめて短期間で、集中的に死ぬほど頑張るという方法は、
独り身であれば非常に有効な手段であると思いますが、金銭面や育児などを考慮すると
なかなか短期間集中で死ぬほど講座に時間を割くことは難しいため、自分としては
2年コースを受講しながら、会社員をやめずにこのスタイルでやってよかったと思っています。

1年目の後半は、より実践を意識した勉強に集中しました。
そして、トライアル受験をターゲットにして、トライアル関連のビデオを視聴しはじめました。
トライアルレビュー関連のビデオでは、まず、自分で課題に取り組んでから解説を聞き、
どこで間違えたのかを明確にし、ノートにも資料などを貼っていきました。

そうすることで、トライアル課題が送られてきてからまず何をするのか?いきなり翻訳せずに、
調査をしっかりしてから翻訳するというスタイルを身につけていきました。
ただ、実際のトライアル受験までは、いろいろと理由をつけて(会社員で忙しいなど・・・)、
なかなか踏み出すことができませんでした。

10ヶ月目で、やっと翻訳会社にエントリー。

いざ、トライアルを受け取って、課題文を目の前にすると、調査にしても、翻訳にしても、
提出形式にしても、その課題への取り組み姿勢(本気度)は、勉強のときと比べても
格段に高いものが求められるということにようやく気がつきました。
「管理人さんが恥をはやくかけって言ってたのはこれなのか」と。

勉強の中身がすっからかんでトライアル受験というのは、駄目だと思いますが、
ある程度勉強をすすめている人であれば、そういったことを早く知るためにも
早い段階からトライアルを受けることは有効だと今では思います。とやかく理由をつけず、
はやく素直に行動することが近道なのだろうと。

私は、なかなかはやく素直に行動まで移せなかったためその点は反省点であると思います。
なお、1年目の成果としては、特許翻訳者として4社に登録、実ジョブの受注も入る
というところまでいきました。

受講前期(2年目)・・・会社員をやめ、特許翻訳者として本格稼動するまで。

2年目は、地固めをしっかりし、自分の目標としている生活スタイルに近づけるように
頑張ろうと思い、スタートをきりました。2年目初期の段階で翻訳会社への複数登録までは行きましたが、
実ジョブ安定受注まではなかなか時間がかかるのではないか?と感じはじめていました。

何よりも、会社員とこのまま並行していったとしても、家事や育児もあるため、時間がなさすぎて、
翻訳者としての実ジョブを受けることは難しいのではないか?と思い始めました。
その上、ステップアップするための勉強なんて、とてもじゃないけれどこなしきれないと。

ここまで頑張ってきたのに、ここで体調をくずしたくもなかったため、いろいろ考えた結果、
そろそろ会社員に区切りをつけようという気持ちに至りました。そして、会社を退職。

退職直後の段階では、翻訳の仕事はポツポツと入る程度。ただ、いただいた仕事に関しては、
時間をたくさんかけて調査をしっかりとし、丁寧に丁寧に仕上げることを心がけました。
もともと知財部門にいたこともあり、明細書の表現などはよく知っていたため
そこはアドバンテージを感じつつも、技術内容や技術用語に関しては、
やはり一定の調査時間は必要なため、しっかりと調査も行い翻訳を行いました。

そんな中で、会社員時代には行くことができなかった翻訳祭に行ってみることにしました。
この、翻訳祭りに出向いたことは2年目に入り行動したことの中で一番良かったと思えることです。

実際相手の顔を見て話すということはとても重要だと思いました。翻訳という仕事は、
パソコン上でやりとりできますし、相手の顔を知らなくても、パソコンだけで
終了させてしまうこともできます。

ですが、実際顔を見て話した人から仕事をいただく場合、メールに書かれている名前から
その人の顔が浮かぶだけで、仕事にもさらに気合が入るんだということを実感しました。

そうこうしているうち、年末から年度末という忙しい時期に突入。
この時期は、翻訳業界的にもやはり忙しいのか、1~3月はかなり仕事がつまって
忙しくすごしました。ただ、忙しくても、最後の確認作業など、
ミスを少なくする努力ができないほどの業務を引き受けたりはしませんでした。

その頑張りのおかげか4月以降も、コンスタントに仕事を依頼されるようになりました。
翻訳の依頼だけでほぼコンスタントにスケジュールが埋まる状況ではあったのですが、
知財部門出身のため特許調査にも面白みを感じ、翻訳をメインに引き受けつつも調査の仕事も
引き受けるようになりました(割合としては、現段階では翻訳の方が多いですが)。

そして、講座を始めてから丸2年が経過。ステップアップのための勉強や準備に
時間をもう少しさきたいなと思って少し仕事をセーブしはじめた矢先に、急病で入院する
という事態に陥りました。入院期間は短く、数日で退院することができたのですが、
退院後も入院中に落ちた体力回復に時間がかかり、本来のペースを戻すのに時間がかかりました。

幸いにも、仕事を少しセーブしはじめたところで、入院期間中や退院直後に納期を迎える
案件をかかえていなかったため、事なきを得たのですが、かなりの過密スケジュールだった
年度末などにこのような状況になっていたら一体どうなっていたんだろうと思うと、身震いします。

せっかく少しずつ築き上げてきたものも一度の納期遅れなどで失ってしまうことになりかねませんから。
入院・退院と自分の体は大変でしたが、「フリーランスは体が本当に大事なんだ」ということを
痛感した出来事でした。そして、スケジューリングを見直す良い機会となりました。

なお、収入面ですが、講座2年目(フリーランス1年目)の収入は、管理人さんが
目安として挙げていた300~400万円のラインにはのったと思います。講座1年目は
会社員と並行していたので、無収入の期間は実質2ヶ月ほどで、
フリーランスへとつなげることができたのは良かったと思います。

今後について

フリーランス 1 年目は、手探りなことも多く大変でしたが、子どものそばになるべく
居られる環境で仕事をするという点では、やはりフリーランスになって本当に良かったと思います。

仕事のスケジューリングについては若干つめすぎてしまうところがあるので、
そこは注意しつつ、「現状維持は下り坂」ということを念頭に、ステップアップのための
時間を増やしていきたいと思います。

収入面については、現段階で安定的に稼動できているため、このままでいけば、
管理人さんが目安として挙げていたフリーランス 2 年目の収入500万程度のラインには
のるのではないかと思いますが、業務の効率化をはかりつつ、ステップアップの時間を
もっと捻出できるようにしていくのが当面の目標です。そして、よりレートの高いところや
他分野にもトライしていきたいと思います。

AI の翻訳業界への進出により、翻訳者は、より業務効率をアップしないと収入は維持できない
とひしひしと感じますが、AI とうまくつきあいつつも、翻訳一本にならないように
調査の腕も磨いていきたいと思います。

翻訳と調査という仕事は、自宅でできるということに加え、内容的にも自分にとてもあっていて、
楽しいと思えることも多いのですが、さらに他の種まきについても思いついたことを
知子の情報などに書きとめてアウトプットする準備をしていきたいです。

お礼

ブレない志と、継続的な大きな努力が必要不可欠な講座ではありますが、
翻訳といった形で特許業務に携わるエッセンスを短期間でより実践的な内容を効率よく
教えていただいたおかげで、短期間でフリーランスとして安定稼動できるまでになれたと思います。

調査スキルについてもフリーランスとしてアウトプットしていけると自信を持つこともできました。
受講期間中は、質問もそれほどする方ではなく、CV 提出が遅かったりと、すぐに素直に行動する
受講生ではなかったかもしれませんが、多くのことを学ばせていただきました。
2年間、ありがとうございました。

※管理人より

ほぼ講座の期待値通りの結果で何も言うことはありません。
油断しないで継続してください。

(女性、文系、40代、元会社員、子育て中)

 

受講開始始時期:平成29年7月

受講したコース:1年半コース

 

こちらの講座を始めた頃は、40代に突入後まもなく、小学校1年生と保育園児を育て、フルタイムの仕事を退職したばかりでした。

今後、「翻訳実務経験ゼロ、理系の知識&特許の知識ゼロ、TOEIC900点以下、英検準1級レベル、子育て中の主婦」だけれど、特許翻訳者になりたい!といった方に少しでも、レバレッジ特許翻訳講座から得た自分の経験がお役に立てれば幸いと思います。まだプロの特許翻訳者ではなく途中の段階ですので、自慢できるところはありません。自分の今後のためにも事実を記します。

 

 

現在の状況を先にお話したいと思います。

 

翻訳者として登録させていただいている翻訳会社3件、

翻訳チェッカーとして登録させていただいている翻訳会社1件、

下訳のお仕事をいただいている特許翻訳者さん1名、

 

現実として、特許翻訳のお仕事をいただいているのは、特許翻訳者さんからのお仕事(下訳)だけですが、この特許翻訳者さんとの出会いは、レバレッジ翻訳講座を受講していなければあり得なかったと思います。後ほど詳しく記述します。まずは、自分の生い立ちから特許翻訳者へなりたいと思うようになった時期まで、ご紹介したいと思います。

 

 

子供の頃から、母が洋楽好きで、アメリカ人の方と文通をするような人でしたので、その影響から英語をいつか話せるようになりたいと思っていました。ただ、英語を実際に学び始めたのは中学一年生からです。元々興味があったので、英語の授業は苦ではなく、楽しく感じていました。それでも成績は中くらいでした。県立高校の普通科で学び、短期大学の英語科を卒業しました。

 

奇しくも、バブルが完全に崩壊した就職氷河期と呼ばれた時期でしたが、なんとか物流機械関係の会社に就職することができました。比較的大きな企業でしたが、リストラの嵐の中で辞めていく方が多い中で、事務職での入社でした。仕事自体はそんなにやる気は無かったのですが、終業後に、大手のスクールで英語の学習は続けており、留学を希望していました。3年3ヶ月で退職し、カナダへ8ヶ月ほど語学留学しました。当初は4ヶ月ほどの予定でしたが、4ヶ月では英語を満足に習得できないと感じて、留学して1ヶ月後には留学延長の手続きをしました。

 

カナダでの生活では、とにかく英語漬けにしたかったので、日本人同士でも「日本語禁止」を掲げて、ほぼ英語だけの生活でしたので、当初 TOEIC400点ほどが帰国後に730点ほどを取ることができました。モチベーションが高い友人に囲まれて、幸せな日々だったと思います。貯金残額4万円になったところで、帰国しました。

 

 

またカナダに戻ろうと考えていましたので、帰国後の就職先は、休日は少なくても「給料が高い」、「ボーナス有り」の正社員に絞り、就職活動をしました。英語とはあまり縁がない接客と事務のお仕事だったことと、カナダの大学へ進学を希望していたので、2~3年で退職しようと思っていました。しかし、待遇(給料面)の良さや経営者の人柄、接客業が楽しかったことや、現在の旦那様との出会い、結婚、出産もきっかけになり、結果的に17年以上(育児休暇時期を引くと15年ほど)お世話になりました。

 

退職のきっかけは、会社内の人間関係が崩れ始め、自分にもその影響が出てきた中で、この会社で一生働くべきかを自分に問うようになりました。小規模な同族会社だったために、入社時に小学生だった経営者の子供が自分の上司になることも受け入れなければなりませんでした。子供の送り迎えを合わせると、およそ2時間半の通勤時間がかかりました。さらに、子供が発達障害と診断され、育児の悩みと子供の将来への不安を抱えていたこともあり、気持ちに限界がきていました。

 

 

すべてに区切りを付け、人生の後半を違う形で生きていこうと決め、スッパリ会社を辞めたことで、少し落ち着いて考える時間ができ、自分や家族の将来について計画を立て始めました。住宅ローンもありますので、お金の心配もありました。在職中の30代前半のころ某大学で開講していた社会人向けの翻訳講座に一年半ほど通ったことがあり、翻訳に興味がありました。特許翻訳者さんが書く書籍を2~3冊読んでいたこともあり、「在宅で特許翻訳をしたい」という夢を現実にしたいと思い始めました。

 

パソコン上で調べていたところ、『レバレッジ翻訳講座』を知り、しばらく講座のブログを拝見し、無料のサンプルでお試し講座を経験させて頂いたり、講座の先輩方の受講感想を読ませて頂いたりしました。その後すぐに正式に講座受講の申し込みをさせて頂きました。
講座を始めて最初の一ヶ月間は、講座開始時にやるべきことをビデオ講座で学びながら、ひたすら2000本ほどあったビデオ講座をダウンロードし、ビデオ講座の内容毎に仕分ける作業を行いました。とにかく膨大な量ですので気持ちが落ち込まないように、その間に特許翻訳者になるまでの計画書を作り、モチベーションを上げていきます。「いつまでに」「どれだけ」「どうやって」目標を達成するのかを明確に書いていきます。

 

 

自分でブログ用のホームページを立ち上げる作業もありますが、結構時間がかかり、講座受講開始から2ヶ月後にようやく立ち上がりました。実務の仕事が増えたために、更新がかなり減ってしまい、少ないですが現在で70件ほどのブログを書きました。ブログを書くことで、後々自分がやってきたことを振り返ることもできますし、翻訳者としては、文章を書くという技術が必要ですので、「書く」練習になります。このブログを見て、管理人さんに進捗具合を確認して頂くこともできます。

 

ブログからさらに進んで、アマゾンの kindle 版で本を出版されている海外在住の先輩がいらっしゃいますので、どのように特許翻訳者になって、どのように海外で生活し、どのように仕事をしているか参考にすることもあります。実際に3冊買いました。将来的に本の出版もしてみたいと思っています。

 

 

講座の勉強に関しては、毎日の生活が激変しました。とにかくひたすらビデオの内容をノートにまとめながら、子供がいない時間にひたすら勉強です。ノートにまとめて記載することが苦手だったのですが、ノートの書き方も丁寧にビデオ講座の至る所で教えてもらえます。初めは、何から始めて良いかわからなかったのですが、それもビデオでちゃんと教えてもらえます。最初のビデオ講座の振り分け作業が重要になってきますので、カテゴリー分けはしっかりとしておかなければなりません。

 

理系の知識ゼロ、特許の知識ゼロ、実務経験ゼロでしたので、初めの段階から「岡野の化学」を進め、並行して「CVの書き方」&「トライアル」関連のビデオ講座を中心に進めていきました。ただ、子供が帰れば宿題を見たり、食事の準備をしたりするので、一日の中で勉強に掛けられる時間は、平均5~6時間です。ビデオ再生の速度を変えられるフリーソフトで、さらっと聞く部分と、しっかり聞く部分の速度を調整して、効率を上げました。こういったことも、すべて講座の中で学べます。とにかく全てを網羅しています。

 

勉強しながらCVの内容を充実させていき、初めてCVを管理人さんに提出したのは、講座開始から一ヶ月半後の8月末です。とにかく「速くトライアルを経験して失敗しろ!」という言葉で焦って提出し、その後、3回ほど訂正し直してなんとかCVの合格点を頂き、12月後半あたり、講座受講開始の半年後からトライアルの応募を開始したのです。第1回目のトライアルでは、トライアルの訳文が文字化けしているという返答があり、大失敗のトライアルでした(反面教師にして下さい)。

 

 

フォントを変更してなんとか送り直しましたが、内容もひどかったので、不合格でした。そんな失敗をしながら、トライアルの経験を積んでいき、トライアルに挑戦した結果は、下記の通りです。

 

トライアル応募 20件

トライアル合格 4件

トライアル不合格 7件

応募後連絡無し 9件

 

メールや応募フォームで応募するのですが、全く返答がないことも少なくないので、ここでめげないようにしましょう。予定では、40件ほどトライアル応募する予定でしたが、実ジョブを頂き始めたことと、特許翻訳のトライアルで不合格が続いたため、トライアル応募をストップし、実ジョブと特許翻訳の学習に力を入れるようになりました。

 

 

今年の8月に、プロで活躍されている特許翻訳者さんからブログを通してご連絡を頂き、特許翻訳の下訳のお仕事をいただけるようになりました。こちらの講座を通してブログを開設していなければ、このような出会いもなかったと思います。フィードバックも下さるので、特許翻訳の実務を経験しながら、勉強も続けられている感じです。翻訳チェックのお仕事は、ここで一旦打ち切りとしました。

 

実際には、特許翻訳者として安定稼働ができていないため、目標から大幅に遅れてしまいました。ただ、こちらの講座での学習、トライアル、実ジョブを通して、足りない部分が明確になり、経験を積むことができました。去年のような何もわからずオドオドしたトライアル挑戦ではなく、新たな目標として、1月から4月までに10件の特許翻訳トライアルに応募し、3社での登録および特許翻訳の実ジョブゲットを目指します。

 

 

これまで経験した実ジョブの詳細(4月の初仕事から)は下記の通りです。

 

翻訳案件 4件

翻訳チェック 4件

特許翻訳の下訳 8件

 

実際に仕事を頂けたのは3社です。1社は、トライアル合格後、登録しましたが連絡は無いです。実ジョブを経験してみると、さらに自分の足りない部分がはっきりわかります。勉強中は、何も責任がかかってきませんので精神的に楽ですが、実ジョブは、責任重大です。実際に最初のお仕事では、化学関連の翻訳のお仕事だったのですが、納期ギリギリまで毎日子供が寝た後にも仕事をしていました。実ジョブを頂く前の準備・心構えも重要ですね。先にパソコンや外付けのハードディスク、辞書類は購入し、Tradosも導入していましたので、初期費用(初期投資)はかかっても実ジョブを始める前に、なるべく揃えておいてよかったと痛感しています。

 

 

具体的にこれまでに得た翻訳関連のお仕事の収入は、40万円に満たない金額です。今年は翻訳案件で、できれば主に特許翻訳で300万円を目標にしています。来年は500万円を目指します。ブログが収益化できていないのでブログの内容充実も課題となっています。

将来的には、カナダに住みながら特許翻訳者としてお仕事を続けていきたいという希望があります(旦那さんの希望は、今は考慮せず)。翻訳者は、フリーランスでしたらどの国でも仕事をすることができます(結構、重装備ではありますが)。家で仕事ができるので、働く時間も自由です。まずは、特許翻訳者として安定稼働させることを優先して、今年は実ジョブ、勉強、ブログの内容充実と、進めていきたいと思います。

 

 

講座受講開始からの流れをザッとですが以下にまとめました。

 

7月 受講開始、ビデオ講座のダウンロード&仕分け、今後のスケジュール作成

8月 初めてのCV提出、ビデオ視聴

9月 ブログの立ち上げ、ビデオ視聴

10月 CV作成、ビデオ視聴、

11月 トラドス導入と、新しいパソコン購入、ビデオ視聴&実践的な特許翻訳の勉強

12月 トライアル申し込み開始、ビデオ視聴&実践的な特許翻訳の勉強

1月 トライアル受験開始、ビデオ視聴&実践的な特許翻訳の勉強

2月 トライアル受験&合格1社、ビデオ視聴&実践的な特許翻訳の勉強

3月 トライアル受験&合格1社、ビデオ視聴&実践的な特許翻訳の勉強

4月 翻訳の初仕事、トライアル受験&合格2社(働きながら勉強するモードへ)

5月 翻訳のお仕事、トライアル受験

6月 翻訳と翻訳チェックのお仕事、不合格の連絡が続く

(注、ここで、特許翻訳のトライアルに合格できず、悶々とし、ペースダウンしました。)

7月 翻訳と翻訳チェックのお仕事、

8月 特許翻訳(下訳)のお仕事開始

9月 特許翻訳(下訳)のお仕事

10月 特許翻訳(下訳)のお仕事

11月 特許翻訳(下訳)のお仕事

12月 特許翻訳(下訳)のお仕事、復習と効率化

1月 特許翻訳(下訳)のお仕事、特許翻訳トライアル再開

 

 

こちらの講座を受講して、一言では言い尽くせない感動がありました。甘い人生を送ってきたなと反省もしました。管理人さんは、40代なのに夢子である私を、父親のように愛情を持って叱ってくれる方です(勝手にそう思っていますが)。この年齢で叱咤激励して下さる方はなかなかいませんので、本当に有難い限りです。言っていることにブレはなく、納得ができることばかりなので、ブレブレに生きてきた私の心にグサッと刺さることばかりで、言い訳は通用しないことを教わりました。これから子供を教育していく上でも、役に立つことが多いはずです。

 

 

最後に、特許翻訳者になるための挑戦ですから、苦しいことも辛いこともあります。はっきり言ってスパルタです。私もまだ途中段階なので、言える立場では無いのですが、講座受講料金は、最短で特許翻訳者になれるのであれば、確実に安いです。特許事務所や翻訳会社で実務経験があれば良いのですが、ほぼゼロからスタートの場合は、生半可な気持ちで始めると損をします。ただ、本当になりたい気持ちがあれば、この講座を最大限に利用して、確実に「特許翻訳者になれます」。

私は、4月までにプロの特許翻訳者としてデビューします!(宣言)

 

 

※管理人より

 

背景ゼロからの挑戦は、大人になってからの大学時代とは違う大学(しかも難関大学)に入り直す以上の努力が求められます。条件が恵まれている人でも1年~1年半はかかります。なので、時間が取れない方は無理をせず2年コースで、しかも卒業してからも強制されない環境でレベルアップできるだけの精神力が必要です。昔に比べてトライアルの合格ラインは上がっていると思いますし、同じレートで稼ぐようになるまでの時間もかかるようになっています。本当にここで人生を変えるんだという気持ちで参加してください。AI時代では単純事務作業レベルにお金を払う人はいません。頑張ってください。

 

 

(女性、理系、30代、元会社員、子育て中)<2年コースの1年目終了時点>

 

【はじめに】

 

2019 年 2 月末で、レバレッジ特許翻訳講座の受講開始から 1 年が経過しました。2 年コースを受講中なので講座の受講期間はあと 1 年間残っていますが、1 年目の学習を振り返ることで 2 年目の学習のロケットスタートを切るためにも、今回受講感想を書かせていただきます。

 

「なんちゃって理系」がどのようにして「本当の理系」になっていくのか。まだまだ道半ばですが、その工程を少しお見せできたらと思います。

 

【現在の状況(受講 1 年目の成果)】

・トライアル応募: 2 件(産業翻訳 1 件、特許翻訳 1 件)

・トライアル合格: 1 件(特許翻訳 1 件)

・実ジョブ :未経験

 

受講から丁度 1 年経過した頃にトライアルを 2 件受験し、うち 1 件に合格しました。しかし、実ジョブはまだいただいていないという状況です。

 

 

【私について】

 

31 歳女、既婚。3 歳の子供が 1 人います。講座受講開始時は時短勤務の会社員でしたが、現在は子供を保育園に預けたまま退職し、講座の学習に集中しています。

 

 

●学生時代 ~なんちゃって理系の誕生~

 

高校 1 年生の頃は理系科目が苦手で、数学で赤点をとったこともありました。そのためこの頃は、「文理選択ではぜっっっったいに文系にしよう!!そして苦手な数学からできるだけ離れていたい!」と本気で思っていました。ところがその後、ひょんなことから生物工学の世界にはまり、大学で生物工学を専攻するために理系に行くことに。生物選択の理系となりました。

 

しかし、元々理系科目が苦手で、どちらかと言うと暗記の方が得意だった私。そんな私は、「理系科目の勉強も暗記で押し通す」という荒技に出てしまいました。これがうまくいってしまい、「ああ、理系科目もこうやって暗記で済ませれば点数がとれるんだな」ということを学習してしまいました。こうして、「なんちゃって理系」ができあがったのです。

 

高校 3 年生になった頃、生物工学を学ぶことができる学部(一般的には工学部や基礎工学部)に行くには物理を選択していないとだめだということを知り、愕然。結局生物選択でも受験できる「理学部化学科」を受験し、合格。大学では化学を専攻することになりました。

 

化学科に進んだ後もこじらせた「なっちゃって理系」ぶりは変わらず、講義は全て暗記で乗り切っていました。しかしこの頃、私は一つの衝撃的な学問に出会いました。「量子力学」です。化学科の必修科目である「量子化学」(化合物の電子状態を計算する学問)を学ぶ際の基礎として量子力学に触れたのですが、そのときの衝撃といったらなかったです。このことがきっかけで、物理学への興味がムクムクと湧き上がってきた私。ここで初めて、暗記ではなく考えて学習するという楽しさを少し知りました。その後、物理化学系の研究室に進級して大学院まで行きました。

 

 

●そして就職へ

 

大学院卒業後は化学とは違う分野に関わりたいと思い、システムエンジニアとして就職しました。システムエンジニアと言っても上流(要件定義、設計など)~下流(プログラミング)までさまざまですが、私の就職先は小さな会社であったため、上流~下流の全てに関わることができました。

 

ものづくりに関わるのは楽しく、最初はエンジニアとして技術を極めていこうと鼻息荒く仕事をしていました。しかし、やがて自分の技術力に限界を感じはじめました。高い技術力を持っている人は他にもごまんといる。そしてそのような人たちは、仕事だけではなくプライベートでも開発やものづくりを楽しんでいるのです。私はものづくりにそこまでの熱意を持つことはできませんでした(興味があったのはどちらかというと、ものづくりというよりはプログラミングそれ自体だったのだと思います)。

 

 

●翻訳に目を付けるがそこは茨の道

 

そのうち、「私は技術一本ではなく、技術と他の何かを組み合わせた分野で生きていけないだろうか」と考えるようになりました。そこで目をつけたのが技術翻訳でした。英語は嫌いではありませんでしたし、文章を書くのも好きでした。技術がある程度分かった上で英語がそこそこできれば、技術翻訳者として働けるのではないかと考えたのです。

 

その後適当に技術翻訳のトライアルを受けた結果、運よく 1 社から合格をいただき、5 件ほど仕事を受けました。仕事は IT 企業の Web ページ翻訳から大学の研究室紹介ページ翻訳、英語テキストの翻訳のようなものなど、多岐にわたりました。当時は Trados などの翻訳ソフトの存在を知らず、辞書も購入せず、word と Web 検索だけで乗り切っていました。

 

翻訳作業は孤独だし、ハマるとつらくて結構しんどいな・・・と思うことも多かったのですが、好適な訳語を思いついたときにはパズルのピースがぴったり合うようなすがすがしい感覚を味わうことができましたし、何より自分で直接翻訳会社とやりとりをして仕事をするというのは非常に充実感のあるものであり、会社員として働くだけでは得られない感覚だな、と感じていました。

 

翻訳の面白さに目覚めつつあった一方で、心配だったのは処理スピードでした。当時は仕事をいただいた後に調査や用語収集など何もせず、いきなり原文を訳し始めていました。そのせいか訳出にかなり時間がかかっていました。時給換算すると確か 300 円程度だったと思います。「この程度しか稼げないなら、翻訳だけで食べていくなんて到底無理だなあ」と思っていたことを覚えています。処理スピードを上げたいと思っていましたがどうすれば上がるのか分からず、やがて考えることをやめて、ただ目の前の仕事をもくもくとこなすだけになっていました。

 

 

●妊娠、出産と復職後のもやもや

 

その後妊娠・出産のため翻訳の仕事は休止しました。慣れない子育てにてんやわんやで、とても翻訳の仕事をできる状態ではありませんでしたが、いずれまた再開したいと思い、医薬翻訳の通信講座で細々と勉強を続けていました。出産から 1 年半後、本業で職場復帰しました。子育てしながらですので働く時間に制限があり、会社の同僚に助けられてばかり。自分で仕事をしているという感覚があまり持てないまま日々が過ぎていくなかで、「こんな生活を続けていて、将来何も残らないのではないか。後悔するのではないか」と考えはじめました。そこで、また翻訳の仕事を再開したいと考え始め
ました。

 

 

●レバレッジ特許翻訳講座との出会い&受講開始

 

翻訳の仕事を再開したいと言っても、以前仕事を受けていた会社がすぐに仕事をくれるとは思えませんでした。それに仕事をくれたとしても、また以前のように処理に時間がかかるようではとても専業翻訳者となることは無理だろう、とも感じていました。そこでとりあえず当時受講していた医薬翻訳講座で勉強しつつ処理スピードを上げていき、並行してトライアルを受け、何件か受かったら会社を辞めてフリーランスになってやろうという計画を立てました。

 

フリーランスを目指すにあたり参考になる本を探しているときに出会ったのが、薮内さんの kindle 本「人生は自由形」でした。興味を持って読み進めるうち、「レバレッジ特許翻訳講座」の名前が出てきました。興味がわき、すぐに Web で検索しました。そして管理人さんのブログや講座の Web ページを読むうち、特許翻訳に対する興味が沸々と湧いてきたのです。

 

また講座案内などを読み進めるうち、今やっている医薬翻訳講座は「勉強のための勉強」で、それだけでは到底プロになれないのではないか・・・と思い始めました。特許などの技術的な内容には抵抗感がない。明細書を読むのも楽しそうだ。と感じ、ますますレバレッジ特許翻訳に興味を惹かれていったのでした。

 

その後ビデオ 300 本プレゼントに応募して、講座の内容を確認。このプレゼント動画だけでも、自分のマインドががらりと変わるのを実感しました。この講座は本物だ、と確信し、受講を決意しました。

 

 

【受講 1 年目の振り返り】

 

●1 ヵ月目

 

[やったこと]

 

・ビデオセミナー視聴(CV、講座の進め方、勉強法、ソフトウェア関連を主に)

・マスターCV(初版)作成&提出

・化学・物理の学習開始

・講座受講を理由とした保育園継続申請手続き( -> 失敗)

 

 

[詳細]

 

・マスターCV 提出

 

まずはとにかく CV を出せ!という話だったので、とにかく CV 関連のビデオ視聴を開始しました。並行して講座の進め方や勉強法、各種ソフトウェア(知子の情報、E’storage、XMindPro など)に関するビデオも視聴し、必要なソフトウェアを少しずつ揃えていきました。受講開始から 2 週間後にはマスターCV(初版)を提出しました。

 

 

・化学と物理の重要性

 

曲がりなりにも化学科出身だった私は「自分には化学と物理のビデオは不要だろう」と考えており、すぐに明細書読みや対訳収集に進もうと考えていました。しかしマスターCV 提出時にしていただいた Skype 相談にて化学・物理ビデオの重要性を教えていただき、やはり化学・物理の基礎固めから開始することにしました。結果的に、これは大正解でした。

 

化学・物理のビデオは単に高校化学と物理の知識を説明したものではありません。どう学習して、どういった点に着目すればそれらの知識を特許明細書と絡めることができるのか、明細書を読むために必要な知識はどのくらいの深さなのかを、計 300 本近くのビデオセミナーを通してスパルタ的に身につけることができるものです。正直、この 300 本だけでも講座を受講した価値が十分にありました。ビデオを 1 巡するだけでは到底全てを味わいつくすことはできないので、2 巡、3 巡と回す必要があります。それだけ奥が深いビデオだ、ということです。

 

化学・物理のビデオ視聴を通して学習した考え方やノート作成方法、情報のまとめ方などはもう体に染みついてしまっており、その後の対訳学習やトライアルに向けた学習でも非常に役立っています。

 

また私にとって化学・物理のビデオから得られた一番の収穫は、「考える勉強とはどんなものなのかを理解でき、その方法をスパルタ的に身につけることができた」ことです。今までなんちゃって理系だった私の勉強方法がどれだけ役に立たないものだったのか、本当の勉強とはどんなものなのか、300 本を視聴する間に深く深く胸に刻むことができました。

 

 

・保育園継続申請手続き

 

この頃は会社員として時短勤務しながら講座の学習を進めていましたが、仕事と子育てで忙しくなかなか学習時間が伸びませんでした(平日は多くて 4 時間程度だったと思います)。このままでは 2 年間で結果が出せないのではないかと思い、また会社には特に未練がなかったというのもあり、会社を退職して講座の学習に集中したいと考えはじめました。しかし、会社を退職してしまうと子供が保育園に通えなくなるので、日中子供と一緒に過ごすことになります。それでは勉強できるわけがありません。そこで、会社をやめても子供を保育園に預け続ける方法がないかと考え始めました。

 

管理人さんとの Skype 相談中にこのことをちらっと漏らした時、過去にレバレッジ特許翻訳講座の受講を理由として「就学」要件で子供を保育園に預けていた方がおられるという情報をいただきました。「これだ!」と思いました。そこで、講座の受講案内を全て印刷し、なぜ保育園に預け続けたいのかという理由を書いた書類を作成し、それらを持って役所に直談判しに行きました。

 

しかし、結果はだめ。やはり、民間の通信講座では保育園の要件としては不十分だということでした(地域によっては要件として認められるところもあるようですが、私の住む地域ではだめだったようです)。一瞬目の前がくら~くなった私でしたが、ここであきらめるわけにはいきません・・・。次の手を考える日々が続きました。

 

 

●2 ヵ月目~7 ヵ月目

 

[やったこと]

 

・化学・物理の学習

・退職&大学通信教育の受講による保育園継続申請(-> 成功)

 

 

[詳細]

 

・化学・物理の学習に関する反省点

 

この期間は、化学と物理の学習のみを集中して進めていました。化学・物理を終了するのに約 7 ヵ月かかったことになります。上述のように、この期間にはたくさんの収穫を得ることができましたが、一点だけ後悔があります。それは、「化学・物理と並行で対訳学習やトライアル受験に向けた準備を進めておくべきだった」ということです。

 

私は化学・物理の学習中、本当に化学と物理のビデオしか消化しておらず(おやつビデオや最新ビデオは隙間時間に観ていました)、対訳収集やトライアル受験については化学・物理のビデオが終わってから考えればよいだろうと思っていました。しかしこれは、私にとっては誤りでした。

 

化学・物理は終了したものの Trados の使い方も全く知らないし、対訳収集のスキームもよく分からないし、トライアル受験時の注意事項やスキームも分からない、という状態に陥ったのです。とにかく次の学習を始めないと!と思い、とりあえずざっと対訳収集の方法を確認して見切り発車で学習を進めた結果、処理スキームや学習方法を誤って理解していたり、対訳収集と自力翻訳の違いをよく理解しないまま学習を進めていたり、といったことがありました。

 

化学・物理の学習中から対訳収集やトライアル受験に関するビデオセミナーを視聴したり、スキームを確立しておいたり、少しでよいので実際に対訳収集をやってみておけば、化学・物理の学習後にスムーズに次の学習に移行できたのではと思います。また、先を見据えた学習をすることにより学習に対する危機感が生まれ、より化学・物理の学習が加速したのではないかと思います(私は化学・物理の学習中、少々ゆったりしすぎてしまったなと感じているので)。

 

つまり、「次のことを常に少しずつ先取りした学習をしておけば、現在の学習が加速し、次の学習への移行もスムーズになるのではないか」ということです。人によっては「いや、化学と物理を集中して終わらせてから次のことをした方がよいだろう」と考える人もいるかと思いますが、私は今後も「少しの先取り」を常に意識して学習していこうと考えています。

 

 

・退職と大学通信と保育園継続申請

 

講座受講 2 ヵ月目のことです。民間の通信講座を理由とした保育園継続は認められないが、公的な教育機関(大学など)の通信講座なら保育園継続要件として認められるとの情報を得ました。そこですぐに、大学の通信教育学部へ入学。保育園の要件を「就労」→「就学」に変更して会社を退職し、晴れて学習に集中できる身となりました。ちなみに私が入学した大学の場合、1 年間の学費は 10 万円ほどでした。

 

 

●8 ヵ月目~9 カ月目

 

[やったこと]

 

・対訳シリーズ(IBM レジストシリーズ)視聴

・半導体プロセスに関する学習

・光学に関する学習

・Trados 練習

・テキストシリーズの内容確認

 

[詳細]

 

化学・物理終了後の Skype 相談にて「需要が多く多分野に広げやすい自動車・半導体から攻めるとよい」とのアドバイスをいただき、半導体分野から学習を

 

 

●10 ヵ月目

 

[やったこと]

 

・対訳シリーズ(IBM レジストシリーズ)視聴

・対訳収集、自力翻訳

 

 

[詳細]

 

まだ IBM レジストシリーズをやってます。かなりじっくりと&他の学習と並行して進めたので、2 ヵ月半もかかってしまいました。いくらなんでも時間をかけすぎだったかな・・・と思います。前述のように物理・化学の時点から先を見据えた学習をしていれば、ここでもっと危機感をもってブーストをかけられたのかもしれないと反省しています。

 

 

●11 ヵ月目

 

[やったこと]

 

・トライアルレビュー視聴

・対訳収集、自力翻訳

・開業届を提出し、保育園の要件を「就学」→「就労」に変更

 

 

[詳細]

 

・トライアルに向けて舵を切る!

 

ここで管理人さんから、ブログ記事に関して厳しいお叱りをいただき、ようやく自分がゆっくりしすぎていること、危機感が足りなかったことに気づきます。ここで勉強を加速させないと!という危機感がようやく芽生え、1 ヵ月後にトライアルを受験することに決めました(当初は受講から 1 年 2 ヵ月後に受験する予定でした)。

 

その後は、トライアル受験に向けてトライアルレビューを視聴し、CV に書く得意分野を増やすために対訳収集、自力翻訳に取り組みました。

 

 

・保育園の要件変更

 

これまでは大学の通信教育学部に在籍しているという「就労」要件で子供を保育園に預けていたのですが、2 年目の学費を支払うのがもったいないなあと感じていました。しかし、まだ翻訳での収入がないので翻訳者として保育園に預けることは難しい状況。そこで、ブログの収益がほんの少し(数十円~数百円ですが・・・)出ていたことを理由に「Web ライター、アフィリエイター」として開業届を提出し、フリーランスとして在宅で働いているということで保育園を継続させることができないかと考えました。役所にて相談したところ、OK とのこと。晴れて大学の通信教育学部を退学し、保育園を「就学」→「就労」要件に変更。学費をかけずに学習に集中できるようになりました。

 

 

●12 ヵ月目

 

[やったこと]

 

・トライアル応募(産業翻訳 1 件、特許翻訳 1 件)-> 特許翻訳の方は合格

・トライアルレビュー視聴

・次のトライアル応募に向けた基礎学習

 

 

[詳細]

 

講座受講からちょうど 1 年後にトライアルを初受験。2 件受けたうち、1 件合格をいただきました。ただ、合格はしたものの対訳学習、自力翻訳の量が全然足りておらず、処理スピードも実ジョブレベルには全然届いていないのが現状です。

 

 

【2 年目に向けて】

 

●対訳学習、自力翻訳学習量を増やす

 

トライアルには受かったものの、処理スピードが遅いこともあり、現時点では安定して実ジョブをこなす力がまだ不足していると感じています。そこで、対訳学習と自力翻訳学習を集中的に進め、実ジョブを安定してこなすことができるレベルまでもっていかねばと考えています。

 

 

●トライアルをどんどん受ける

 

合格しても実ジョブをもらえるとは限らない。実ジョブを受け始めてからが一番つらい時期。この一番つらい時期を早く経験して早く成長するためにも、トライアルは月に 1 社のペースでどんどん受けていきます。

 

 

●将来に向けた種を蒔く

 

1 年目の大きな失敗は、「今」しか見ていなかったために「次」を意識した学習ができなかったことです。2 年目は現在の勉強だけではなく、次のステージ(実ジョブ、特許調査、ブログ収益化、コピーライティング・・・)を常に意識して学習を進めていきます。

 

実はこの考え方は講座の至るところで管理人さんがおっしゃっていることなのですが、私にはそれが実践できていませんでした。頭でわかっていても実践できていなかった、ということです。どうやら私には「今」だけに集中してしまう癖があるということに、1 年かかってようやく気付きました。2 年目は失敗しません。「次を意識する」と大きく書いて机の前に貼り出し、毎朝唱え、実践します。

 

 

【講座受講完了時の目標】

 

・特許翻訳 3 社以上、産業翻訳 3 社以上と契約し、安定的に実ジョブを受注していること(12 円/word 以上の高レート取引先を少なくとも 1 社含むこと)

・年収 300 万を達成する見込みがある状態であること

・勉強を常に続けている状態にあること

 

 

【さいごに】

 

この 1 年間は、これまでの人生では見えていなかった別の世界に足を踏み入れた時間でした。一つのことを達成するのにここまで努力している人たちがいるなんて、以前の私は想像もしていませんでした。また 1 年間の学習を通して、これまでの人生において抱いてきた様々な疑問(なぜ自分は暗記じゃないと勉強ができないのか、なぜ体系的に物事を考えるのが苦手なのか、なぜ学校で勉強したことを現実の世界に当てはめることが苦手なのか)に対する答えを見つけることができました。

 

しかし、答えが分かってもそれを実践できるかどうかはまた別問題であり、私はまだまだ道半ばです。あと 1 年間で特許翻訳者として安定稼働できる状態になり、その後は次のステージに向けて驀進していきたいと思います。管理人様、あと 1 年間どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

※管理人より

 

【受講期間との関係】

 

過去数年の講座実績から見て、1年コースというのはかなり無理があるということで、現状1.5年コースと2年コースの2本立てになっています。この方のように、1年で結果を出すとなるとかなりの努力と工夫が必要です。主婦+子育て+昼間の仕事(フルタイム)となると、土日にスクールで1コマか2コマの授業を受けるというケースがほとんどだと思いますが、多少平日に独学をしたとしても1年で結果を出す(トライアルに合格する)というのはほぼ不可能だろうと思います。チェッカー講座やPE講座が新設されているのも、翻訳者としてトライアル合格することが難しくなっていることが背景にあると思われます。

 

 

【勉強時間の確保】

 

会社を辞めて自宅での学習時間を確保すると言っても、子育てと並行してというのは難しいはずです。行政に問い合わせてみる、大学の通信コースを受講する、アフィリエイターとしてフリーランスの立ち位置で届け出するなど、各自工夫する必要があります。特に、アフィリや物販については、サイト構築や実績などのことを考えると事前に「仕込んでおく」ことが大切です。場当たり的、事後的だと、苦しむことになります。

 

 

【パルテノン戦略】 

 

アフィリエイター、ブロガー、特許調査、テクニカルライター、物販、教育ビジネスなど、講座のスキルを使った横展開は可能です。ただし、本業でしっかり結果を出して生活を安定させることが必須条件です。

会員87(女性、文系、元派遣社員)

講座を受けたきっかけ

 

文系、独身、アラフォーの元派遣社員です。就職氷河期世代で、やっと新卒で入った会社でお局に目をつけられて退職後、なんとか派遣で食いつないできました。最初は一般事務でしたが、30 代になってからなにか手に職をつけないといけないと思い、独学で TOEIC の勉強を始め、800 点後半位のスコアをとれるようになってから、英文事務にシフトしました。そのため、英語がとても好きだったとかそういうことは無いと思います。私にとっての英語とは、完全に食べていく手段でした。派遣ではあるが比較的時給の高い英文事務の仕事をこのままやっていけたら、と思っていましたが、派遣法が改悪され、3 年以上は働けないようになってしまいました。また、私が前にいた部署は、外国人の方が多く、TOEIC900 点の方もいました。帰国子女の正社員の方もいて、派遣の英文事務自体が無くなるのでは、という危機感がありました。そのため、派遣ではなく一生積み上げていけるスキルがある仕事がしたいという思いが強くなっていました。

 

また、私はなぜか女性に嫌われやすく、どれだけ気を遣っても冷たい扱いを受けるので、勤め人をすること自体がとてもつらく、帰ってくるとそのストレスでぐったりしてしまい、会社に勤めることを一生続けることに絶望していました。加えて、小学校の頃は男子の間で罰ゲームとして私と結婚することというのがあったくらい、女性としてのスペックも低いので、他の女性のように結婚して子育てのため就業から離脱、という道がないのは明らかでした。一生独身で死ぬまで働くのだったら、派遣でもなく、また、非常に高度な人間関係を要求される正社員でもない、別の道を選ぶ必要がありました。

 

職歴としては、これまで車メーカーでの仕事が多く、ある程度業界の言語がわかっているので、これを専門にした特許翻訳がいいのではないかと思い、そのころちょうど TOEIC で 900 点以上をとることができた自信もあって、本講座を受講するに至りました。

 

ただ、私は高校では進学校に通ってはいたものの、化学、物理、数学が苦手で、英語一本で大学に入ったようなものだったため、本当に特許翻訳者になれるのかとても不安でした。卒業した大学も、英語に関係する学科ですらありません。理系科目については、芳香族炭素とか、アルケンとか、アルカンとか、こんな言葉あったっけ?というくらい何も覚えていませんでした。実は、この講座を受けるだいぶ前に、Espacenet で特許明細書の日本語と英語の対訳が入手できるということを、ネットで調べてわかってはおりました。しかし、その対訳をそろえていざ勉強しようと思ったとき、日本語自体何を意味しているのかが理解できず、もちろん英語も正しいのかすらわからないため、特許翻訳だけは難しすぎて文系の私には無理なのだと思っていました。

 

しかし、本講座のメールマガジンを申し込み、受講感想を読んだときに、化学、物理の講義があること、文系の方でもトライアルに受かっていることなどを知り、これだ!と思い、300 本無料ビデオを見ずに、すぐ応募致しました。

 

受講感想がとにかくすごい熱量でした。まるで未来の自分から警告文が送られてきたかと思われるくらい、今の自分の現状の問題を指摘しているものでした。当時 600 ページくらいだった受講感想を、おののきとある種の興奮と共に、一気に読み終えました。これから賃金の安い外国人や、機械翻訳によって中以下の翻訳者の仕事がなくなること。簡単な翻訳は内製化されて外部に出てこなくなること。自分がどのような将来を選ぶのかを今決めなくてはならないと思いました。難しくても飛び込むしかないのだと思いました。そして、躊躇無く緑色のピルを飲むのを選びました。

 

コースに関しては、受講案内を参照すると、特許事務所にお勤めのかたなどで特許の知識があり、さらに理系の大学を卒業した方だと1年くらいでプロになっている方がいらっしゃったのを見て、私には物理・化学の基礎がまるでないので、確実に1年は無理だろうと思い、2年コースにしました。翻訳の力量としても、派遣のインハウスの翻訳者ではありましたが、別にネイティブのチェックがあるような所でもなかったので、実績もほぼ無いようなものです。そのため、私にとって高い買い物ではありましたが翻訳メモリも買っておきました。

 

 

1 ヶ月~3 ヶ月目

 

受講開始以前は TOEIC の勉強を会社帰りにしていたので、机に向かう習慣ができていました。このころは、昼間に派遣で働きながらの学習となります。昔から夜型でしたが、朝に勉強するスタイルに変えました。そうすると平日は 3.5 時間、休日は 12 時間は勉強に充てることができました。そのため当初は平均すると1日 5 時間くらいの勉強量を見込んでいました。しかし、勉強する時間をもっと確保するために仕事を早く切り上げていたら、当時の上司に目をつけられ、残業が増えてきて、逆に勉強時間がかなり削られてしまう結果となってしまいました。

 

このころは、帰ってきてビデオセミナーを 1 本見るのがやっとという状況でした。そんな中で、この頃はまず備品をそろえること、TRADOS を購入することなどを優先しました。メイン PC に始まり、東プレのキーボード、ローラーバーマウス、コンテッサの椅子、知子の情報など。サブのノート PC は、稼いでから買おうと思いましたが、雷の多い地域に住んでいるため、早めに購入しました。HDD を2台購入し、バックアップ体制も整えました。現在は、災害対策用に持ち運びができるよう、ポータブル HDD と USB も追加しています。早速 CV を作成するべく、CV に関するビデオ視聴に取りかかりました。また、プロの翻訳の雰囲気を知りたいと思い、プレゼントの 300 本内の明細書を読むシリーズも平行して視聴しました。

 

この頃一番時間と手間が掛かったのは TRADOS の操作でした。講座のビデオは古いものなので、そのまま使うことはできません。SDL で出しているビデオをみても、私の知りたいことはなにも解決しませんでした。しかし、ある時、講座受講生のブログで藪内さんの「翻訳ツール大全」が紹介されているのを見て、すぐ購入しました。おかげで私の悩みもすぐ解消できました。藪内さんの「翻訳ツール大全」は本当にすばらしい。また、受講生のブログを書いている方には、本当に頭が上がりません。だいたい私と同じようなところで同じように悩んでいる。そう思うと、一方的ではありますが、シンパシーを感じてしまいます。孤独な勉強が孤独でなくなります。ここが本講座の素晴らしいところの数多くの一つだと思います。

 

 

3 ヶ月~6 ヶ月

 

私がこの講座に入った当初は、講座のやり方として CV シリーズ→明細書シリーズ→トライアルシリーズという順番で、化学と物理は稼ぎながら勉強するという方式でしたので、まず CVを作成しました。しかし、これもあらゆる知識、戦略が無いと書けないものです。また、私の専門分野は、職歴からして車関係のものがストーリーとしてわかりやすいかと思い、電池やセンサ関係にしました。しかし、電池は化学でもあり、電気でもあります。酸化還元がわからないとどうしようもない。セパレータは高分子でできていますし、電解質は有機材料です。電圧の制御の特許になると、物理も必要になります。センサの MEMS にしても、梁の振動などの力学がわからないと、てんでだめ。そんな状態でしたので、岡野の化学、橋本の物理に予定を変更して進めました。物理、化学シリーズがない時代にプロになった方もいらっしゃるので、化学は、「化学のドレミファ」、物理は「物理の散歩道」だけでいいのではないかと思いましたが、私は先述の通り、理系の基礎が無きに等しいため、地道に時間をかけてやるしかないなと覚悟を固めました。

 

ちょうどそのころ、仕事も不条理な扱いを受けることになり、勉強する時間を確保することがさらに難しくなり、さらに若い女性の派遣社員に手ひどいマウンティングを受けるようになったので、当時の仕事をやめることにしました。しかもそのとき、幸運なことに派遣会社から特許調査の仕事の打診があったのです。仕事としては履歴書にも書け、かつお金をもらいながら明細書が読めると思い、すぐ面接に行き、採用が決まりました。この講座を受けていなかったら特許のことも何もわからなかったので、面接で落とされていたと思います。

 

 

6 ヶ月~1 年目

 

特許調査の仕事は、前職と違って上司の方に恵まれました。この方は文系でしたが、理解力に優れ、実にうまく物事を例え、難しいことも簡単にかみ砕いて説明される方で、特許翻訳をする上でも考え方や物事へのアプローチの仕方など勉強になりました。得られる情報も桁外れで、侵害調査をしていると、その会社がどういう戦略で特許を取ろうとするのかが手に取るようにわかります。ここでの仕事は、特許を素早く読み解く練習に大いに貢献しました。特許翻訳の勉強のために早く帰ることは派遣先に了承されていたため、平日は 4.5 時間程勉強できました。この頃は化学や物理の勉強が楽しくなってきた頃でした。

 

明細書を読むシリーズを参照しながら自分の専門分野に沿った対訳収集を始めました。また、1 年目が終わるまでにトライアルを開始しなくてはと思い、トライアルシリーズの視聴も開始しました。

 

 

1 年目~1 年半目

 

しかし、新しい仕事にも慣れてきて、岡野、橋本も終わったあたりでした。毎日がだるく、眠くて仕方なく、動悸が止まらなくなりました。このころは、毎日 6 時間睡眠で稼働していました。睡眠不足なのかと思い、なるべく 7 時間位の睡眠を確保しようと思いましたが、そうすると、必然的に勉強時間が少なくなります。このころは対訳もまだ 5、6 本位しかとれていませんでした。しかも、対訳 1 本を取るのに、調べ物をしながらビデオセミナーの視聴と平行させると 1 ヶ月くらい掛かっていました。ここで私のいる状況にようやくですが愕然としました。

 

私の場合、とにかくすべてが遅すぎました。このままトライアルを受けても受かるはずはなく、また万が一合格しても仕事を回せるだけの実力も時間も無いなかで、兼業でやっていく覚悟があるか、自分に問い直しました。何のためにこの講座に入ったのかを、受講案内を読み直して考えました。結論として、今の仕事を辞めて勉強に専念することを決めました。辞めるまでは体調が戻らなかったので、このころもかなりペースダウンした形ではありますが、細々と一日2時間くらいの勉強は続けました。また、辞める前に、ソフト(MemoQ、PAT-Transer、Just right!)や本(マクマリー有機化学、化学便覧など)をまとめ買いしておきました。

 

 

1年半~現在

 

会社を辞めて、睡眠を8時間とるようになった途端、体調もめきめき回復し、毎日平均11~12時間は勉強できるようになりました。このころは、とにかく対訳をとることを念頭に勉強しました。すると、今まで難しくて読めなかった特許でも、学んできた岡野、橋本のビデオで出てきた話が頭の中をフラッシュするようになって、わからないことも調べていけばすんなり腹に落ちるようになってきました。そうなると、訳質も目に見えて良くなってきた感じがしました。これまでは、英語力でなんとか英語から日本語にしていた感じ(完全に置換屋の発想です)でした。しかし、シニフィエの道理が理解できれば、それを日本語にすればいいだけの話なのです。お手本の公開訳文と自力翻訳を比較しながらだと、8時間以上はかかるものの、1日に2000文字以上翻訳できるようになったので、トライアルに応募を開始しました。しかし、本講座で学習中の方にとっては、1年半でトライアルは遅すぎるものです。講座期間3ヶ月前に私のトライアルラッシュがようやく始まりました。そして、現在のトライアルの実績がこちらです。

 

返答なし 2 社

合格 産業翻訳 1 社(実ジョブ 1 件)

不合格 特許翻訳 1 社

結果待ち 特許翻訳 2 社

 

手始めに、以前から入会していた某アメリアで応募している翻訳会社とコンタクトを取り、トライアルを受けました。産業翻訳でしたが、講座で言われているギリギリ OK くらいのレートで合格することができました。B+判定だったので、仕事は来ないだろうと思っていました。その後、大手の翻訳会社の特許翻訳のトライアルを受けましたが、結果は不合格でした。技術的な所は理解した上で訳したつもりでしたので、かなりショックでした。その理由を考えていくと、基本的な翻訳スキルができていないのではないかと思い、「翻訳の布石と定石」、「翻訳の泉」、安西徹雄さんの「翻訳英文法」などをしっかり読み直しました。たしかに、訳文に甘いところが出ていたように思えます。

 

その後 2 件の特許翻訳のトライアルを受け、現在結果待ちです。また、現在は産業翻訳のトライアル 1 件を受けている最中です。

 

そんな中、最初に受けた産業翻訳の翻訳会社から、年度末ということもあったかと思いますが実ジョブが来ました。生まれて初めてプロとして、フリーランスとして、翻訳のお仕事をすることができました。とても充実して楽しかった。論理の流れに沿ったうえでその言葉が引き立つにはどのような並びが適切なのか、前に出てきたこの言葉がここで布石となっているのだな、そしてそれをどのように生かして訳そうか、などいろいろな試行錯誤と気づきがありました。「言葉と格闘」するのは本当に大変なことですが、日本語の意味がすーっと通ったとき、これに勝る喜びはありません。そして、誰の力も借りずに自力で成果物をメールで納品する。

 

これで完結する仕事ってすごいと思います。判定は B+なので、翻訳会社にとっては忙しいときの猫の手代わりと思われているとは思いますが、これをチャンスに変えていきたいと思います。

 

 

これからの展望

 

講座受講期間前に実ジョブを経験できて、本当に良かったと思います。他の受講生の皆さんも仰っていますが、実ジョブに勝る優れたトレーニングはありません。専門知識、原文の読解力、日本語の表現力などの翻訳スキルはもちろん、時間配分、コメント力、メールライティング、ビジネスマナーなどオールラウンドの能力が必要となります。そしてこれでお金がいただけるのです。

 

反省すべき点は、2年という長い期間がありながら、特許翻訳でのトライアルの合格ができなかったことです。その理由はやはりトライアルを受ける時期が遅すぎたことです。講座では20 件以上のトライアルを受けることを推奨していますが、その分量のトライアルを受けるには、とにかく早く受ける必要があります。トライアル課題が待っていても来ない場合もありますし、来るまでに 2 週間かかってくる場合もあるためです。

 

また、なぜトライアルを受ける時期が遅くなったのかというと、外部要因(残業の増加、職場の変化による勉強時間の減少、体力的な問題)をどこで取り戻すかなどの戦略がなかったからだと思います。突き詰めますと、年次計画をしっかりと作っておらず、その場その場で対応していたからだと思います。そのため、これからは次の仕事のピーク(これからだと 5 月連休中)を見越して早めに行動しようと思っています。

 

また、インプットばかりの勉強法を見直し、遅ればせながらではありますがブログによるアウトプットを始めました。ブログを書くことで、学んだことが違った方向から見られるようになり、更に知識が深まるような気がしています。

 

また、日英に対して、英日の仕事自体の応募が少なくなっているように見受けられます。機械翻訳の影響などもあるのでしょうが、いずれは日英翻訳の勉強も遅かれ早かれやらなくてはいけません。加えて、今の得意分野は電気・電子分野なのですが、電磁気学や、画像処理や統計の話になると、数学の壁にぶつかります。トライアルに合格したら数学シリーズもしっかりやりこむ必要があります。場合によっては再受講も検討するかもしれません。得意分野も広げる必要も出てくるでしょう。現在は化学分野の対訳を強化中です。

 

やることは山積みです。でも今やるしかありません。今やらないと、もっと年を取って苦労するのは目に見えています。人生、40 代は何かを始めるには遅すぎる。でも人生を諦めるには早すぎます。そして、今が一番若いのだから、今頑張らないといけません。でも、今の私はそれが苦ではないのです。勉強することがとても楽しいのです。数学の勉強もこれからですが、わくわくしています。

 

できていないこと、やるべきことは山積していますが、今できることを精一杯やることにします。それだけが自分をどこかに導いてくれる手段なのだと、この講座を受けて学びました。それが私の、誰にも奪うことのない大切な財産です。管理人様、2 年間本当にありがとうございました。そして再受講の際は再度よろしくお願い致します。

 

 

※管理人より

 

環境が悪い中でよくこれだけ頑張れたと思います。途中でギブアップしたと言い訳できる要因がいくつもあったのに。読んでいて泣きそうになりました。40代からでも全然遅くはありません。大企業の会社員でも40代でリストラされてそのまま心が折れてしまう人は多いです。ゼロからここまでやれるなら、これからの1-2年で驚異的にレベルアップできるはずです。頑張ってください。

プロの翻訳者になるためには、トライアルを突破する必要がありますが、そもそもトライアルとは何なのか。
そして、このトライアルに突破してプロの翻訳者になるには具体的にどうすればいいのかについて、誤解している方が非常に多いです。

そこで、プロの翻訳者としてのキャリアをスタートさせるために、避けては通れないトライアル突破法についてお話ししたいと思います。

翻訳者になるためのトライアルとは何か

トライアルとは、翻訳会社が受注した案件を任せられる人かどうか、つまり、一定レベルの品質水準を満たす
翻訳者かどうかを判定するために、各翻訳会社が応募者に課す試験問題のことです。

会社毎に実施するという意味では、入社試験と同じようなものです。
なお、このトライアルを「特許事務所」や「クライアント」が直接実施する場合もありますが、
ここでは実施主体が「翻訳会社」である場合を前提にお話したいと思います。

巷では、ある「認定試験」に合格したら、どこの翻訳会社も無試験で仕事が受注できるような謳い文句で、
受験者の募集をかけている認定試験運用会社もあるそうですが、現実にはそのような試験合格者を
無試験で受け入れている翻訳会社はほとんどありません。

あくまで会社ごとにトライアルを受ける必要があるのであり、会社ごとに個別のトライアル対策が必要となってくるのです。

トライアル対策のやり方

各翻訳会社ごとにトライアルを突破する必要がありますから、傾向と対策も当然、「応募先ごと」に研究する必要があります。
産業翻訳中心なのか特許翻訳中心なのか、特許翻訳中心であっても、化学中心なのか機械中心なのか、それとも
バイオ中心なのかによって対策が異なってくるはずです。

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例えば、自分の専門が「化学」なのに、わざわざ「機械」専門の翻訳会社のトライアルに応募することは普通ないと思います。

しかし、それでもあえてそういう応募をするのなら、それ相応の理由があるはずです。
例えば、「翻訳案件が大量にある」「翻訳レートが平均以上」「大学時代の専攻は化学だが機械メーカーに就職し、
機械系の研究開発に従事してきた」「趣味で自動車のエンジンいじりをやってきて特にその分野に詳しい」等です。

それらの理由がないのに闇雲に応募書類を送りつけても、相手はその分野の知識が応募者にはないと判断して、
相手にしない可能性が高いです。

トライアルを突破するために意識すべきプロセス

まずは、トライアルを突破するために必要なステップを整理しましょう。ある「料理」を作ろうと思ったら、
おそらく以下のような手順を踏むと思います。

料理に必要な「材料」が手元にあるのか調べ、もし不足する材料があればそれを揃えます。
さらに、料理する道具も必要ですし、レシピも必要です。これら全てが揃っていることを確認して
料理スタートです。トライアルもこれと同じです。

どの分野で応募するのか、応募する分野の案件が多そうな翻訳会社はどこか、
過去にどのような問題が出されているのか、その分野の知識が十分か、
翻訳作業に必要な翻訳環境(ハードやソフト)が揃っているかなどを確認します。その上で、
応募書類(CV)を完成させ、メールライティングのお作法に則って、翻訳会社にトライアルの応募をします。

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送付後は、相手からトライアルが送られてくるのを待ちますが、しばらく経っても連絡がなければ、
応募先を増やすCVを見直して相手にとってより魅力的な応募者であることをアピールします。

トライアルが送られてきたら、納期までに課題を完成させ、相手の希望する形態で返却し、合否判定が出るのを待ちます。

結果、合格できれば、正式に翻訳者として登録され、応募した分野や、翻訳会社がこの人なら対応できるだろうと判断した仕事が
クライアントから来れば、あなたに仕事を依頼してくるはずです。こうしてあなたのプロの翻訳者としてキャリアがスタートするのです。

「英語の達人」を目指すな

あなたは、「料理の鉄人」という番組を覚えていますか?「鉄人」と呼ばれるレギュラー出演者のシェフ達と
「挑戦者」として登場するゲストシェフとが、特別キッチン・スタジオ内の器具や食材を使い調理した料理を
ゲストおよびレギュラーの審査員に試食してもらってその評価を競う番組です。

番組の見どころは、テーマ食材が、調理開始の直前まで「秘密」になっているところでした。
素材によっては、自分の得意やジャンル、例えば中華料理にしてしまうと不利な場合があるので、
料理人にはイタリア料理、フランス料理、中華料理、日本料理から創作料理まで幅広く対応できる力が求めらます。

翻訳者になりたい人を見ていると、「英語の達人」であったり、
あらゆる分野に対応できる翻訳者を目指している人が多いという印象を持っています。

まず、TOEICは「900点後半」がとれるまで頑張る。英検はできれば「1級」せめて「準1級」まで頑張る。
民間がやっている「なんとか認定」も頑張る。できれば「一番上のクラス認定」まで履修する。
さらに、有名な翻訳スクールの上位クラスの卒業証書を揃える、

このように、自分の考える「凄いCV」にしてからトライアルに応募しようとする人が少なからずいます。

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自分の自信のなさを「肩書き」で補填したいという気持ちは分からないでもありませんが、これは時間の無駄です。
どんな分野の翻訳案件でも完璧にこなせる「英語の達人」になってからトライアル受験しようとする人は、
そういうものに「自身」のよりどころを求めたいのだと思いますが、これは人生の浪費ですので即刻やめて下さい。

トライアルと大学入試とは違う

意外と理解されている人が少ないのですが、翻訳会社のトライアルは大学入試の英語の試験とは違います。
大学入試では、ある程度どこの大学であってもトップで合格できる英語力みたいなものを想定して
勉強すると思いますが、それと同じように翻訳の勉強を初めてしまうと迷走してしまいます。

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なぜかというと、翻訳会社ごとに募集している翻訳者のタイプは異なりますし、翻訳会社が得意とする専門分野も異なるからです。
自分が一番やりたい分野の案件を沢山持っている翻訳会社のトライアルに合格できれば、それで済む話であって
あらゆる翻訳会社のトライアルを突破できることや、あらゆる分野に対応できる翻訳者になる必要はないのです。

特許翻訳であれば月に2~3件受注して、数十万円の報酬を継続的に得られればよいのであって、それ以上は、いくら引き受けたくても物理的に処理できません。依頼されても断るしかないのです。

したがって、安定受注のために、2~3社と契約することに意味はあっても、50社、100社のトライアルに合格し、登録翻訳者になる必要はどこにもないのです。このように、何のための勉強なのかを常に意識しないと、漫然と英語の勉強に「時間」と「お金」を使ってしまいますのでくれぐれもご注意ください。

トライアルに合格しただけでは足りない

ときどき、「トライアルに合格したのに仕事が来ません」という人を見かけます。理由はいくつか考えられますが
まず考えられるのは、翻訳会社が受注している仕事の中にあなたに依頼する適当な案件が存在しない場合です。

これは、そもそもトライアルに応募する「翻訳会社の選定」が間違っていたとが考えられますので、
あなたの得意とする分野の仕事を定期的かつ大量に受注している翻訳会社のトライアルに応募しましょう。

次に考えられるのは、あなたのトライアルでの評価です。仮に2軍として登録された場合は、仕事がたくさんあって
レギュラー陣だけでは処理しきれないという事態でなければ、まずあなたに仕事が振られることはないでしょう。
つまり、トライアルは突破するだけでは不十分で、上位で突破する必要があるのです。

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漫然とトライアル合格実績だけ積み重ねても意味はありません。仕事を受注し「報酬」を受け取って初めてプロと言えるのです。

まとめ

プロの翻訳者として仕事を受注するためには、トライアルはどうしても越えて頂かなければなりません。
ですから、自分が一番やりたい分野の案件を沢山持っている翻訳会社見極めて、そこのトライアルに合格するよう準備をして下さい。

そして、ただ合格するのではなく、プロとしてのキャリアをすぐにスタートさせるためにも、上位で合格することも忘れないで下さい。

「レバレッジ特許翻訳講座でどんな講義をしているのかサンプルを見てみたい」

という声にお応えして、「講座の動画32本」を無料でプレゼントするキャンペーンを行っていますので、ぜひ下記フォームからご利用下さい。(必須事項はピンクのところだけで、あとは任意ですので差し支えない範囲でご記入下さい)

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関連記事

翻訳者になるためのトライアルの難しさ

特許翻訳のトライアルに挑戦しよう

特許翻訳トライアルの新潮流

追記

受講感想を原文のまま「卒業生の声」としてHPに一部掲載していますのでぜひ読んでみて下さい。

「卒業生の声」はこちらから より多くの卒業生の声は、こちらの「資料請求」から入手できる「講座案内」に掲載されていますので、よろしければご利用下さい。

特許翻訳者になりたいという人に、

これまでに何件ぐらい明細書を読みましたか?

と聞くと、

「まだです。まだ明細書を読んだことがありません。これからです。」
と答える人が多いのに驚かされます。

毎日、特許明細書の翻訳をするのが「生業」の特許翻訳者を
目指しているのに、これはどういうことでしょうか。

更に驚くのは、特許翻訳の勉強を開始して何年も経つというのに
まだ明細書を読んだことがないという人が少なからず存在することです。

彼らは何をしているかというと、

ずーっと英語のお勉強をしているんですね。
これでは、特許翻訳者になれるわけがありません。
トライアルに合格できるわけがありません。

一流のバッターになりたい野球少年が、
一度もバットを振ったことがないというのと同じですから。

ただ、だからと言って闇雲に明細書を読もうとしても読めません。
特許明細書の読み方にはコツがあるのです。

この点、「定型表現」を切り口に読み方を解説したり、
部分的に読んだことで、明細書を読んだことにしている場合もあるようですが
これでは当業者の読み方に迫ることはできませんし、
優秀なサーチャーもそんな読み方はしません。

本記事では、これから特許翻訳者になりたいという人向け
特許明細書の読み方」について説明させていただきます。

これまでそれなりの数の明細書を読んで来たけれども、
自己流でうまく読み込めてないのではないか?
という不安を抱えている人にも役立つ内容となっておりますので、
是非最後までお読みください。

<関連記事>

特許明細書を専門知識に依存せず読み取る方法

特許明細書を読むために必要な専門知識の深さ

特許明細書を読むための化合物命名法

そもそも特許明細書とは何か

こちらには、「特許出願人が、その技術分野の専門家が発明を
実施することができる程度に十分に、発明を説明した書類である」
との説明がありますが、

この点については、特許法1条についての特許庁のページ
参考に考えると分かりやすいと思います。

(参照)※太字部分は本記事作成者による。

特許法第1条には、
「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し
もつて産業の発達に寄与することを目的とする」とあります。

発明や考案は、目に見えない思想、アイデアなので、
家や車のような有体物のように、目に見える形でだれかがそれを占有し、
支配できるというものではありません。

したがって、制度により適切に保護がなされなければ、
発明者は、自分の発明を他人に盗まれないように、
秘密にしておこうとするでしょう。

しかしそれでは、発明者自身もそれを有効に利用することが
できないばかりでなく、他の人が同じものを発明しようとして
無駄な研究、投資をすることとなってしまいます。

そこで、特許制度は、こういったことが起こらぬよう、
発明者には一定期間、一定の条件のもとに特許権という
独占的な権利を与えて発明の保護を図る一方、
その発明を公開して利用を図ることにより新しい技術を
人類共通の財産としていくことを定めて、
これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものです。

ものすごく端折って言うと、

「発明したら公開してね。その発明は国が保護してあげる。

その代わり、ライバル企業はその発明を参考に
もっと良い発明をするかも知れないけど、お互い様だから、
参考になるところは参考にどんどん競争して
良い製品開発して工場建ててばんばん売って儲けてね。

儲かったらたんまり納税してもらうね。」ってことです。

もっと上品に言うと、日本弁理士会のページにあるように、

「発明を秘密にしておくのではなくて、
世の中に公開するとともにその代償として特許権という独占権を
得ようとするのが、特許制度の趣旨及び目的になります。

つまり、私はこのような発明をしましたので世の中に
その技術内容を公開しますという役目を負っているのがこの明細書です。」

この明細書の趣旨に沿って、以下の様式が定められています。

特許明細書の構造

願書の様式については、
1.願書等様式(通常出願)(1)通常出願 特許

特許出願書類:明細書の記入例については、
特許出願書類:明細書(平成21年1月1日以降)の記入例
をご覧ください。

次に、「特許の上手い読み方」として、
弁理士会・東海支部のページに以下のような内容が記載されています。

アウトラインと思われる部分だけをわたしが抽出しました。

● 「特許請求の範囲」は後回し(最後に読む)

● 「要約書」から見る(代表図面も一緒に)
→発明の概略を知る

●「明細書」は従来の技術(背景の技術)から発明が解決しようとする課題を見る
→目的を知る

● 課題を解決するための手段
→構成、作用、効果に着目

● 実施例
→必要部分だけ、特徴的な部分を探す

● 「発明の概要」を「特許請求の範囲」とすり合わせる

ポイントは、最初から順番で読まない
発明の概略の把握に努めるということです。

当業者が短時間で読める理由

当業者やサーチャーは、数秒からせいぜい数分で
特許明細書のコア(キモ)を読み取ることができます。

図面と請求項を軽くスキャンするだけで、「ああ、あれか。」と
エッセンスを抜き取ることができます。

ここに明細書読解のヒントが隠されています。

ここにこれから特許翻訳者になろうという人が、
特許明細書の読み方をマスターするためのヒントが隠されています。

彼らはどこをどういう順番で読んでいるのでしょうか。
そして、その際にどのようなことを考えているのでしょうか。

因果関係から考える

これから特許翻訳者になろうという人・ゼロから始めようという人が、
上級者の真似をするのは困難です。ハードルが高すぎます。

当業者であれば、タイトルだけで発明の概略が把握できます。
そうでない場合も、タイトルと出願人(会社名)・発明者を見ただけで
概略が把握可能です。

普段から、学会等でライバル会社の動向は注視しているわけですから、
「ああ、XX社のYYさんか。タイトルは、~か。ああ、あれか。
だいたいの内容は想像できるな。」で終わりです。
図面と請求項すら見る必要がありません。

しかし、それができない人はどうしたらいいでしょうか。

物事には因果の流れがある

ポイントは、因果関係です。

企業は研究開発のために大金を投じています。
その投入したお金はどこかで回収しなければなりません。
趣味や道楽で研究開発する企業は存在しません。

その企業にとって解決すべき「問題」があり、

その「問題」を解決することで製品の「競争力」が向上し、
マーケットから多くの「利益を回収」でき、
その「利益の一部」をまた次の研究開発費に「投入」するという
サイクルになっているわけです。

そして、当該企業にとって目指すべき研究成果があるとすれば、
その成果によって解決されるべき問題が存在し、
その解決すべき問題は利益を生む自社製品あるいは
これから製品化しようとするものと関連したものであることは
容易に想像できるでしょう。

だから、当業者でない人が特許明細書を読む際に最初に確認すべきは、
「解決すべき課題(問題)」とそれがなぜ設定されたかという
背景」に関連する部分であることは明白です。

問題解決、そしてその間に「発明の成果(効果)」が挿入されるはずです。

全体の流れは、「背景(業界の動き)→問題発明の成果(効果)→解決
であり、問題解決までの道筋に存在するのが基礎理論(専門知識)に
裏打ちされた論理ということになります。

自動車メーカーが燃費向上させたエンジンを開発する目的は、
ユーザーへの価値の提供であり、
ユーザーがその価値を認めてくれることによる
自社製品の選択→自社の売り上げ増→利益増大ですから、
この場合は、問題設定は容易かつ明白であり、
発明の中心は、燃費を向上させる手段追求に帰着します。

しかし、発明によっては「なぜそのような問題設定がなされたのか?
が当業者以外には理解困難なものも存在します。

その場合、当業者が共通して持っている知識、
常識部分については補充するしかありません。

では、この常識はどのようにして獲得すべきでしょうか。

ニワトリと卵

逆説的ですが、特許明細書が読めないのは特許明細書を読まないからです。

特許明細書の中には、特許文献・非特許文献の引用があるはずです。
それを読めば、発明者が着目しているライバル企業及び
そのテーマで自分と競っている研究者が分かります。

研究開発のテーマは共通しているわけですから、
数件~十数件まとめて読めば、おおよそどういう会社が
どういうテーマに群がって競合しているかは分かるわけです。

あとは、解決すべき問題への切り込み方(アプローチ)に
どの程度の振れ幅があるかどうかを確認し、
それを中学~高校で学んだ科目(数学、物理、化学、生物など)に
登場する基礎理論に照らし合わせて読み解く作業となります。

当業者が特許明細書を瞬時に読み解けるのは、
この知識部分及び論理の運びが十分備わっているからです。

だから、それが不足している人が特許翻訳者を目指すのであれば、
この欠けている部分を補充するしかありません。

この補充作業を端折って、
英文法・構文や頻出パターン・一括置換等でごまかそうとするから、
おかしな翻訳文をはき出してしまうのです。

特許庁DBに公開されている訳文をチェックしてください。
大変残念なことですが、誤訳のオンパレードです。

特許明細書をちゃんと読めるようになるには、
ある程度の数の特許明細書を読むしかないのです。

文系のハンデはあるか

あるかないかと問われれば、「あります」としか答えられません。

が、文系の人が思っているほど、絶望的な差が理系との間に
存在するわけでもありません。

むしろ、論理力の差が大きいと思います。

普段から、なぜそうなのか、裏取りして納得するまで
調べるクセが付いているのであれば、さほど苦労しないはずです。

むしろ、問題は時間でしょう。

それなりの時間投入は必要です。
理系が投入した数年間を無かったことにするワケにはいきません。
あるとすれば、その間に理系が身につけた「~的考え方+論理力」を
どれだけ期間圧縮してキャッチアップできるかでしょう。

広さと深さ

本当の難しさは、あるテーマについてどこまで深掘りするのかにあります。

特許翻訳に必要とされる知識の深さを見切る力
独力で身につけることは、極めて困難と言えます。
要不要が文系には極めて見極めにくいのです。

何年も努力しているのにどうも読み方のコツが見えてこない、
という人は「努力の方向性」が間違っている可能性があります。

知識は無限の広がりを持ちます。深さも底なしです。
それを特許翻訳者に必要な範囲で見切ることの難しさ。

おそらく特許翻訳者をゼロから育てる上で、これが最大の難敵でしょう。

暗記脳からの脱却

脳が脳たるゆえんは、答えがあるのかないのか分からない状態で、
課題を設定することができることです。

イメージ、構造化し、自己の知識体系・知識空間の中に
対象を持ち込むことで、問題設定及び解決策までの連結部分を導出する力です。

課題設定力・課題解決量の根本にあるのは、イメージする力です。
そして、これは理系だからと言って、必ずしも備わっているとは言えません。
優良特許を出願するために必要なスキルです。

特許翻訳では、この部分の作業は企業(研究者)が
やり終えているわけですから、あとは論理と知識で繋いて
因果の流れに乗せるだけです。足りないのは専門知識ではありません。

すでに終わっている課題設定、課題解決に沿って
構造化し図解化することでそのトレースをしてみることです。

この作業の重要性に気づければ、一定期間の鍛錬によって
特許翻訳者になれるのは当然といえるでしょう。

まとめ

特許明細書を読む上でいくつかのポイントがあります。

まず、量を読むこと。

次に、論理が破綻しないように内容理解に努めること。
知識ではなく、鍛錬こそが重要であると知ることです。

そしてそれらができるようになるには、
おそらく年単位の期間が必要となってきます。

そのまずは第一歩として、特許明細書を読んでみてください。
すべてはそこから始まるのですから。

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特許明細書を読むためには、
どの程度の専門知識が必要とされるのでしょうか。

その量と正確さ(厳密さ)について確認しておくことは、
これから特許翻訳者になろうとする人にとって、とても大切なことです。

なぜなら、知識は多ければ多いほど良い、正確であればあるほど良い
というのであれば、果てしなく専門知識を追い求めることになり、
翻訳者に求められる処理量とのバランスが取れなくなってしまうからです。

それどころか、何年勉強しても仕事が始められない
ということになってしまいます。

Tired woman in glasses sitting at the table with laptop and books. Looking at camera

競合する翻訳者との「比較的優位」が維持されている限り、
とりあえず仕事は受注できます。問題は、どこまで踏み込むかです。

特許翻訳者は、論文の査読委員のような専門知識は求められてはいません。

翻訳対象に大きな論理破綻がない前提で言えば、
翻訳者には「素早い内容把握」とコンテクスト理解に基づく
正確な翻訳」と「納期厳守」が求められています。

あまりに細部にこだわり過ぎて納期に間に合わないようでは、
プロの特許翻訳者とは言えませんが、逆に、内容を全く読み取ろうとせず
語句の置換作業に終始していたのでは、早晩仕事の依頼がなくなるでしょう。

後者は論外としても、大学・大学院・企業で専門知識を
ブラッシュアップしてきた人が、「潔癖症」で「完全主義」を
追い求めてしまうと職業人として特許翻訳者失格となってしまいます。

では、具体的にどの程度の深さで特許明細書を読めばいいのでしょうか。
具体例を挙げて説明しましょう。

題材とした特許明細書

今回取り上げたのは、以下の特許です。

【公開番号】特開2005-58288(P2005-58288A)
【発明の名称】医療用粘着テープのための粘着剤組成物及び粘着テープ

PRESSURE-SENSITIVE ADHESIVE TAPE AND PRESSURE-SENSITIVE ADHESIVE COMPOSITION FOR MEDICAL ADHESIVE TAPE
WO2005019369 (A1)

特許の大枠を把握しよう

結局のところ、何の特許なのか、
まずやることは特許の大枠の把握です。

一言で言えば何の特許か、どこがキモなのか、ということです。

まずは「課題」分を見てみましょう。

【課題】

高い透湿性と優れた防水性とを同時に有し、剥離時の皮膚刺激が少なく、
繰り返し接着が可能で、匂いがない医療用粘着テープを提供する。
また、高い透湿性と吸水性、保水性とを同時に有し、
剥離時の皮フ刺激が少なく 匂いがない医療用粘着テープを提供する

何=「医療用テープ」であることが分かります。

Content of First aid kit plasters, bandage and pills

となると、治療中という期間限定での使用となり、

その間、皮膚にしっかりと貼り付き、同時に容易に取り外し(剥離)可能で、
その際に皮膚への刺激が少ないこと(皮膚を傷つけたりしないこと)、
余計な匂いがしないこと、透湿性.吸水性.保水性などの特性が
問題となることは、明細書中の続きの文章を読まなくても分かりますので、
読んでいるのは、確認のためということになります。

次に、そのための「解決手段」をみてみましょう。

【解決手段】

ウレタンアクリレートオリゴマー及び紫外線(UV)開始剤を含む前駆体を
架橋もしくは硬化して得られる感圧接着性ポリマーを含む ベースポリマーを
含み、 かつ、前記ベースポリマーのガラス転移温度(Tg) は
0℃以下である、 医療用粘着テープのための粘着剤組成物。

成分について、「ウレタンアクリレートオリゴマー」というのが登場しますが、
ここで、構造式や性質を想起できる必要はありません。

化学を専攻した人や細部にこだわる人の中には、
こういう物質が実在するのだろうか、どういう構造をしているのだろうか、
などの疑問を解消すべく徹底的調べようとする人がいますが、不要です。

こういう「潔癖体質」「完全主義」は、
自分の首を絞めることになりますので要注意です。

知識があって不利になることはありませんが、
その知識を使う場所と使い方を間違えてはなりません。

プロというのは、納品レベルを維持しつつ大量処理が求められますので、
「訳質」と「処理速度」にリンクしない作業に余計なエネルギーを
回してはいけません。

ここで翻訳者に求められるのは、

「ウレタンアクリレートオリゴマー」が、
「ウレタン」+「アクリレート」+「オリゴマー」の合成であって、
スペルミスがないことの確認だけです。逆にいえば、その程度の
化学的背景知識は求められているということになります。

次に気になるのは、「前駆体」でしょう。

文章構造から考えて、どうやら「前駆体」というものを
「架橋」「硬化」させると「ポリマー」というのが出来るらしい。

前駆体はポリマーの「前」の段階にある何かだろう、
くらいは解読できると思いますが、ここではそこで止めておきます。

では、最後に「解決手段」の中で取り上げられている
ガラス転移温度(Tg)」を取り上げてみたいと思います。

glass-broken-12-texture_g1spwoh_

上で取り上げた「ウレタンアクリレートオリゴマー」と「前駆体」は、
中身(組成)についてのものだと推測されますが、

この「ガラス転移温度」は、本明細書が目指す製品の「特性」についてのもの
であると推測され、より発明の本質に関わるものと考えられますので、
専門知識がなくても理解でき、かつこの点について理解できないと
本発明が完全にブラックボックスになってしまう危険があるからです。

ガラス転移温度についてどこまで理解すべきか

では、このガラス転移温度についてどこまで理解すべきでしょうか。
まず、明細書の中に答えがないかという視点で読み進めていきます。

以下のように、本明細書中に「ガラス転移温度」という言葉は、数回登場します。

【請求項1】

ウレタンアクリレートオリゴマー及び紫外線(UV)開始剤を含む前駆体を
架橋もしくは硬化して得られる感圧接着性ポリマーを含むベースポリマーを
含み、かつ、前記ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃以下である
医療用粘着テープのための粘着剤組成物。

【請求項13】

ウレタンアクリレートオリゴマー及び紫外線(UV)開始剤を含む
粘着剤組成物前駆体を混合すること、

前記粘着剤組成物前駆体を50℃以上100℃未満の温度に加熱して
2000~100000mPa.sの粘度を有する塗布液を形成すること、
及び、前記塗布液を基材上に塗布し、その後、
前記ウレタンアクリレートオリゴマーを架橋もしくは硬化して、
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるベースポリマーを形成させること、
を含む、医療用粘着テープのための粘着剤組成物の製造方法。

【課題を解決するための手段】

本発明は、1つの態様によると、ウレタンアクリレートオリゴマー及び
紫外線(UV)開始剤を含む前駆体を架橋もしくは硬化して得られる
感圧接着性ポリマーを含むベースポリマーを含み、かつ、
前記ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃以下である、
医療用粘着テープのための粘着剤組成物である。

本発明は、別の態様によると、上記の粘着剤組成物を高透湿性基材上に有する
医療用粘着テープである。

本発明は、さらに別の態様によると、上記の粘着剤組成物の層からなる、
医療用粘着テープである。

本発明は、さらに別の態様によると、ウレタンアクリレートオリゴマー及び
紫外線(UV)開始剤を含む粘着剤組成物前駆体を混合すること、

前記粘着剤組成物前駆体を50℃以上100℃未満の温度に加熱して
2000~100000mPa.sの粘度を有する塗布液を形成すること、
及び、前記塗布液を基材上に塗布し、その後、

前記ウレタンアクリレートオリゴマーを架橋もしくは硬化して、
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるベースポリマーを形成させること、
を含む、医療用粘着テープのための粘着剤組成物の製造方法である。

【0011】

本明細書において、「ガラス転移温度(Tg)」は一般的に市販されている
粘弾性測定装置等によって測定される。

glass-broken-7-texture_g1qddoru

【0013】

ベースポリマー

粘着剤組成物中のベースポリマーはウレタンアクリレートオリゴマー及び
紫外線(UV)開始剤を含む前駆体を架橋もしくは硬化して得られる
感圧接着性ポリマーを含み、かつ、前記ベースポリマーの
ガラス転移温度(Tg)は0℃以下である。

ベースポリマーの原料としてウレタンアクリレートオリゴマーを用いることで
アクリレートモノマーなどのモノマーがベースポリマー中に残存して
皮膚刺激を生じることを防止することができる。

また、ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)0℃以下であり、
室温(例えば、25℃)などの使用温度よりも低いので、
皮膚に貼りつけるときに、粘着性を有し、また、皮膚形状に追従して
柔軟に変形することができるようになる。

【0031】

粘着剤組成物及び粘着テープの製造方法

本発明の粘着剤組成物は、1態様として、以下のとおりに製造されうる。

まず、ウレタンアクリレートオリゴマー及び紫外線(UV)開始剤などの
原料を混合して粘着剤組成物前駆体を形成し、次いで、粘着剤組成物前駆体を
50℃以上100℃未満の温度に加熱して2000~100000mPa.s
の粘度を有する塗布液を形成する。

この塗布液を基材上に塗布し、その後、ウレタンアクリレートオリゴマーを
架橋もしくは硬化して、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である
ベースポリマーを形成させ、基材上において粘着剤組成物を製造する。

glass-texture-design_gjo8zvtu

このうち、なぜ「ガラス転移温度」が問題になるかについては、
【0013】に答えが書いてあります。

ここから読み取れるのは、ガラス転移温度というのは、ポリマーの柔らかさ
(柔軟性)と関係する。この温度を0℃としたことで体温ではもちろん、
水洗いなどの際、体温より低温になったとしても、接着層の皮膚・体の
凹凸への追従性が保持され、テープがはがれたりしないしないことを
言いたいのではないかという点です。

ガラス転移温度について調べてみる

専門知識の無い特許翻訳者がいきなり辞書や便覧で確認しようとしても、
コンテクスト理解には結びつきません。

まずは、明細書の記述を素直に読んで、何を言わんとしているのかを
推測してみることが大切です。その後で、ネット検索してみます。
そうすると、以下の解説が見つかります。

結晶性プラスチックにおいては、 結晶部分と非晶(非結晶)部分が
存在するが、温度を上げて行くと、 まず分子間力に拘束されない
非晶質部分の分子が動き出す温度(1)に達する。

更に温度を上げて行くと、ポリマーが分子間力で集まった 結晶部分の
分子までも動き出し、すなわちそのプラスチックが溶融する温度 「融点」
(2)に達する。 この時、(1)の温度を「ガラス転移点」という。

また、このガラス転移点以下では、非晶質部分の分子も熱運動しない
柔軟性のない状態、即ちガラス状態となるので、 物性変化の点移転として
そう呼ばれている。

一般的には、非晶質固体において、 ガラス転移を起こす温度をガラス転移点と
呼び、その上の温度域ではゴム状態、 それより低い温度域ではガラス状態となる。
https://www.kda1969.com/words/words_pla_2k_07.htm

「結晶」「非晶」「分子間力」など、
更に分からない言葉が出てきたと思いますが、とりあえず無視します。

最後のところを読み取ると、要するに

ガラス転移点以上ではゴムのように柔らかくなり、それ以外では
ガラス状態、つまり固くなる。」ことが分かり、検索前の推測が
概ね正しかったことになります。

あとは、化合物名や調製方法について解読するためには、
それなりの化学の専門知識が必要となりますが、
ここでの調査も時間が許す範囲にとどめるべきでしょう。

このように考えれば、とても無理だ、読めないと思っていた
化学系の特許明細書も、とりあえず納品レベルでの作業はやれそうな気が
してきたのではないでしょうか。

まとめ

本特許明細書が何を目指しているのか、まずはその大枠を把握しましょう。

そして、その際には、細部に踏み込んで、化合物名から構造や反応式を
考えるようなことはせず、作業に「必要な範囲と深さ」で調査することを
心掛けましょう。

プロの翻訳者には、量と品質を両立させつつ、納期厳守で継続的に
安定した仕事(アウトプット)をすることが求められているのだ
ということをくれぐれも忘れないようにして下さい。

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プロの翻訳者になるためには、各翻訳会社のトライアルを突破しなければなりません。
では、どうやったらこの難関とされるトライアルに合格できるのでしょうか。

実は翻訳者が見逃しがちな盲点があるのですが、これを知らないと
何年も無駄な努力を続けることになってしまうので注意が必要です。

翻訳者のトライアルは一発勝負!

翻訳会社としても大切なクライアントからの仕事を任せる以上、優秀な翻訳者だけを選別したいと思うのは当然です。
ということは、公募してきた人が優秀な翻訳者かどうかの選別が書類審査の段階で始まっています。

日本国内で日本人が応募する場合、応募先はその応募書類に必要な情報が含まれていることを期待しています。
日本語で書かれている以上その文章の正確性や読みやすさなども選考対象となっていると考えられます。

つまり、この書類審査の段階で不合格となる可能性ももあるわけです。書類審査の段階で不合格となった場合には、
応募書類送付後トライアル受験が許可されることはありません。つまり、トライアル課題文は送付されません。

トライアル課題文が送られてきたら、トライアル問題へ挑戦します。そのチャンスは1回限りというのが鉄則で、
何度もやり直し・再提出を認めてくれることはありません。同じ会社のトライアルを再度受験したい場合には、
通常1年程度の期間を空けるところが多いようです。

Opportunity Definition Magnifier Shows Chance Possibility Or Career Position

ですから、できなかった箇所だけやり直して最終的に合格ラインを超えたら合格判定してくれる、なんて
優しい翻訳会社は聞いたことがありません。もちろん、一定期間(1~2年)経過後に再受験を可としている
翻訳会社もありますが、前回のトライアルとは問題が異なりますから、前回の試験問題をそのまま参考に
できることはまずありません。

つまり、「赤本」のような翻訳会社毎の対策資料集が存在しないのですが、このことは考えればみれば当然です。

各翻訳会社は、メインとなる顧客も違えば得意分野も異なりますし、顧客や分野も時代と共に変化するのですから、
一度トライアルに合格すれば、時代を超えてどの翻訳会社も安心して採用できるような試験制度はありません。
ですから、どの翻訳会社も、担当者が自らチェックして納得の上で翻訳者を選別したいのです。

また、昔と異なり、トライアル問題送付から返送まで、短い期間が設定されたり、場合により日数ではなく
XX時間以内に返送、といった時間指定に変わってきたりしています。

※赤本とは各大学・各各部別の大学入試過去問集のことで、教学社(https://akahon.net/)から発行されています。

Time For Success Message Means Victory And Winning

トライアルなんて自宅で挑戦するのだから、ネットも書籍も見放題、時間無制限だからちょっと準備すれば大丈夫
などと甘く考えてはいけません。

トライアルはクセモノがいっぱい

加えて、トライアル問題には各社各様のクセがあります。プロになった後であれば、

「ああ、ここはひっかけだな」
「ここは意地が悪いな」

というクセの分析(見切り)が出来るのですが、これからトライアルを突破しようとする初心者には
なかなかそれを見ぬくことはできません。ですから、何回もいろんな翻訳会社のトライアルに挑戦しては、
不合格を重ねているうちに心が折れてしまう人が続出するのです。

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トライアルを何回か経験すればそのうち慣れてきて、パターンも見えてくれば自然と合格できるだろう、
といった甘い考えは通用しないのです。

スクールで扱っているような「素直な文章」だけが載っているテキストで、一般的な型や約束事を学んでも、
トライアルに埋め込まれたトラップを見ぬくことは困難であって、公開特許にあるミスを自力で発見し、
自力で修正できるぐらいの力がなければトライアル突破は難しいといえます。

本当のトライアルはトライアルに合格してから

合格後に始まる値踏み

え?どういう意味?と思われたかと思いますが、いわゆるトライアルに合格しただけでは、
プロの特許翻訳者として認知されず、その実力は、品質を維持しつつ納期を厳守する実ジョブにおいて試されます。

つまり、翻訳会社に登録されても、最初は比較的短い(ワード数の少ない)案件を何件か処理させ値踏みされます。
そして、翻訳会社が提供した資料(スタイルガイド、関連資料等)をちゃんと読み込んでいるか、
それらに準拠した仕事ができているか、 また、メールのやりとり等から、ビジネスパートナーとして
今後お付き合いを続けていくのにふさわしい翻訳者なのか等もチェックされるのです。

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トライアル代行サービスの出現

一昔前まではそこまで厳しくなかったのですが、「トライアル代行」サービスを使って
トライアルを突破しようとする人が増えてきたため、翻訳会社も慎重になってきているのです。

トライアル代行とはどういうものかというと、プロの翻訳者にお金を払ってトライアルを代行してもらい、
実力不足でもトライアルだけは通過させるサービスです。

このようなサービスの存在がどうしてバレてしまったかというと、トライアルの結果だけを見ると
「極めて優秀」な翻訳者だと思われるのに、実ジョブをやらせると「ガタガタ」(品質に難あり)になる人が
増えてきたため、業界でもこのサービスの存在が知られることとなったのです。

ですから、トライアルに合格した人に、いきなり大ボリュームの案件を任すことはしなくなりました。
お試し期間(その人が本当に優秀かどうか、実ジョブを通じて判定する期間)を設けるようになったのです。

もちろん、このようなお試しを全ての翻訳会社が導入しているわけではありませんが、
相手はまだまだあなたの実力を疑っていますので、このお試し期間にミス(特に、誤訳などの致命的なミス)を
繰り返すようだと確実に切られます。もう、仕事の依頼は決して来ないと思った方がいいです。

まとめ

このように翻訳者になるためのトライアルには、一発勝負であることや、
各社各様のクセのある問題にうまく対応できるかどうかという特有の難しさがあります。

また、たとえトライアルに合格させたとしても、翻訳会社はまだあなたを疑いの目で見ており、
本当のトライアルは、登録後の実ジョブを使ってなされるのだということを決して忘れず仕事に取り組んで下さい。

これらを全てクリアして初めて、継続的に仕事を受注できる「プロの翻訳者」としてのキャリアが
スタートできるのですから。

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特許明細書を読み取るためには、理系の専門知識が大量に必要だ。

だから文系の自分は不利だ、無理だ、できない、と思っている人が
多いのには驚かされます。

本稿では、足りないのは知識ではなく思考力や論理力であること、
そしてその前提として素直に明細書に立ち向かうマインドに
問題があることを説明していきたいと思います。

以下の文章をよく読み、実践していただければ、巷に広まっている
「特許翻訳=理系有利」という「ドグマ」が瓦解すると思います。

足りないのは知識ではありません。
考えるという一手間を惜しむその脆弱マインドこそ問題なのです。

ここでは、2016年・セミコンジャパンで登場した
「ステルスダイシング」を素材として、その「言葉」からどのように
内容にたどり着くのか、その過程をお見せしたいと思います。

 参照)https://www.disco.co.jp/jp/news/event/sj2016/index.html

言葉を出発点としたアプローチ

「ステルスダイシング=ステルス+ダイシング」です。

そして、この言葉がセミコンジャパンで登場しているのですから、
半導体関連の技術についての言葉であるはずです。

ダイシングについて

まずは、半導体プロセスの一つである「ダイシング」について確認するため
「半導体+ダイシング」で検索します。

この際、大切なことは細かい知識に惑わされないことです。
「要するに」どういうこと?という質問を自分に投げかけて、
それに答えるようにして調べるようにしてください。

次に、従来のダイシングが抱える問題点を解決するために
「ステルス」ダイシングなるものが登場したと考えられますから、
まずは現状把握、つまり半導体プロセスにおけるダイシング工程と
そこでの問題点を確認します。

まず、グーグルサジェストを活用してみます。

半導体工程におけるダイシングには専用装置が存在し、
その工程にはフィルムが使われ、ディスコが代表的な装置メーカーであり、
その工程には「ブレード」「レーザー」が使われていることが推測できます。

ここまで確認したら、一度通しでお読みいただいた半導体関連の書籍
(下記で推奨書籍をご紹介しています)の索引を活用し、関連箇所を読みます。

20161220-1

あわせて、グーグル検索結果を「画像」に切り替えます。

20161220-2

出典)http://www.lintec.co.jp/e-dept/adwill/about/

ダイシングとは、ウェハー上に作成したチップを分離するために、
レーザーまたはカッター(ブレード)で切断する工程であることが分かります。

この後、YouTube等でダイシングプロセスの動画をチェックします。
従来のダイシングではゴミが発生するために洗浄工程が
必要であることが分かります。

となると、「ステルス」とは「コンタミ防止」に関連した技術ではないか
と推測できます。

ここまでの説明を読んで「難しい」と思った場合、
前提が欠如していることになります。

英語を勉強するのに「アルファベット」は知る必要があります。
特許明細書を読むために細かい専門知識は不要と言いましたが程度問題です。
最低限度の言葉は押さえてください。

もちろん、ネットで勉強する、知識ゼロからネット検索で芋ずる式に
知識を獲得する方法もありますが、いかんせん時間がかかります。

普通は、まず定評のある書籍を入手し、
半導体プロセス全体を押さえておく必要があります。

オススメするのは、前田さんの本です。
この2冊はぜひ購入してください。

この本の存在を知らない、あるいはここに書かれている基礎的な知識も
欠如している状態では、半導体案件を受けることはできません。

また、そのレベルで半導体が得意分野です、とか言わないようにしてください。
コーディネータに鼻で笑われてしまいます。

さて、事前にこうした本で学習済みであること、あるいは、
最初の依頼が半導体がらみだった場合は大急ぎでこうした本で
大枠を把握していただいたことを前提に、話を進めていきましょう。

ステルスの正体

すでに、ステルスがコンタミ防止がらみで出てきた技術に
関連するのではないかという推測はしていますから、
次は「ダイシング ステルス コンタミ」で検索します。

すると、

https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/etd/SD_tech_TLAS9004J.pdf
がヒットし、その中に「図1 ステルスダイシングの基本概念」が出てきます。

20161220-3

ウェハーの内部にレーザーの焦点があり、
これがスキャン(走査)されていることが分かります。

ウェハーの内部にのみ局所的・選択的な加工を施してありますから、
外部からはレーザーによる加工がなされたかどうかは
わからないことになります。

これが「ステルス」という意味ではないかと推測できます。

上記PDF内にも「ステルスダイシングは対象材質をその材質“内部”から
割断する方式であるため、対象材質を“外部”から切断する従来の
レーザダイシングとはその原理機構が明らかに異なります。」

との記述はこのことを示していると考えられます。

また、外部変化が無いということは、

レーザーやダイヤモンドカッターを使った機械的切断と違い、
削りかす(ゴミ)が発生しない「クリーンプロセス」であることが分かります。

参考)本プロセスの特徴については、
https://www.disco.co.jp/jp/laser/merits.html
にまとめられているように、コンタミ防止以外にもいろいろあるようです。

違いを端的に表現する力

20161220-4

出典:https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/etd/SD_tech_TLAS9004J.pdf

図6の説明には、「SD方式の場合、ステルスダイシング後は
個々のチップは依然として一体化したウェハーのままの状態であり、
その後テープエクスパンドにより初めてチップ分離されます。」とあります。

外からは見えない「切れ目」を入れておいて、
実際にチップを取り出す前に、ウェハーの裏面に貼ったテープを
引き延ばすことで、チップどうしを物理的に分離していることになります。

これは、日常生活で使っている湿布薬(モーラステープ)の使用例に似ています。

20161220-5

出展:http://hisamitsu-katahari.jp/sp/

つまり、レーザーを内部にフォーカスし、
見えない切れ目を作成しておいてからテープを引き延ばすことにより
分離するという視点は、技術としても操作としても、
何ら新しいものは無いことになります。

それをダイシングという工程に組み合わせた視点が新しいと言えます。
が、この理解に特段の専門知識は不要です。
専門知識の有無とは関係なく理解可能なのです。

レーザーのフォーカシングをウェーハ内部で行ったこと、
見えない切れ目を予め入れておいてからテープを引き延ばす
機械的操作と同時にチップを分離していること、ここがポイントです。

あえて理系知識を問題にするのなら、レーザーがどういうもので
そのフォーカシングが可能であるという点だけでしょう。

まとめ

文系だから、専門知識が無いから、
といったできない理由を探すことはやめましょう。

結局、当該特許明細書において、何が新しいのか、どういう発想で、
何に着想を得て出願された特許なのかと考えてみましょう。
このことで、特許の理解が加速します。

先入観を捨てて素直に特許明細書と向き合うことが何よりも大切です。

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追記

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ここ1~2年、

「トライアル応募しても書類審査ではねられてしまう」
「トライアルが難しくなった気がする」

という声が聞かれます。

何が起きているのでしょうか。
詳しく分析してみたいと思います。

成熟した業界で必然的に起こる変化

未成熟期

特許翻訳という職業が今ほど認知されていなかったころは、
特許翻訳者という職業自体が珍しく、特許翻訳というマーケットが
形成されていない、あるいは、あったとしても小さく、
今のようなスクールも成り立たなかったため、
スキル獲得手段の多くは、先輩からのOJTに依存していたはずです。

現在、大手のスクール経営者に顔見知りが多いのは、
そのことを裏付けるものでしょう。

彼らは、業界がまだ未成熟期にあった頃、試行錯誤しながら
経験を積み上げて指導する側に回ったと考えられます。

成熟期

時が経過し、翻訳業界が成熟し、それなりにノウハウ・テクニックが蓄積され
それらがマニュアル化され、スクールビジネスを通じて組織的に
翻訳志望者へと広まったことで何が起きたのでしょうか。

裾野が広がったスポーツやビジネスでも同じように、
特許翻訳者の集団における「底辺層の底上げ」並びに、それに伴う
必然的な「全体レベルの上昇」です。

この時、マーケット全体が拡大し、全員の受け皿が準備できていれば
問題ないのですが、企業の特許出願数の頭打ち傾向や出願する
特許の厳選・選別という状況が生じればそうはなりません。

では、どうなるでしょうか?

業界全体で必要とする特許翻訳者数は横ばいかむしろ減少してしまい、
新規参入のための閾値すなわち「トライアルのレベル」は
必然的に「上昇」することになります。

加えて、

過当競争により依頼側の「要求水準の上昇」と「レート低下」をもたらし、
従来の平均以下レベルの翻訳者の仕事は、翻訳精度の上がった機械翻訳ソフト
あるいは、近時流行のAI翻訳ソフトによって代替されていく
方向であろうことは容易に推察できます。

トライアル受験者が経験したこと

トライアル受験をした人の多くが、以下のような経験をするようになったのは、
上記のような業界の変化が背景にあると考えられます。

すなわち、

(1)時間制限付・日数制限付トライアルが登場してきた
(2)どこがダメだったのかはっきりしないが不合格となるケースが増えた
(3)トライアルに何度挑戦しても突破できない
(4)すでにプロとして食べている人がトライアルに合格できなくなった
(5)書類審査で落ちるケースが増えてきたなど、

一言でいえば、「トライアルが難しくなっている」ということです。
この理由について、以下で深掘りしてみることにしましょう。

新規参入者が知っておくべき新潮流

時間制限・日数制限付トライアルの登場

以前のように「出来たら送ってください」という
時間制限のないトライアルは確実に減少しています。

逆に、そちらの都合に合わせて課題文の訳文を何時送ってもらっても
構いませんという一見するとやる気のないトライアルは、
さほど新規参入者のニーズが高くない状況とも考えられます。

この背景にあるのは、

「マーケットの停滞」と「新規参入の増加」が人出不足感を解消させ、
「現有のレギュラー陣と交代させられる程度のレベルなら欲しいが、
とりあえず登録だけしておいてひょっとしたら依頼するかも知れない人に
合格を出す必要はない」という会社が増えたためではないかと思います。

翻訳雑誌などでも「優秀な特許翻訳者は常に不足しています」
というのがコレですね。

「優秀なら」つまり、現有のレギュラー陣=1軍と代替可能なレベルなら
欲しいが、そうでないなら、専門分野が特殊とか何か理由がない限り、
急いで採用するまでのことはない、というわけです

野球でいえば、イチローやダルビッシュクラスなら何人いても困らないよ、
という至極当たり前のことを言っているだけであり、特許翻訳志望者が
この部分だけ見て、特許翻訳者が不足しているから業界参入の大チャンスだ
と考えると大やけどをしてしまいますよということです。

採用する側から考えればすぐに分かりますが、そもそも登録者だけを
増やしても管理コストだけ増えて何のメリットもありません。

加えて、レギュラー陣でとりあえず目先の仕事が回っているのであれば、
それ以上にトライアルを実施して人を増やす必要がそもそもないのです。

どうしても追加で必要なときだけ、少数の優秀な翻訳者を合格させれば
よいのであって、普段から登録者を増やして実ジョブに慣れさせる訓練を
しておく必要もなくなったとみるべきでしょう。

また、引き受ける仕事の「レートが低下している」傾向の中では、
いきなり実戦投入できない初心者を長い時間とコストをかけてまで
育てる余裕がなくなっていることも考えられます。

これは特許翻訳業界に限定された話ではなく、ビジネス全般に言えます。

一流大手に入社した新入社員でも、昔なら3年ぐらいで一人前になってくれよと

言っていたのが、1年になり、半年になり、3か月になり...
最近では、入社後1か月で実戦(プロジェクト)に戦力投入される
というケースもあるようです。

そして、プロジェクトの現場に放り込んで、そこからなんとか
自己成長できる人だけ残し、そうじゃない人はばっさりリストラする
という会社もあるようです。

即戦力で、教育の手間がかからず、仕事を依頼する側からすれば
打てば響く(気持ちよく使える)優秀な人材なら欲しいが、
そうでなければ相手にする必要はない、というのがビジネスの流れです。

それぐらいビジネスの現場は厳しくなっているわけですから、
こうしたソークラ(ソースクライアント)から見て下流=「下請け」
に過ぎない企業に余裕などあるわけがありません。

即戦力以外は不要、というのはどの業種、どの段階でも
ディファクトとなりつつある考えです。

書類審査のハードルの上昇

「書類審査のハードルが上がった」ことも、上記の点から考えれば
容易に説明がつきます。

育てる必要のない優秀な人は、メールの文面や添付ファイルにある文章を
見ていれば、おおよそ選別できるものです。

トライアル応募に対してトライアル課題文を送る必要もないだろう
という判断をされてしまう人も増えてくるのが自然な流れです。

初心者は気づいていないかも知れませんが、メールでのやりとりや
応募要項に対応したCV作成能力によって、同時に翻訳力を含む
翻訳者としての総合力もおおよそアタリを付けることができるものなのです。

まして、年間何百~何千通という応募メール、CVを見ている
コーディネータ、その結果として使えたかどうかを相関関係のデータベース
として頭の中に持つ経験豊かな翻訳コーディネータであれば、
この見切りはさほど難しいことではないでしょう。

スクールと異なる判定基準の不明確さ

加えて、「トライアル不合格の理由が分からない」のであれば、
対策しようがありません。

数打ちゃ当たるだろうとばかりに沢山のトライアルを受けていこう
とする人も出てきますが、

明確なトラップ(罠)が仕掛けられているだけでなく、
全体として訳文の硬さや、調査の浅さなど「総合判定」を判定項目に
持ち出されると、パッチワークのような勉強をいくら続けても、
その後トライアルに落ち続けることになります。

トライアル権にすがるべきでない理由

このような状況下にあってなお、翻訳スクールがインセンティブとして
付けている「トライアルを受験できる権利」なるものにすがる人が、
少なからずいることに驚きます。

翻訳スクールの中には、そのスクールの運営母体である翻訳会社の
「トライアルを受験できる権利」をオマケにしているところもあるようですが
もし、そのトライアルに落ちた場合にどうするつもりなのでしょうか。

また同権利が付いた類似のスクールに入り直すつもりなのでしょうか。
最悪、同じスクールの同じコースを複数回受講することになりそうですが、
それが解決策になりますか?

そもそもプロとして安定稼働するためには、

契約会社を1社のみに限定するのは非常に危険です。
時期により依頼案件数が変動しますし、ソークラが別の翻訳会社に
契約を切り換えた場合、その専門分野の依頼そのものが無くなってしまいます。

プロとしてはこのような場合に備え、リスクヘッジとして常時2~3社との
取引が必要で、それが専業の翻訳者として生活を維持するための前提となります。

とすれば、トライアルは複数合格しておいて、その中から各種条件と
案件・担当者との相性等を考えて最終的に2~3社と契約するという
流れになるはずです。

そして、このような状態にするためには、

翻訳スクールが提示する「トライアル受験の権利」にすがるのではなく、
任意の会社に自由に応募してもかなりの確率でトライアル合格できる実力
(真の翻訳力)の獲得に精力を傾けることが重要と考えます。

ましてや、「トライアル受験の権利付」のスクールに入っても、

最終的にトライアル合格できずにチェッカーとしてずっと安く使われたり、
別の講座(英検1級コース、TOEIC高得点コースなどが定番のようですが)
へ誘導されたりして、時間とお金を効率的に投入できていない状況は、

プロの特許翻訳者になり安定稼働するという当初の目的からみて、
本末転倒をいわざるを得ません。

結果に結びつかない学習はやめよう

翻訳者のスキルとしては、一般に英語力、専門知識、日本語力、調査能力
などに加えて、ビジネスセンス(営業力などを含む)も必要となりますが、
これらを個別に鍛えていても、時間制限付のトライアルを突破することは困難です。

トライアルに挑戦する段階で、「一軍」として活躍できるレベルが
必要なのですから、テキストをなぞっていくようなやり方では
限界があると言えるでしょう。

現在のトライアルは、出来合いのテキストを使い、時間をかけて勉強すれば
そのうち突破できるようなものでは無くなっています。

なので、結果に結びつかない学習は早期に軌道修正する必要があります。

ゼロから始めたとしてせいぜい3年、時間のない子育て中の主婦だとしても
4-5年でプロとして稼働できなければ、その勉強方法は
根本から間違っています。

また、正しい努力を一定期間継続してもダメだったら潔く諦める
というのもありです。

レートが低くても構わない、とにかくプロを名乗れればいい、
という発想しかない人は、おそらく遠くない未来にAI翻訳の下請けとして、
安いロボット要員にされるだけでしょう。

そもそも、一流大手には英語ができる社員ははいて捨てる程いますし、また
高性能化した翻訳ソフトを使いこなす社内の人材の登場によって
現在は「外注」されている仕事も「内製化」されてしまい、
外部へ仕事の発注そのものがなくなる状況すら考えられます。

企業は、「キャッシュアウト」を嫌うためです。

それに、ポストエディットやゴミ取り作業を担当する、いわゆる
ポイントチェッカーの仕事では翻訳者としてのモチベ維持も困難です。

加えて、総じて低収入ですから「お小遣いレベル」を卒業することができず
家族に何かトラブルが生じた場合にはサポート力として脆弱です。
最悪の場合、生活の維持ができません。

図解による確認

これまでの話を図解で確認していきましょう。
下図はこれまでの業界を示しています。

トップ層があって、ボトム層がある。真ん中に平均層が存在するという図です。

もちろん、現実はこのような単純構造にはなっていませんが、
話の都合でモデリングして細部は切り捨てて簡略化していますので
この点はご了承ください。

これに起きた変化の一部を付け加えたのが下図です。

従来のトップレベルが上昇し、下位レベルも上昇しています。
また、全体のパイの増大に伴い全体の三角形が破線のように変化します。
平均値が分厚くなっています。

これにさらに修正を加えたのが下図です。

平均値が上昇しています。

新しい平均値(赤の破線)は従来の平均値(赤の細い実線)より上に
スライドしています。翻訳者(志望者も含む)の総数は増えつつ、
平均レベルが上昇し、全体としてハイレベル化していることを示しています。

これにマーケット(ニーズ)の大きさ(パイ)に変化が無いことによる、
市場参入レベルの状況を付け加えたのが下図となります。

2つの紫の実線が上方向にかなりスライドしていることが分かります。

新しいEntry Levelより上の三角形部分(斜面が破線、底辺が緑の実線)
だけが、稼働対象となるプロの特許翻訳者を示しています。

業界のレベルが上がれば、緑の底辺(実線)が上方に平行移動し、
三角形の面積はさらに縮退することになります。

すでにプロとして稼働している翻訳者がトライアルを受け直したときに、
以前よりレベルが上昇しているため、必ずしも合格できるとは言えないのは
このためです。

新しい状況に対応できず、廃業に追い込まれるベテランが
一定数いることもこれに関係していると見ています。

加えて、常に顧客の高まるニーズというプレッシャに晒されている
コーディネータにしてみれば、現在の一軍の中にもリストラしたい人が
一定数存在するはずです。

上側の紫の実線より上のレベルがトライアルで発掘できれば、
使えない一軍をリストラしてフレッシュな新人とスワップしたい
と考えるはずです。

文句なしのトライアル合格レベルとは、このレベルです。

翻訳者を目指す人へのアドバイス

まず、業界の状況は今後、厳しくなることはあってもその逆はないだろう
ということです。それを前提とすると、期限を決めて極限まで努力し
ダメだったら転進することも考えるべきだと思います。

だらだらと5年、10年と「ワナビー」(夢子)を続けるのは人生の浪費です。
一度しか無い人生、たかだか数十年の人生ですから、貴重に使いたいものです。

お花畑スキップを続けてはいけません。

それにお金儲けが目的なら、他のビジネスもあります。
不要品販売、転売、せどり、アフィリエイト、コンサルなどのネットビジネス
も個人でできる時代です。自分の適性にあったものを選べばいいと思います。

もう一つは、英語力を通訳か翻訳か、という狭い世界で使おうとしないで、
もっと視野を広げるべきでしょう。

例えば、IT翻訳にコピーライティングを組み合わせれば
トランスクリエーションという新しい需要を生み出せると思います。

講座では「翻訳力を再解釈してブルーオーシャンを狙え」と言っています。

極限まで努力する、期限を決めて努力する。反対解釈として、
適当で中途半端な努力を延々と続けて人生を浪費してしないで欲しいと思います。

<追記>

本講座ではかって有料で販売していた「ビデオセミナーを300本」の中から
厳選した30本を現在無料でプレゼントしています。
(リクエストはこちらから

これを1か月で集中的に視聴してみてください。
このときの努力を1年半から2年集中投下できれば、
かなりの高確率でプロになれます。

もしこれは無理だ、2~3年でプロとしてやっていけそうもないし、
そんな努力はできそうもないというのなら諦めましょう。
その判断材料としてぜひ「動画30本無料プレゼント」に応募して下さい。
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叶わぬ夢に何時までもしがみついているのは人生の無駄です。
さっさと挑戦してさっさと決断し次のステージへいきましょう。
人生は短いのですから。

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翻訳者になるためのトライアル突破法

翻訳者になるためのトライアルの難しさ

特許翻訳のトライアルに挑戦しよう

追記

受講感想を原文のまま「卒業生の声」として
HPに一部掲載していますのでぜひ読んでみて下さい。

「卒業生の声」はこちらから

より多くの卒業生の声は、
こちらの「資料請求」から入手できる「講座案内」に
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トライアルに挑戦しましたがダメでした。
別のトライアルに挑戦しました。またダメでした。

これを延々と続けてもおそらくプロにはなれません。
なぜダメだったのか、どこをどうすれば良かったのか、
トライアル受験後の分析がどこまでできていますか?
問題はそこです。

次のトライアルに活かせる気づきがあったでしょうか。
気づきを蓄積していくプロセスが確立されているでしょうか。

このプロセス確立がないまま、トライアルの数勝負だけを
延々と続けてもプロへの道は拓けてはきません。
おそらく20-30件ぐらいトライアル受験して
挫折してしまうのではないでしょうか。

トライアルは毎回内容が違います。

初見でどのように挑戦するのか。
内容の違うトライアルにも応用可能な訳出プロセスを確立しておく
必要があります。

この記事では、実際の特許を素材に、初見でどう切り込むのか、
初心者がどのようなアプローチをすれば、ノウハウ蓄積プロセスを
確立できるのか、という観点から、トライアル挑戦プロセスを
シミュレーションしてみたいと思います。

トライアルとして選んだ特許

ここでは、以下の特許(部分)がトライアル課題文として、
出題されたと仮定して、初心者がどのように切り込んでいけばいいのかを
お見せしたいと思います。

いきなり下の解説を読まないで、
まずは自力でやれるところまでやってみてください。

FIELD OF THE INVENTION

This invention relates to optics and, in particular, to an optical system for use in a scanner for processing semiconductor wafers.

BACKGROUND

In certain types of semiconductor wafer fabrication systems, a source of light illuminates a reticle (or mask), and the pattern on the reticle is then focused on the wafer surface to expose a layer of photoresist. In one type of exposure system, the illumination light is a relatively narrow strip of light which is then scanned across the reticle to expose the photoresist on the wafer.

State-of-the-art wafer fabrication systems also incorporate a step-and-repeat exposure system, where a pattern from a reticle is illuminated on only a portion of the wafer surface to expose the photoresist layer.

The wafer is then stepped with respect to the reticle pattern such that, ultimately, the entire wafer is exposed to the reticle pattern. A scanning exposure technique may be used in conjunction with such a step and-repeat type system.

As is well known, the illumination of the reticle in a scanning system must be uniform to obtain an accurate and predictable pattern on the wafer. That is, the light intensity incident on the reticle must ideally be the same at all positions along the reticle, perpendicular to the scanning direction, as well as exhibiting equal energy weighting versus incident angle. Such light characteristics ensure that all areas on the wafer will be identically exposed by the reticle pattern.

Various optical systems have been employed between the light source and the reticle in an attempt to obtain more uniform illumination. Due to non-uniformity in the light output by the light source, such as a laser, it is very difficult to obtain substantially uniform illumination of the reticle.

The present invention is an illumination design for a scanning microlithography system which provides a substantially uniform illumination of the reticle.

トライアルの取り組み方

課題文の出典の有無の調査

まず、Googleを使って、第一文をフレーズ検索してみます。
フレーズ検索とは、” ”のようにダブルクォーテーション「」で
キーワード又は言葉の並びを囲んで検索するものです。

実際にやってみましょう。

“This invention relates to optics and, in particular, to an optical system for use in a scanner for processing semiconductor wafers.”

Google検索の結果が出ました。

20160924-1

このトライアルの出典が、「US5844727」と判明しました。

該当特許からの情報取得

出典が判明したら、そこからできるだけ多くの情報を得るようにします。

まず、出願人が「Cymer, Inc.」、発明者が「William N. Partlo」
であることが分かります。

さらに、タイトルが
「Illumination design for scanning microlithography systems」
となっていること、及び、下図の中にある名称から見て、
リソグラフィー用の光学系であることが分かります。

20160924-2

図から情報を読み取る練習をしてみましょう。

右端にある光源から出た光が、左端にあるレチクルに到達するまでの経路に
レンズが多数配置された光学系に関連する特許であることが分かります。

読みの正しさの確認

自分の読みが正しいかどうかを、本文中の該当箇所で確認してみます。

BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS FIG.

1A is a side view of one embodiment of the illumination system, assuming scanning is in a horizontal direction.

FIG. 1B is a top down view of the illumination system depicted in FIG. 1A.

上記記述から、自力で行った図からの情報の読み取りと、
特許の説明が合致していることが確認できました。

ちなみに、この時点で「リソグラフィー」「レチクル」「光源」「レンズ」
「エキシマレーザー」などのキーワードが理解できない場合、
何のことか全く分からない場合は、半導体関連の書籍を読む必要があります。

入門者向けの定評のある本を1冊読むことです。時間がなければ、
該当箇所(該当項目)だけの拾い読みで済ます場合もありますが、
できるだけ1冊は読み通してください。

これが無いと、問題となっている特許が果たす役割を、
その前後のプロセスとの関係で把握することができなくなり、
とんでも無い誤訳をしてしまう可能性があります。

前田さんの本がオススメです。

これから料理をマスターしようとする人が、
「包丁」「なべ」「フライパン」がどういうものか、どうやって使うのか、
どういう機能を持っているか、が分からない状態であれば、
いきなり調理法を説明されても理解できないのと同じです。

横着しないで、当該分野において定番といえるような書籍は
必ず読むようにしてください。当業者の知識の常識部分は、
翻訳者も共有しておく必要があります。

ちなみに、トライアル課題文中、以下の赤でマークした部分は、
キーワード・キーフレーズです。

どのようなものか、どのような機能を持つのかが即答できないようであれば、
完全な知識不足です。これらを完全理解した後で無ければ、
トライアルの土俵に立つことはできないと考えてください。

FIELD OF THE INVENTION

This invention relates to optics and, in particular, to an optical system for use in a scanner for processing semiconductor wafers.

BACKGROUND

In certain types of semiconductor wafer fabrication systems, a source of light illuminates a reticle (or mask), and the pattern on the reticle is then focused on the wafer surface to expose a layer of photoresist. In one type of exposure system, the illumination light is a relatively narrow strip of light which is then scanned across the reticle to expose the photoresist on the wafer.

State-of-the-art wafer fabrication systems also incorporate a step-and-repeat exposure system, where a pattern from a reticle is illuminated on only a portion of the wafer surface to expose the photoresist layer.

The wafer is then stepped with respect to the reticle pattern such that, ultimately, the entire wafer is exposed to the reticle pattern. A scanning exposure technique may be used in conjunction with such a step and-repeat type system.

As is well known, the illumination of the reticle in a scanning system must be uniform to obtain an accurate and predictable pattern on the wafer. That is, the light intensity incident on the reticle must ideally be the same at all positions along the reticle, perpendicular to the scanning direction, as well as exhibiting equal energy weighting versus incident angle. Such light characteristics ensure that all areas on the wafer will be identically exposed by the reticle pattern.

Various optical systems have been employed between the light source and the reticle in an attempt to obtain more uniform illumination. Due to non-uniformity in the light output by the light source, such as a laser, it is very difficult to obtain substantially uniform illumination of the reticle.

The present invention is an illumination design for a scanning microlithography system which provides a substantially uniform illumination of the reticle.

日本の特許庁のデータベースでの調査

次に、日本の特許庁のデータベースを使って、関連特許の有無をチェックします。

これをやらないで、いきなり翻訳作業を開始する人がいますが、
絶対にやってはいけません。

例えば、トライアルの期限が10日後であれば、
1週間は関連特許・関連記述・キーとなる技術等の調査と理解に費やすべきです。

特許の一部を翻訳する「部分訳」のトライアルであっても、
必ず全文を翻訳してから該当箇所の訳文を提出して下さい。

このやり方をすることで、原文のミスが見つかることもありますし、
通常はこう訳すけれどもこの特許ではこう訳すべき、といった
特殊事情が見えてくることもあります。

特許情報プラットフォームにアクセスしたら、キーワードを選定して
数十件程度(該当特許を2日程度でざっと読める程度の件数)
まで絞り込みます。

20160924-3

この検索条件で、

20160924-4

という結果です。

どの項目に、どのようなキーワードを入れて、
何件ぐらいで検索作業を収束させるかは、
何度もやってみてコツを掴む必要があります。

この作業がいきなりできるものではありませんので、
試行錯誤して身につける必要があります。

ここでは件数が9件ですから、それらすべてを読んで、
トライアルの出典となった特許と似た図面が含まれないかどうかを
調べることができます。

また、出願人が特許で使っている言葉使い等になれるためにも、
できるだけ多くの明細書に目を通したほうが有利です。

対訳の有無を調査

DJSOFTE’Storage2016を使って、
出典に使われた英文特許に日本語訳が存在しないかを調査します。
そうすると、以下の日本語訳が存在することが分かりました。

【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】公表特許公報(A)
【公表番号】特表2001-515268(P2001-515268A)
【公表日】平成13年9月18日(2001.9.18)
【発明の名称】走査式マイクロ・リソグラフィー・システム用の照明設計

では、この公開訳文中から該当箇所をそのまま解答として使っていいのでしょうか?

対訳が存在する場合の注意点

出題者側が、対訳が存在する特許をトライアル課題文の素材として
敢えて使った意図、すなわち「出題意図」を読む必要があります。

初心者は、対訳がないかな?→検索→あった!→やった→このまま使おう
というふうに考えがちですが、過去見てきた類似のケースからみても、
この場合は、出題者が公開訳文に対して「不満」がある場合がほとんどです。

出題者は、あなたがその訳文を「バージョンアップ」できますか?
と問うていることになります。これが出題意図です。

だから、公開訳文から該当箇所をそのまま抜き取って回答した段階で、
速攻NGだと思ってください。

なので、あえて周辺部から攻めて、一見遠回りするような作業を
しているわけです。

訳文から入ると、どうしてもそれに引きずられてしまいます。
誤訳を引きずって訳文を作成すると、
やはり不満足な訳文になってしまう可能性があるのです。

今回はたまたま対訳が存在しました。
しかし、対訳が存在すれば対応できるけれど、
対訳が無い場合には、手も足も出ないということでは困ります。

対訳の有無に関係なく、トライアルに対応できるように、
普段から対応スキームを模索し、確立しておく必要があります。

まとめ

このようにトライアルの出典として使われた特許に対訳が存在する場合には、
より一層慎重な対応が求められます。

当該対訳だけでなく、同一出願人、同一発明者の特許を複数確認して、
用語の選択、言葉の運び等を分析して下さい。

トライアルを受けられる際には、調査・知識獲得8割訳出1割確認1割
ぐらいの時間配分がお勧めですが、対訳の有無に関わりなく対応できるように
様々なアプローチをぜひ用意しておいて下さい。

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化学系特許明細書には、沢山の化合物が登場します。

では、これらの化合物はどのようなルールで命名されているのでしょうか。

こういう疑問が生じると、すぐに命名法の書籍を買って勉強しようとしたり、
命名法のセミナーに参加したりする人がいます。

でも、ちょっと待ってください。

そもそもそういう勉強は本当に必要なのでしょうか?
そこをちゃんと確認しておかないと、必ずしも必要とされない
勉強に時間とお金を無駄遣いすることになります。

命名法の完全マスターは化学系の専門家でもハードルが高いのですから。

今回は、化学系特許明細書を読む際に、最低限どこまで
知っていなければならないのか、命名法のポイントについて
お話したいと思います。

翻訳者が知るべき命名法の3つのルール

まず、命名法には、

① IUPAC(International Union of Pure & Applied Chemistry
  国際純正及び応用化学連合)の規則に基づくもの

② CAS(Chemical Abstract)によるもの

③ 慣用名によるもの、の3通りがあります。

①と②は多少の違いはありますが本質は同じです。

③は、いまだに広く利用されていますので、
これを知らないと古い文献を読むときに困ります。

ちなみに、化学の専門家になるためには、
①~③全てをマスターする必要があります。

IUPAC

IUPACは、わかりやすくて明確な命名を目指しており、
必ずしもある化合物の名称が1つに限定される必要はありません。

つまり、個々の化合物の命名には裁量の余地が残されているのです。
結果、IUPACでは名称と構造とは「多対1」の対応となっています。

CAS

これに対してCASでは、実験的又は理論的に取り上げられた
あらゆる化学種を収録して科学者の検索の用に供するように要請されます。

従って、CASの索引名は、同じ化学種が別名を持たないように規則を作り、
それが厳密に適用されることが期待されます。

そこで、CASにおいては原則として、
名称と構造との対応が、「1対1」となっています。

特許翻訳者にとっての命名法

特許翻訳者が構造式から名称を決定することは、通常求められていません。

従って、最低限押さえておくべきは、
同じ構造式に複数の名称が割り当てられている場合に、
明細書執筆者の注意力不足で、同一化合物の名称が統一されず、
同一明細書内で「ゆらぎ」が生じている可能性があることです。

特許翻訳者は、その場合の対応方法を知っておく必要がありますが、
以下のような方法で対応することができます。

まず、J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
「化学物質の目的別検索」などを利用して、
別名の有無及びCAS登録番号を確認します。

J-GLOBAL

CAS登録番号については、化学情報協会の説明を参考にして下さい

CAS登録番号全般 – 化学情報協会

化学情報協会

CAS 登録番号 (CAS Registry Number: CAS RN) は,
世界的に利用されている、個々の化学物質に固有の識別番号です。

CAS 登録番号自体には化学的な意味はありませんが、
一つの物質あるいは分子構造に様々な体系名・一般名・商品名・慣用名などが
存在する場合にも間違いなく同定 できる手段となっています。

CAS 登録番号は、CAS の作成するすべてのデータベースに
用いられているほか、他の多くの公的・私的データベースや
化学物質規制リスト登録にも利用されています。

このようにして、ある化合物の名称が複数存在し、
それらが明細書内で統一されていない可能性がある場合に、

別名検索の結果とCAS番号を対比させることで、
明細書中の揺らぎが実際生じているのか、それとも、
同一化合物かと思われたものが別化合物(別CAS番号)であったのかを
確認することが可能となります。

また、同様な調査方法を使えば、化合物の一部が文字化け等で読めない場合、
文字化け部分を確定することができる場合もあります。

もちろん、これらの調査結果は、必要に応じて訳文と併せて
コメントとして依頼者に連絡することになります。

命名法誕生の背景と必要性

そもそもなぜこのような命名法が生まれたのかを知っておくことは、
命名法とどのように付き合うべきかを理解する上で重要です。

科学の進展と共に確認された化合物の数が膨大になってくると、
それまで使われてきた慣用名だけでは間に合わなくなることは
容易にご理解いただけると思います。

膨大な数の化合物を命名するための「命名の約束事」(ルール)が
必要となってきたのです。

そして、実験室で合成された化合物が新規物質であるか否かを
命名及びCAS番号検索によって判断することができれば、
研究も効率的に行えます。

加えて、構造の共通性(その構造に基づく特性・物性)をある命名ルールに
紐付けておくことは、専門家同士の議論や思考経済上も有益です。

ソフトウェアを活用して、構造から簡単に化合物名を決定できる時代には、
化学者が独力で複雑な化合物の命名をするニーズも薄れており、
命名できるスキル自体にさほどの価値があるとは思えません。

特許翻訳者が命名法をマスターする必要性

命名法のルールが何に着目しているのかさえ理解しておけば、
明細書を読み解く上での強力な武器になります。

例えば、明細書中に「~類」とあった場合、
その類に対応する化合物の構造上の特徴や特性が想起できれば、
明細書の意図するところをすばやく理解できる可能性があります。

けれども、

特許翻訳者が構造式を見て、ゼロから命名することや、
命名の間違いを指摘したり、その名称の化合物が実在するかどうかを
判断したり、新規物質かどうかを判定するといった作業を
求められることはないのです。

あくまで明細書中の化合物名の「揺らぎ」を疑った際に
CAS番号を使ってその確認をしたり、一部文字化けのものを修正したり
明細書中の化合物のグルーピングを行って構造・特性情報を読み取り、
コンテクストの素早い把握に役立てることができれば十分なのです。

翻訳関係者の話は鵜のみにするな

翻訳関係者や講師などの中には、自分が化学の専門家であることを
アピールするために、命名法の専門書を持ち出したり、
優秀な翻訳者であると言えるためにはそういう専門書をマスターすることが
必要であるかのような説明をしたりすることがあります。

しかし、そういうポジショントークに惑わされてはいけません。

命名法のルールは必要に応じてネットからいくらでも入手できますし、
化学系特許明細書の内容理解のために求められる命名法の知識は
そもそも限定的なのです。

間違っても化学者・研究者になろうとはしないでください。
時間と労力の無駄遣いになります。

まとめ

化学系特許明細書を読むために必要とされる「命名法」の知識は
あくまで限定的なものですので、巷の話に惑わされて
無駄な努力をしないように気をつけて下さい。

特許翻訳者に求められていることは、
命名法についてのルールが複数あることを知ること

同一化合物に複数の名称が対応している可能性と、
CAS登録番号の確認作業が翻訳作業に役立つことを知ること

命名法の大枠と、構造・特性の対応関係の概略を知り
素早く明細書の内容を把握することなのですから。

<追記>

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【勉強・仕事歴】

 

・幼少期の原点

 

生まれて間もない頃からおもちゃや人形より、新聞や電話帳に手が伸び、何時間も眺めて悦に
入る赤ん坊だったと聞いています。その後も何らかの読み物と紙と鉛筆さえあれば幸せで、テ
ーマの硬軟を問わず調べものをしたり、様々な手法(文章、漫画、イラスト、戯曲、音楽、ダ
ンスなど)により、個人あるいはグループで創作・表現をしたりするのが好きでした。また、
生徒会や学生新聞・学生雑誌編集などの課外活動のなかで、自分以外の方々の声を聞き、編集
してかたちにする、媒介者的な役割もよく担っていました。出版・高等教育といった、知的創
造に関わるキャリアの原点は、意外と幼い頃からあったような気もいたします。

 

 

・英語と中国語の基礎 ・英語と中国語の基礎

 

英語に関しては、音声学者の父親の仕事の関係で、幼少期に半年のみ英国で過ごしたり、彼の
同僚や近所の英語話者の方とたまに交流する際に使ったりということはありましたが、あと
は、やはり独学で英語を身に付けた父親の影響で、基本的に自分で勉強していました。ただ、
父親と同じ道を行くのは面白くないと思っていたので、古文漢文が好きだったこともあり、大
学では中国語専攻に進みました。

学生時代はあまり職業的ビジョンがありませんでしたが、ほぼ中国語・英語の習得に熱中して
いたように思います。天安門事件直後だったため中国語専攻は非常に不人気で、同学年は 4 人
だけでした。私以外の同期は中国語の達人ばかりだったので、彼らと同等以上のレベルになろ
うと頑張っていたのを覚えています。やがてある程度学習が進むと楽しくなり、神保町で原書
を漁ったり、中国映画祭に通い詰めたり、中国語話者の方とランゲージ・エクスチェンジをし
たり、中国語の新聞を題材にしたマンツーマンのディスカッションに興じたり、中国語弁論大
会に出たりする一方、当時圧倒的な人気学科だった英文科の方々に交じって英語で提供され
る授業にも参加していました。

 

・新卒で編集者に、その後米国大学教員に転職+出版翻訳をほんの少々

 

職業生活に入ってからは、たんに興味を追求するだけでなく、状況や心境の変化に合わせて、
軌道修正・路線変更を行うプロセスの連続だったと思います。そのせいか、自分のキャリアは、
見方によっては一貫性のない理解不能なものとも言えるかもしれません。スティーブ・ジョブ
ズは、スタンフォード大学でのスピーチで、“You can’t connect the dots looking forward, you
can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow
connect in your future. You have to trust in something: your gut, destiny, life, karma,
whatever.” と述べています。私も、変遷するキャリアの途上で dots をたくさん打ってきたと
思いますが、それらがつながることについてどれほどの確信が自分にあったかはよくわかり
ません。しかし、今振り返ればこうした dots はうっすらつながっていたようにも思えます。
今の自分を知る人は驚くかと思いますが、大学 3 年次での暫定的なキャリアゴールは、中国
語学や中国語教育に関わることでした。教授の勧めもあって中国語と英語を両方生かして、留
学を経て大学院に行く計画で、実際現地の大学にも数か月行っています。ですが、その教授の
突然の死がきっかけで、急きょ滞在を短縮して帰国し、遅ればせながらの就職活動を始めるこ
とになります。

 

その結果たまたま獲得できたのが学術出版社の編集者のポジションでした。小規模の会社だ
ったので、最初から企画・編集・ディレクション・校閲・広報など、書籍づくりのすべてを総
合的に任せて頂き、約 5 年弱の経験を積みました。常に企画を考えつつ、著者の方の開拓や
サポートを行い、上層部や営業・制作の方々と話し合って様々なフェイズで社内的なコンセン
サスを図りつつ、それと矛盾しない形で外注スタッフやブックデザイナー、印刷所・製本所の
方々のご協力を仰ぐなど、日々マルチタスクに追われていました(ちなみに翻訳会社の職務で
言う PM の方のお仕事にも通じる点があるような気がいたします)。

 

そこで初めて仕事として英語に関わることになります。実は翻訳書が初仕事だったのですが、
訳者である大学教授(故人)の翻訳に大量の間違いや問題点を見つけてしまうというヘビーな
体験をします。結果、教授の顔を立てながら、外部の校閲者の方々とチームを組んで、原典と
首っ引きでお手入れを行うかたちで、実質的に翻訳者的な業務を手掛けたのでした。努力の甲
斐あってなんとか出版・売上に貢献し、以来その実績がきっかけで、翻訳書企画や海外の著者
とのやりとりの際には頼りにされるようになりました。だいぶ後でほんの少しお受けするこ
とになる出版翻訳のお仕事の出発点はここにあったかもしれません。

 

ただ、多くの大学教授の方々とお仕事を続けていくなかで次のステップとして当時漠然と志
向したのは、翻訳そのものではなく、自分が英語を本格的に使い、かつ著作や教育にも関われ
る仕事でした。そして、当時言語教育の分野での修士号を働きながら取れる米国大学院のプロ
グラムが複数ありましたので、そのうちのひとつを卒業しました。大学院では英語で英語を教
える教育を理論・実践の両方で学びました。多くの文献を読んで議論するばかりでなく、プレ
ゼンテーションや論文による大量のアウトプットを通してアカデミックリテラシーを鍛え、
かつ Teaching Assistant として学んだことを現場に還元することで、教育者としての基盤づ
くりを徹底して行いました。

 

その後、ある米国大学に転職が決まり、以来、主に海外出身の学部生の方を対象としたリテラ
シー教育の分野で、14 年ほど教鞭を取っております。意外にも、学生さんの知的成長を引き
出すカリキュラム開発やメンタリングを行うプロセスには、大学院での訓練内容だけでなく、
編集者時代に著者の方々のサポートをした経験とも、連続性や親和性がありました。
米国大学教員になりますと、学生の教育はもちろんのこと、学務一切の遂行や、教材・著作物
の作成などは英語で行うのが当たり前ですので、この時点でもあまり翻訳に興味はありませ
んでした。しかしながら、1 日 10 時間以上、土日も含めて大学の教育業務という生活のなか、
ほんの少しだけ出版翻訳を手がけた時期があります。そのうちのひとつが昔からの友人でも
ある編集者から依頼された新書でした。

 

比較的気軽に引き受けたものの、翻訳にあたっては、たった 300 頁ながら出版まで 1 年半の
時間がかかりました。特に内容の根幹に関わるファクトチェックは入念に行う必要がありま
した。疑問がある場合は、原著者の方には事情により直接お伺いはできませんでしたが、自分
の同僚を含め原著者の関係分野の方々にお問い合わせしたり、大量の関連資料を収集したり
しました。さらに、脱稿直前に原著者の方が半分以上大幅に内容を改稿するという不測の事態
が起こり、訳し直しや補足を行うはめにもなりました。幸いにして納期通りに出版され、増刷
が 2 回かかるほど売れたので、結果的によかったのですが、米国大学の世界ではあまり日本
語の翻訳は評価されないので、その後翻訳方面のキャリアを積むことも考えず、ひっそりと一
発屋になっておりました。

 

一方、会社員上がりで遅れてアカデミアに入った身として当時優先しようとしていたのは博
士号の取得です。学位によって待遇が変わる米国大学特有の環境や、将来日本の大学で働く可
能性も考慮してのことです。日本の大学全般においてや、理系分野の研究者トラックのキャリ
アではあまりない例かもしれませんが、米国大学で教育を担当する教員は、教えながら博士号
を取るのが普通で、自分も毎日 10 時間以上働きながら、空き時間で研究をするという生活を
8 年ばかり続けました。

 

自分の研究は、統計などを使わない記述的・探索的な、取るに足らないものです。しかし、仕
事の合間にトータルで数千の論文や関連書籍を読み(最終的に研究に使った文献は数百点程
度です)、研究参加者の方々との関係を構築し、そこから得た 1000 頁以上のデータを分析し、
日々問いを立て直しながら、370 頁強の英語論文にまとめ、目標としていた国際学会で一部を
発表できた経験は、直接お金にこそなりませんでしたが、一つの自信にはなりました(ちなみ
に、定期的な第二外国語試験で中国語を選べたのは救いでした)。

 

 

【講座受講決断への経緯 】

 

・時代の変化とキャリア再構築の模索 ・時代の変化とキャリア再構築の模索

 

通常なら、ここで、本格的にアカデミックキャリアの追求が始まるところです。ところが私の
場合は、博士論文の write-up の段階に入った頃から、次第にアカデミアの外を視野に入れた
キャリアの再構築へと気持ちがシフトし始めていました。ちょうどその頃、レイ・カーツワイ
ルの『シンギュラリティは近い』やリンダ・グラットンの『ライフ・シフト』を読み、指数関
数的な人工知能技術の発展や、人生 100 年時代への突入など、今後現実化する激動の世界に
ついて知り、身震いがとまらなくなっていたのです。同時に高等教育をめぐる諸状況も厳しく
なり、日本の大学への転職は選択肢として考えられなくなりました。加えて、どんな分野でも
×Tech になっていくなか、人文・社会科学の素養の上に、STEM(Science, Technology,
Engineering, and Math)分野の知識やスキルを増強していく必要性を感じていました。

 

幸い今の仕事にはやりがいがあり、恒常的な需要は感じていました。しかし未曾有のペースで
変化が加速・拡大していく時代、そしておそらくはまだ数十年は生きて行かなければいけない
(つまり「逃げ切り」はできない)世代にあっては、目の前の単独の世界や組織に依存する生
活ではいけないのではないか、何か別の仕事の柱を新たに開拓する必要があるのではないか
と考えずにはいられませんでした。そこで米国大学教員として献身しつつ、パラレルで起業す
る方向性を探り出したのでした。

 

正直、博士号取得後 1 年くらいは懊悩の日々が続きました。様々なビジネスを研究したり、
実際多くの文系・理系の起業家の方とお話ししたりして感じたのは、日本を相手にする場合、
大衆的なビジネスのほうが稼げるようになっていることです。海外ではアカデミックとビジ
ネスがリンクしているケースも多いのですが、残念ながら国内ではそうしたケースは稀少で
す。

 

自分の場合、一般企業・アカデミアの両方を経験しつつも、それぞれの領域での実績はぱっと
しませんし、マスカルチャーからは遠く、よく言えば「レガシー」、悪く言えば「オワコン」
の路線と見る向きもあるでしょう。そのうえ Tech にもマーケティングにも強みなしときてい
ますので、今この国でゼロから顧客やビジネスパートナーを獲得するのは至難に思われまし
た。一方、すでに動いている人様の新規ビジネスにお力添えすることも考え、小規模スタート
アップの CEO の方々からサポート的なお仕事(語学を生かしたメディア系やコンテンツアド
バイジングなど)をお受けして少しやってみた時期もありますが、大学の業務との両立が難し
く、また自分のベストの部分が出しづらい感がありました。時間的にも労力的にも、フルタイ
ムで本業を行うなかでの複業は簡単ではないこともわかりました。

 

・翻訳との再会と講座体験 ・翻訳との再会と講座体験

 

懊悩の日々に一点の淡い光明らしきものが差したのはつい最近のことでした。古巣の学術出
版社の後輩社員の方の20年ぶりのお声掛けで、継続して出版翻訳のお仕事をすることになり、
そこで翻訳という仕事を思い出したのでした。大昔の編集者としての実績や、なけなしの出版
翻訳の経験を覚えて頂いていたことに感動を覚えると同時に、分野によってはまだ翻訳とい
うものには需要があるのかもしれないと、少し前向きな気持ちになることができました。ゼロ
イチの起業ではなく、多少なりとも経験のあるクライアントワークから始めるという方向性
も、自分には現実的に思えました。

 

ただし、久しぶりにリーディングや試訳に取り組んでみて改めて気づいたのは、出版翻訳は一
冊一冊が一点ものであるため、時間がかかる割にレバレッジがききにくいことです。そこでも
う少しほかの分野の翻訳についても検討し始めました。特許翻訳、続いて講座について知った
のもこの頃です。

 

匿名の個人の方による講座にベットするのはもちろん勇気のいることではありました。しか
し、10 年前くらいの、まだ管理人様が会社員として副業で翻訳をされていた時期の真摯でハ
イレベルなお仕事の記録や、そのご経験を基礎に開発された、密度の濃い網羅的なビデオ教
材、個人の状況に合わせての development が可能なシステムなど、講座のエッセンスがうか
がえる情報が大量に開示されていたため、自然に不安よりも知的・職業的好奇心が上回る結果
となりました。かつ、受講された先輩方の並々ならぬ努力とご活躍のドキュメントの数々にも
非常に感銘を受けました。そして、管理人様ご本人とじっくりとスカイプでお話しする機会も
頂けて、貴重なアドバイスも賜ることができたので、受講開始への決意が固まりました。

 

自分は期が変わる直前での申し込みを検討しておりましたため、300 本のビデオをご提供頂
いた後は、最初の 1 週間で自分なりに早急に全容を把握する努力をしました。全体の内容か
らいくつかの暫定的なカテゴリーを同定し、それにそってビデオを 35 本ほど拝見しながら、
ノートにメモをとり、場合によってはキャプチャをとりながら関連資料を印刷・ファイリング
していきました。併せて、受講生の方が書かれた著書 2 冊(ご自身の学習に関するケースス
タディや IT 環境整備について)も拝見し、さらに付箋をつけながら『新物理の散歩道』(1)と、
『化学のドレミファ』(1)を読み、今後特に理解を要する領域や興味深いトピック(ほとんど
ですが)をチェックしました。

 

明細書は、特許庁の『知的財産権入門』の様式のチャプターと、P&G 特許ビデオの 4 まで拝
見したあと、まずは一つ自分で通読してみたくなり、P&G 特許の日英語版両方について一気
に textual analysis/annotation を試みました。まず全体の大意や論理構成、セクションやパ
ラグラフごとの意図やそれらにまたがる論旨の流れを把握する global reading を行い、続い
て、すでにかろうじて理解できる知識と補完・拡充すべき知識(もちろん後者が大半です)の
確認や、文脈からわかる概念の上位・下位の階層の把握、レファレンスのチェック、表現面の
チェック、その他の気づいたことをメモするなどの local reading を行いました。さらに英語
のテキストについては Text-To-Speech をかけ、耳で速聴しながら特に化学用語の英語と日本
語とのギャップを意識しながら読むこともしてみました。

 

全体を通して複数回両言語で分析的に読むことで、様々な学問領域・技術領域・ビジネス領域
の交差が表現されている明細書というジャンルに深い関心を寄せるとともに、ますますこれ
から理系分野の知識を積み上げ、肝心の発明の内容を深く理解できるようになりたい、という
モチベーションがあがりました。また。ちょうど STEM に詳しくなりたいと考えているタイ
ミングでもあったことも手伝って、特許翻訳という分野に大きな魅力を感じ、この道で陰なが
らお役に立つ志を新たにいたしました。さらに、今の段階で申し上げるのは恐縮ですが、究極
的には、特許翻訳をアルファかつオメガとしながら、不易流行のバランスのもとに時代を生き
抜くための総合力を涵養したいと思いました。

 

【今後の予定】

 

特許翻訳のプロになるには、一定の時間が確保できないと厳しいと思いましたので、取り急ぎ
担当授業の量を週 2 回に減らすことにしました。当面収入は減ることになりますし、希望す
れば再び授業数を追加することはできますが、今は目先の収入を得ることより時間というリ
ソースへの投入を重視することに決めました。

 

長期的にはいろいろなビジョンが考えられますが、まずは、1年以内に特許翻訳の分野で仕事
が獲得できるように尽力する心づもりです。そして、2 年以内に減らした分の年収が稼げるく
らいになりたいと思います。基本的には、大学の仕事を続けながらの勉強となりますが、管理
人様よりアドバイス頂いたとおり、最初の半年は明細書の大量読破と、物理化学の徹底的な学
習、それと並行してメモリ・用語ベース構築に力点を置き、その後、これらに加えて自力での
翻訳実践や仕事獲得に向けての営業活動も行おうと思っております。

 

ジョブズは前掲のスピーチで、“…[B]elieving that the dots will connect down the road will
give you the confidence to follow your heart, even when it leads you off the well-worn path”
と続けています。この講座を通して、再び dots を次々と打っていくことになりましょうが、
今後はそれらの新しい dots 同士がつながり、かつ今までの dots ともつながっていくという
確信をあえて強くもちたいと思います。そして、これまで以上に the well-worn path を外れ
ようとしている自分を鼓舞しようと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます

 

 

※ 受講するにあたっての決意を記した「個人の感想」です。