特許翻訳者になりたい人が最初に抱く疑問が
コレではないでしょうか?

 

ネット上のどの質問サイトを見ても、
同じ質問が繰り返し登場します。

 

「英語力がどれぐらいあればなれるのでしょうか?」

 

 

そして、その回答の多くが(というよりほとんどすべてが)
「英検」とか「TOEIC」と絡めてのものになっています。

 

英検1級は必要ですね。

TOEICは最低900点欲しいですね。

こういう回答が多いです。

 

そして、こうした回答を受けて多くの人は
まず英語を勉強しようとします。

結果、遠回りになるとも知らずに。

 

 

わたしの主催している講座には、
「英検1級+TOEIC満点(少なくとも900点以上)」
という人がたくさんいます。

 

では、彼らは特許翻訳者になるための登竜門ともいえる
「トライアル」に簡単に突破できるかといえば、
残念なことに、その合格率はほぼゼロパーセントです。

 

英語力を身につけてから、英語力はトップレベルになってから、
特許翻訳の勉強をしようと考えている人は、
遠回りすることになりますから注意してください。

 

では、最短で特許翻訳者になるにはどうすればいいのでしょうか?
今回は、それについてお話したいと思います。

 

 

 

最短で特許翻訳者になるには

 

英語女子の陥るワナ

英語が得意な「英語女子」の多くは、「積み上げ思考」です。

 

翻訳ってやっぱり語学力がポイント、
語学力といえば英検とTOEIC、だから両方とも
トップレベルになるまでがんばってからでないとダメだ、
そういう発想です。

 

まずは英検1級、そしてTOEICは最低でも900点台、
できれば950点以上、本当なら980点は無いとダメだろう、
だからまずは英語力をこのレベルにしてからだ。                   

Portrait of cute girl with open book and looking at camera

 

 

こういう「積み上げ思考」で考えてしまいます。

 

 

翻訳者の知り合いに聞いてみてください。

 

英検1級ならトライアルに一発合格しますか?
TOEIC満点なら、トライアル一発合格しますか?と。

 

おそらく期待したものと違う答えが返ってくるはずです。

 

 

 

逆算思考のススメ

最短で特許翻訳者になるためのポイントは、
積み上げ思考」から「逆算思考」へ頭を切り替えることです。

 

つまり、

 

プロの特許翻訳者になるためには、
「トライアル」と呼ばれる各翻訳会社が課す課題文を
翻訳して提出し、合格点をもらわないとどうやらダメらしい。

 

だとすれば、そのトライアルに合格するには
どうすればいいんだろう・・・

 

と逆算して考えることです。

 

 

thoughtful woman coming up with an idea smiling

 

そのためにまず必要なことは、トライアルに挑戦することです。

 

そもそもトライアルを受験したこともない人が、
勝手な思い込みで行動してはいけません。

 

「英語力を磨けば自然と合格できるはず。プロになれるはず。」
この思い込みが、数年間の浪費を生んでしまうのです。

 

 

最近は、「有料トライアル」というものもあります。

 

ご丁寧に、コメントを付けて返してくれるものがありますので、

それを利用してください。

 

結果は、ほぼ間違いなく不合格でしょう。
いいんですよ、不合格で。

 

大切なのはその後、どういう行動をするかです。

 

その原因を探ってください。

本当に「英語力不足」で不合格となったのでしょうか。
そうではないことに気づくはずです。

 

そこから対策を考えましょう。

何が足りないのかを考えましょう。

man-thinking-3d-render_mjn0zdu_

わたしは講座主催者として数年間、
高い英語力を有する受講生のトライアルを見てきましたが、
英語力が足りなくて不合格になっているケースは一例もありません。

 

英語力としては「オーバースペック」になっている方が
ほとんどなのです。

 

英語力が高いけど「人生が詰んじゃってる」残念な人
にならないでください。

 

 

 

トライアル合格に足りないもの

 

では、何が足りないのでしょうか?

 

多くの場合、内容の理解力が不足しています。

 

何が問われているのか、そもそも何がその文章の主題なのかが
全く把握できていません。

 

辞書を引いて、もっともらしい訳語をあててはいます。

 

が、それはなんとなく意味が通じていそうな日本語にしている
ただそれだけのことです。

 

「タテ」のものを「ヨコ」に、
「ヨコ」のものを「タテ」にしているだけなのです。
これではトライアルを突破できるはずがありません。

 

 

Image of a frustrated or tired young brunette rubbing temples

 

料理には「包丁」という刃物が必要らしい。
だから、すぱすぱよく切れる刃物を手に入れれば
料理人になれるに違いない。

 

わたしの持っている包丁は「電源ケーブル」すらすぱすぱ切れる。
だから一流料理人になれるはず。

 

そんなことを思う人はいませんよね?

 

しかし、英語力さえ身につければ翻訳者になれる
と思っている英語女子はたくさんいます。

 

それってこの料理人志望の素人に似ていませんか?

 

どこか狂ってますよ。

 

 

 

翻訳者として安定的に稼働するには

 

別の誤解

 

ここまで読んだ人は、
「ああそうか。じゃあ、理系知識、専門知識が足りないんだな。」
と思ったかも知れません。

 

違います。

 

もし、専門知識を身につけることが必要なら、
知識量が問題になっているのなら、
どこまでやっても勉強は終わらないことになりませんか?

 

世の中の知識はどんどん増えていきます。

 

もし知識で勝負しようとするのなら、

技術の進歩に伴って、
新しい知識をどんどん補充しなければなりません。

 

しかも、翻訳者は専門家と違い、
ある分野だけを担当すればいいというわけにはいきません。

 

翻訳者として安定的に稼働するためには、
新しい知識にも対応できる力がなければなりません。
では、その力はどうやって身につければいいのでしょうか?

 

 

 

対応力を身につける方法

 

特許明細書がアルファでありオメガです。

 

これから特許翻訳者になろうという人も、
すでに特許翻訳者になっている人も、死ぬまで勉強は続きます。

 

稼ぎながら勉強し、その結果レベルを上げ、
己の競争力を上げ、さらに稼ぎ続けなければなりません。

 

とするなら、「特許明細書」を使って勉強する
「特許明細書」を活用してレベルを上げる
その方法をマスターしなければなりません。

 

 

Learning process, cute children

 

このレベルアップの過程で、中身をどう捉えるかが問題であって、
そこから英語力だけを切り出しても意味は無いのです。

 

多くの学習者には実力アップのプロセスが見えていません。

目的達成のためのプロセスが分析できていません。
だから、何年勉強してもプロになれないのです。

 

 

わたしの講座受講生にも5年、10年、15年と
「お勉強」は続けてきたけど、トライアルにまったく歯が立たない、
その理由が分からないので悩んできたという方が
相当数在籍されています。

 

出口を見て入り口を設定するという「出口戦略」がないまま、
ただただ長年「積み上げ式」の勉強を延々続けてみても、
プロになって稼ぐという目標には到達できません。

 

資格ビジネスや認定ビジネスは、

ビジネスを仕掛ける側の論理で動いています。

 

それを冷静に分析することなく

英語力アップ至上主義で突進し続けると

人生をドブに棄てることになりますから、注意してください。

 

 

 

まとめ

 

まずは、「目標」を設定し、
その目標に到達するために必要なものを抽出して下さい。

 

そして、早い時期に「トライアル」を経験し、
合格に何が足りないのか、その「差」を見つめて下さい。

 

そしてその「差」がわかったら、
その差を、どれぐらいの期間で、どのようにして
どの順番で埋めていくかを考えて下さい。

 

 

最短で特許翻訳者になるためには、
まずは英語力をあげてから「トライアル」と
「積み上げ」ていくのではなく、

 

トライアルに合格するにはどうすればいいのかという
「逆算」で考えることが何より重要なのです。

 

 

<追伸>

 

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この業界では、「英訳ができて翻訳者として一人前」
「文系女子は英語ができるから英訳者を目指すべき」
「和訳できる人は多いが、英訳できる人は少ないから、
英訳者は引っ張りだこ」といった定説というか
都市伝説みたいなものがまことしやかに語られています。

 

しかし、これって本当でしょうか?
それについてちゃんと考えてみたことがありますか?

 

無防備に信じているのではありませんか?
どこかの雑誌が書いているから、
そう思っているのではありませんか?

 

スクールのパンフレットにそう書いているから
そう信じているのではありませんか?

 

誰かがそう言っているから、
業界の有名人がそう言っているからそうなんだろう、
で終わっているとしたら、優秀な翻訳者と評価されるのは
恐らく難しいと思います。

 

今回は、具体的な特許を取り上げて、
こうした「都市伝説」に迫ってみたいと思います。

 

 

ちなみに、今回取り上げるのは以下の特許です。

特許庁の特許情報プラットフォームにアクセスし、
特許・実用新案番号照会に下記公開番号を入力して検索してください。
入手した全文ファイルを印刷し、記事をお読み頂ければと思います。

 

【公開番号】特開平7-211631

【発明の名称】多層レジストパターン形成方法

【出願人】エルジイ・セミコン・カンパニイ・リミテッド

 Method for forming multi-layer resist pattern

 

 

 

特許の概略を理解できるか?

 

今回取り上げたのは、半導体リソグラフィーの特許です。
まず、下記「背景」部分を見てください。

 

 

BACKGROUND OF THE INVENTION

 

The present invention relates to photolithography processes, and more particularly to a method for forming a multi-layer resist pattern capable of achieving improvements in resonance and alignment of a multi-layer resist and preventing a generation of a charge-up effect in an exposure to electron beams.

 

本発明は、写真エッチング工程に関し、
特に多層レジストの解像度と整列度を向上させ、
電子ビーム露光の際、電荷蓄積効果を防止することができる
多層レジストパターン形成方法に関する。

 

 

当業者」とは、特許出願された発明の属する技術分野における
通常の知識を有する者のこですが、
当該分野について
「当業者」と同等レベルの背景知識を有しない特許翻訳者は、
まずこの背景部分を読んでください。

 

そして、そこを読んで「ああ、あれか。」と、
特許の概略が把握できれば問題ありません。

 

しかし、「何を言っているのだろう。」
「何の特許か、さっぱり分からん!」ということであれば、
完全なる知識不足です。

 

いきなり特許分析から始めても歯が立たないと思いますので、
当該分野の知識獲得から始めて下さい。

 

なお、本件については、下記関連書籍がオススメです。

 

 

(関連書籍)

 

 

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はじめての半導体プロセス [ 前田和夫 ]
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半導体プロセスは、現場経験がモノを言います。
特に、前田さんの本は、私が半導体プロセスをはじめて
勉強する際にも参考にさせていただきました。
特許検索のヒントも満載でおススメです。

 

その他、標準技術集(半導体製造装置関連真空・クリーン化技術)内で、
出典/参考資料として引用されている書籍定評があります。

 

 

なお、上記英日ペアにおいて、
英文側の「resonance」(共鳴・共振)は
「resolution」(解像度)の間違いですし、
「surface」は「平面」ではなく「表面」です。

 

さらに、

 

日本語側の「写真エッチング」は「フォトリソグラフィー」
「整列度」は「アラインメント」(位置合わせ精度)
「電荷蓄積効果」は「チャージアップ」(帯電)

 

と、それぞれ修正するのが当業者には理解しやすいと思いますが、
本記事の論点はそこにはありませんのでここでは詳細な説明はしません。
詳しくは、上記書籍でご確認ください。

 

 

まず「背景」を読んでいただいて、
半導体リソグラフィーにおける多層レジストを用いた
パターン形成方法
についての特許だな。

 

多層プロセスにすることで、解像度と位置合わせ精度を向上させ、
チャージアップを防止するんだな、と分かれば問題ありません。

 

 

 

対訳の検討(日本語→英語)

問題は、次の文章です。

 

As the design rule in device design for fabrication of integrated circuits
becomes strict, steps present on surfaces of semiconductor devices serve
as a limitation on pattern formation.

 

集積回路を作成するデザインルール(design rule)が、
きびしくなるにつれ、半導体素子の平面に存在する段差が
パターン形成時の制約原因となる。

 

 

 

英文と日本文を対比してみる

 

訳文は「~につれ」とあります。

その日本語訳を正しいと仮定すると
「as」を「~するにつれて」と訳することになりますが、
だとすると、「As the rule – becomes strict」という
英語表記はおかしくはないでしょうか?

 

この文章をできるだけ生かそうとするのであれば、
「strict」が比較級(stricter, more strict~文法的には、
stricterですが、more strictもかなり使われています)となって、
「As the rule becomes stricter」となるはずですが、

英語の原文にまさか修正を入れるわけにもいきません。

 

このように、日本語と英語をペアで見ることで
公開されている特許であっても、
訳文に「?」が付くものが実は多いことに気が付くはずです。

 

 

ちなみに、「デザインルール」というのは
各デバイスメーカーで異なり、半導体素子のレイヤーごとに
線幅、線間、配線ルールが定められています。

 

一般論として、「デザインルール」という場合、
ゲート長・配線ピッチなどの「寸法」を想定したルール
となっていますので、詳細については、
以下のサイトにある各ドキュメントを参考にしてください。

 

 

 

用語集の作成の元ネタ

 

用語集を作成しようと思ったら、このような文書から収集して下さい。

 

半導体技術ロードマップ専門委員会

http://semicon.jeita.or.jp/STRJ/ITRS/

 

当業者の言葉遣いは、翻訳者や翻訳スクールからではなく、
専門家・学会・業界団体の公開文書等から学ぶのがおススメです。

 

 

 

対訳の検討(英語→日本語)

 

「きびしくなるにつれ」の英訳を依頼された
と想定
して検討してみましょう。

 

 

1stステップ

 

まずは、自分であたりをつけた
「As the design rules become stricter」
でフレーズ検索してみます。

 

検索結果ですが、これを書いている時点で
以下の1件のみがヒットしました。

 

 

Assessing benefits & costs of
vehicle emissions testing in Australia …

 

As the design rules become stricter with time,
vehicles that are sold become less emitting.

 

ヒット数そのものが少なすぎることと、
半導体関連のものがヒットしなかったことから

「As the design rules become stricter」
という英訳に「?」が付くと思われます。

 

 

 

2ndステップ

 

ここでいま一度、落ち着いて考えてみましょう。
そもそもルールが「厳しくなる」とはどういう意味でしょうか?

 

下記の2つの解釈が成り立つと思います。

 

1つは、ルールをクリアするのが「難しい」という意味であり、
もう1つは、ルールの「適用を厳しくする、厳格にする」
という意味です。

 

 

まず、前者の意味だと仮定してみます。

 

従来、例えば線幅1ミクロンを基本に回路が設定されていたとすると、
配線については「1ミクロンルール」なわけです。

 

それが、同じチップサイズの中に、より高密度に回路を集積するため、
回路の線幅を1ミクロンから「0.5ミクロン」に半減させたなら
これは、技術者にとっては新たなハードルであり、
確かに「厳しい」(難しい)と言えます。

 

 

では、「厳しい」の英語は「strict」なのでしょうか?

 

この場合は、ルールの受け手の「主観」が反映されていますので
「strict」では無理があると思われます。

 

 

次に、後者の意味だと仮定してみます。

 

1ミクロンルールだろうが、0.5ミクロンルールだろうが、
適用を「厳格」にするなら「strict」です。

 

逆に、0.5ミクロンルールでもいいし、
場合によっては、1ミクロンでも2ミクロンでも、
現場の技術者が適当に決めればいいというのであれば、
0.5ミクロンというスペック自体は確かに「厳しい」ですが、
ルールの適用基準はいい加減ですから、
「strict」だとは言えないのです。

 

 

もしも「厳しい」という言葉が、
「適用基準が厳格だ」という意味だとすれば、
ここでの「strict」は「be strictly applied」
とでも表現すべきです。

 

実際、「”rule * strictly applied”」でフレーズ検索してみると、
大量の例文がヒットしますので、
これが一般的に使用される表現だと分かります。

 

 

加えて、半導体におけるルールが、
「寸法そのもの」を指すこともあると知っていれば、
「線幅が小さくなることだ」と解釈できますから、
「becomes smaller」「miniaturized」「shrinked」
などで表現することも可能です。

 

 

例えば、以下のような表現が実際に使われています。

 

As the design rule of lithography becomes smaller, accuracy and precision in Critical Dimension (CD) and controllability of
pattern-shape are required in semiconductor production.

 

As the design rule is miniaturized, the device operates
with higher speed and lower power.

 

The yield and device characteristics in LSI have become
more sensitive to their process variation,
as the design rule is more shrinked and larger wafer is used.

 

 

では、この特許を書いた「出願人」の真の意図はどこにあったのか?
と問われると、申し訳ありませんが、本人に聞かない限り
分からないとしか答えられないのです。

 

このように、英日ペアをたった1文見ただけでも、
様々なことを検討する必要があることが
お分かり頂けたのではないかと思います。

 

 

 

出願人の意図を探る

 

半導体プロセスでは、多数の層を積み重ねていくので、
何も対策をしなければ下地の段差の影響が
そのままその上の層に及ぶことになります。

 

レジストを塗布する場合に、このことをあてはめてみると、

塗布したレジスト層の厚みにばらつきが生じることになります。

 

そして、厚みが異なれば、下地までのエッチング時間が異なり、
このエッチング時間のばらつきが横方向の線幅にばらつきを
生むことにもなります。

 

これにより、線幅制御も困難となりますし、
加えてこの段差を吸収させるために厚く塗布したレジストは
縦方向(レジスト厚み方向)での光学系のデフォーカス等による
解像度の低下をもたらします。

 

つまり、段差は、「解像度の低下」及び「線幅制御」の
両方に悪影響を与える
ことになるのです。

 

 

ここで、再度原文を見てみましょう。

 

As the design rule in device design for fabrication of
integrated circuits becomes strict, steps present on surfaces of
semiconductor devices serve as a limitation on pattern formation.

 

 

ここまで見ても、

 

デザインルールがより「シビア(実現困難)」になってしまうことと、
このシビアなデザインルールを「厳格に適用」すること、
つまり、高度な線幅制御を行って誤差を最小限にすること、
という2つの解釈のうち、原文がどちらを意味しているのかは
やはり不明であると思われます。

 

 

結局のところ、この文章で言いたいことは、

 

「半導体がどんどん高精細になると、
回路のサイズがどんどん小さくなるから、
段差のある上にパターン形成することはどんどん難しくなる。
細かい回路が画けないだけでなく、線幅制御も難しくなる」
ということでしょう。

 

原文をいじることができない翻訳者としては、
せいぜい「コメント」をつけて納品し、
あらぬ誤解をされないように保険をかけておくことしか
できませんし、またそれはあなたにとって大切なことだと思います。

 

 

 

内容理解が訳文品質に反映されない場合もある

 

集積回路を作成するデザインルール(design rule)が、
きびしくなるにつれ、半導体素子の平面に存在する段差が
パターン形成時の制約原因となる。

 

 

この日本語訳文作成時に、翻訳者がどこまで読み取っているかは
不明ですが、結果として、この和訳に関しては、

 

何らかのコメントを付けて納品しない限り、
納品先の評価者には、適当に翻訳した納品物と、
色々な検討を行った上で翻訳した納品物が同じであることから、
「訳質の差」を認めてもらえないことになってしまいます。

 

しかし、だからといって文字面だけ見て、
言葉の置き換えだけやっていては、
何時まで経っても実力は向上することはないのです。

 

 

 

英訳の品質向上には内容理解が必須

 

本件和訳では、慎重に検討したケースと適当に置き換えたケースで、
訳質に大差ない結果となりましたが、
訳質に大差が生まれる場合もあります。

 

それは、英訳の場合です。

 

英訳の場合、翻訳者の内容理解の程度によって
選択すべき「動詞」や「構文」が大きく変化する可能性があります。
すなわち、自由裁量が増える分、実力差が出やすいのです。

 

 

英語が得意な文系女子が英訳を好むのは、
仕上がりの英文がクライアントにけちを付けられにくいから
という話を聞いたことがあります。

 

クライアントのレビュー担当者は英文読解が苦手だから、
英文のチェックが日本語に比べて甘いから、というわけです。

 

しかし、そこに甘えて英訳を続けていると、ある日突然、
契約を打ち切られる可能性があります。

 

 

事実、英訳ではクレームがほとんどないベテラン英訳者が、
和訳の案件を担当したとたんにクレームを受けるというのは、
クライアントが日本語ネイティブであるために誤訳を指摘されやすい
ということが影響している可能性があります。

 

ある外資系特許翻訳事務所の社長(英語ネイティブ)に
この話をしたところ、

 

「日本人の英訳は、米国特許庁の審査官からみて
一般的に品質に問題あると思われている。

 

ただ、審査官が移民の場合、英文ではなく図面をヒントにして
内容把握していることもあるから、よほど酷いもの以外は
スルーしてしまって、問題になりにくいのではないか。」
とのことでした。

 

真偽の程はともかく、和訳も英訳も、
正しい内容の理解がなければ意味がありません。

 

 

トップレベルの翻訳者になるためには、
下記の能力が必要になると思いますが、

 

能力

英訳が得意だという英語女子は、

おそらく「③の力」は優れているのでしょうが、

その力が発揮されるのは、その基礎となるべき「①②の力」
すなわち、内容を伴った日本語の正確な理解があってこそ
だと思います。

 

ですから、

 

英語が得意だから「英訳」と単純に考えるのではなく、
本当に訳質に問題がないのか、内容をどこまで正確に理解しているのか
を意識して明細書を読む訓練をお勧めします。

 

 

 

まとめ

 

和訳も英訳も、内容の正確な理解力がなければならない
という点では何ら変わりありません。

 

英語ができるから「英訳者」・・というような安易な考えは
通用しないということは、ぜひ心に留めておいて下さい。

 

 

<追伸>

 

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翻訳者になるために必要な英語力は「英検1級、TOEIC900 点以上」

とよく世間で言われていると思いますが、これって本当でしょうか?

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