■背景

 

2015年3月受講開始

文系女性、元産業翻訳者(主にIT系Web記事、マーケティング資料

 

 

■応募状況と結果

 

エントリ   :7社(2015年7~8月に3社、2015年12月~2016年1月に4社)

トライアル受験:5社

トライアル合格:4社(3社と取引。1社をメインに月2~3件、月算約2~4万ワード)

不合格    :1社

書類審査落ち :2社

 

 

 

■講座受講までの経緯

 

【2011年頃、ブログと出会う。「特許翻訳から始めよう」って、どういうこと?】

 

IT系翻訳は、案件自体は多いため仕事が途切れることはありません。
ですが、短納期への対応が避けられない、ドキュメントの性質上、
内容に深みがないといった理由から、仕事に魅力を感じなくなっていました。

 

そんなとき、「特許翻訳から始めよう」と冠した管理人さんのブログに辿り着きました。

 

それ以前に、特許翻訳のムック本を購入して読んだことがありました。
現役特許翻訳者として紹介されているのは、米国企業の知財経験者や
元特許事務所勤務の方ばかり。全体的に敷居の高い紙面づくりで、
「やっぱり文系じゃ無理な世界なのか」という印象を抱いたことを覚えています。

 

(昨年、この本の新しい版が何年かぶりで発売されたのですが、
巻頭インタビューに文系主婦の方が登場していて、編集方針の転換に
ちょっとびっくりしました)

 

このように、当時、巷では「特許翻訳は医薬翻訳とならぶハイエンドな翻訳分野」
と提唱されることが多かったにもかかわらず、
「なぜ、あえて特許翻訳『から』なのか」と、まず、その逆説的なタイトルに
惹かれました。特許翻訳はゴールではなく、その先がある。
それは、いったい何だろう。その発想の斬新さに、興味を抱きました。

 

 

【配信スタートしたメルマガを購読。「文系はダメ」という思い込みにさようなら】

 

テキスト講座もすでに開講されていましたが、メルマガの理解にも苦労し、
なかなか消化できないレベルだったため、現状、これのみでプロになるのは
難しいと直感し、このときは受講を見送りました。

 

(受講開始後、テキストを見ることになりましたが、
これだけでプロになられた方は相当のリテラシーをお持ちだと実感しました。
かなりの努力と自己解決能力が要求されただろうと思います。
ビデオセミナーではその部分を補うため、相当量のコンテンツが用意されています)

 

高校時代は、物理も化学も生物もひたすら授業がつまらなくて
特に物理は欠点「しか」取ったことがありません(よく、卒業できたものです)。

 

そんなわたしでしたが、科学者が語る哲学的な話が好きで、
この人達が語る科学的な話も理解できたらどんなにいいだろうと、
恐れ多くも密かに思っていました。

 

しかし、とにかく数学に対する苦手意識が強かったこともあり、
自分は一生、理系とは縁がないと決めつけていました。

 

 

ブログで紹介されていた『化学のドレミファ』や『物理の散歩道』は、
そんな既成概念の呪縛を少しだけ解いてくれました。

 

明細書を読みこなすには程遠いレベルでしたが、
「科学の本質は、誰でも理解できるものだ」という認識が初めて生まれました。

 

 

 

【2012年頃、ビデオメルマガの配信開始。直感が確信に変わる】

 

無料のビデオメルマガを視聴できたのは幸運だったと思います
(1~200号付近までに相当)。

 

ビデオを見た時点で、もう受講は決意していました。
翻訳プロセスが非常にロジカルで応用性が高いだけでなく、
管理人さんの主張は根幹にブレがなく、矛盾がありませんでした。

 

何より、科学的事象をイメージしやすい喩えで説明してくださるので、
科学音痴のわたしでも、すっと理解することができました。

 

「これなら、自分もプロになれる」と確信しましたが、
残念ながら受講開始には至りません。当時のわたしは、数年前から持病による
体調不良に悩まされていて、翌年に手術することになっていたからです。

 

手術後、どの程度、体力が回復するか、翻訳の仕事自体も果たして
続けられるのか、不透明な状況だったので、ここは涙を飲んで諦めました。
(諦めてばっかりですが…)

 

 

【2013年、休養からの復帰。学べる喜びを実感】

 

手術は大成功で、以前より身体は楽になりました。しかし、さすがに術後は
心身ともに気力がわかず、2か月くらい、ぼーっと暮らしました。
家事などはこなせましたし、好きな多読や映画鑑賞もしていましたが、
長時間の座業に耐える集中力がありませんでした。

 

こんな状況でも、再び勉強に戻れたのは手元に未視聴のビデオセミナーが
あったおかげです。すぐに講座は始められなくても、とりあえず、
ビデオセミナーだけでも見よう、見るだけならできる。
そう思って、そろりそろりと取り組むうち、いつしか勉強時間も増えていきました。

 

特に、ビデオで登場した分析装置に面白さを感じ、メーカーのページを
探索しまくりました。電気、機械、化学を横断する分野なので、
あまりできる人がいなくて差別化になるかも、という淡いビジョンが
多少はありましたが、それよりむしろ「新しいおもちゃを知った子ども」
に近い感覚だったように思います。

 

 

【2014年、産業翻訳に復帰。今、持っている武器で稼ぐ】

 

そうこうしているうちに、机に向かうことも苦にならなくなったので、
産業翻訳のトライアルを受けてみることにしました。
「え?!まだ、受講を先延ばしにするの?」と思われたかもしれません。
(我ながら、しぶといです)

 

未消化のビデオセミナーが残っていたというのもありますが、
その頃の自分はまだ「プラトー状態にいる」という認識があり、
このレベルは独学でクリアしておきたい、そしてブレークポイントを
むかえる手前の一番急な坂の部分で講座の力を借りようと思ったからです。

 

当然ながら、到底わたしひとりでこんなことを思いつくわけはなく、
管理人さんの成長曲線のお話を何度か伺ううちに考えついたことです。

 

 

もうひとつには、これまでの翻訳実績から、いきなり化学系特許翻訳者
というのは、あまりに唐突すぎて説得力がない気がして、
特許翻訳用のCVを書くときに少しでもアピールできるものを、
今できる範囲で作っておこうと思ったからです。

 

結果的に、分析装置案件の翻訳者を募集している会社にいくつか応募し、合格。
講座受講中も、ずっとその仕事をしていました

 

 

念のために申し上げますと、わたしの場合、病気という環境上の問題に加え、
大抵のことは人より時間がかかる性分であることからこのような選択をしました。
したがって、この方法を他の方にお勧めするものではありません。
事情が許せば、少しでも早く始められるほうが有利なのは確かです。

 

 

【2015年2月申し込み、3月正式に受講開始。あとは、走るだけ】

 

ビデオの内容も理解できるようになり、仕事にも慣れて講座の勉強に
時間を充当できる目処がついたので、受講を開始しました。

 

ご縁ができてから実際に講座を開始するまで3年半ぐらいかかりましたが、
先に述べたように、受講する決断自体は半年後ぐらいです。

 

以上、受講に至るまでの話が長くなりましたが、振り返ると、
自分にとってはこの時期も含めて「受講期間」だったと思えるので、
この機会に書かせていただきました。

 

 

 

■ 受講開始後

 

■トライアル合格まで(2015年3月~8月)

 

受講前に、どのシリーズのビデオをどの順番でいつまでに見て、
トライアルをいつ受験するかだいたい決めていたので、
そのスケジュールに沿って、ただやるだけでした。

 

早朝から午後1時くらいまで仕事をし、昼食と集中家事タイムを挟んで、
夕方までの3~4時間は講座の勉強。仕事に余裕があるときは、
夜も勉強に充てました。

 

わたしはもともと、マメに記録をつけるタイプではありません。

 

過去、さまざまなアプリでライフログを取ろうとしたこともありましたが、
全部挫折しました。けれど、講座受講にあたって、心を入れ替え、
きっちりタイマーアプリで勉強時間のログを残しました。

 

これは、自分の体感と実際の勉強時間の差を見る上で効果的でした。
やったつもりでも、思ったほどやれていないことを認識できました。

 

 

 

ビデオセミナーは分野別にエクセルシートを作り、消化したものをチェックし、
進捗率も管理しました。最近は未視聴のものが減ってきたこともあって、
もうこの記録はつけていませんが、初期の頃は効果的だったと思います。

 

物理と化学は、実際の仕事で必要性を痛感していたので、真っ先に着手。

 

自力で教科書を読んでいたときは、概念同士のつながりを意識していなかったため、
個々の現象が実際の技術に応用されたときの効果をイメージできなかったのですが、
講座では明細書と関連付けながら、大学レベルの深さまで理解できるように
誘導されています。

 

このときの鍛錬を通じて、基礎的な科学的概念をベースに、
発明を構成している要素を読み解いていく方法を学びました。

 

 

明細書シリーズでも、明細書に立ち向かうにあたっての打ち手
数多く披露されるので、これまでの仕事や勉強で解決できなかった問題を
改善していくことができました。

 

この時期は、それが嬉しくて、毎日の配信を楽しみにするうち、
どんどん消化してしまった感じです。思えば、この頃がいちばん楽だった
かもしれません。何も迷うことなく、淡々とやれた時期でした。

 

 

ビデオはわたしが受講開始した頃で、既に900号ぐらい発行されていました。

 

これから受講される方は、ちょうど1000号近辺に講座の目指すもの、
各シリーズの位置づけ、翻訳業の基本作法についてまとめられていますので、
最初にご覧になると全体像がつかみやすいのではないかと思います。
(「~シリーズについて」「翻訳ガイド」「一流の翻訳者になるためのヒント集」など)

 

 

最初の4か月で、見たいと思っていた明細書シリーズが終わったので、
トライアルシリーズに着手。合わせて、CVの作成や応募する会社の絞り込みを
始めました。8月に2社に合格し、仕事もいただけたので、
トライアル受験はひとまずストップし、再びビデオでの勉強を続けました。

 

 

■仕事を開始してから(2015年9月~12月)

 

トライアル合格は嬉しくもありましたが、本音をいうと単価を見て、
少々がっかりしました。産業翻訳より低かったからです。

 

法外に安くもないが、もう一声欲しいと思いました。けれど、
受注し始めの頃の自分の仕事ぶりを、今振り返ってみると、
これは妥当な額だったと思います。(その後、1社は単価アップしていただけました)

 

 

産業翻訳から特許翻訳への移行で、いちばん苦労したのは言葉の選択です。

 

特許翻訳と産業翻訳とでは、要求されるアウトプットが異なるので、
訳文が甘くならないように気を配りました。最初は、ここに悩む時間が長く、
スピードが上がりませんでした。

 

案件をこなすうち、言葉の厳密な定義や法的視点にもっとこだわる必要がある
と感じ、後回しになっていた民法案内のビデオを見始めました。

 

ビデオでは、法的な思想が明細書の構造にどう反映されているか、
コアとなる部分が抽出して説明されています。

 

まだまだ勉強の途中ではあるのですが、法律家のモノの考え方を知ることができ、
訳語を決めるときの方向性は多少つかめたように思います。

 

 

化学に関しては、ビデオを見ても以前よりフックがかかる部分が
圧倒的に増えました。が、その反面、一気に視野が開けて、
「やりたいこと」と「できること」の落差が激しく、しんどい時期でした。

 

仕事をこなすたび、やることが増えていく、自分の穴が見える。
初めて心理的な焦りを感じました。

 

初見の段階で、ノートの作り方が甘かったことを反省し、
漠然とした理解にとどまっている部分を埋めることにしました

 

 

■レベルアップの模索(2016年1月~3月)

 

1か月ほどかけて、専門とする分野の総ざらい的な復習をしたところ、
その分野に関しては、ひとまず頭の中のビッグバン状態は収束しました。

 

抽象的な表現で申し訳ないのですが、これまで平面上に散らかっていたものが、
多層的に組み替えられ、収納スペースが増えたような感覚です。
量と質のバランスを見極められるようになったのも、この頃でした。

 

自分なりに基礎をクリアし、自信を持って「専門」と呼べる分野もできたので、
取引先を増やすべく、トライアルを再開しました。

 

2社から新たに合格通知をいただきましたが、
メインと呼べるお付き合いに至るか、現時点ではわかりません。

 

 

仕事はいちばん自分を成長させてくれます。勉強は先送りできても、
仕事は待ったなしです。案件の中で遭遇したことは、可能な限り、
周辺部分も含めて、その場で理解しておく。

 

「後々、時間ができればやろう」なんて思っていたら、
「時間ができる日」は永久にやってこないのだと痛感しました

大変なのは確かですが、この状態は自分を推し進める強力なエンジンになると思います。

 

 

 

■受講中の方へ

 

私の場合、受講開始からトライアル合格までの所要時間は約1000時間でした。
受講以前の独学期間を入れても1500時間くらいの密度だと思います。

 

したがって、1日に10時間ぐらい投入できる方なら、
「半年以内でプロデビュー」というのは決して無理な数字ではありません。

 

それぞれのご事情に合わせて、ゆっくりと基礎的な実力を付けつつ立ち上げるか、
いきなり実践レベルにダイブしてそこで揉まれながら成長していくかを
判断されるとよいと思います。わたしは自分の性格、体力、
将来的なビジョンを考慮して前者を選択しました。

 

ただ、トライアルのフェーズだけは逡巡せず、一気にやるほうがいい
と感じています。

 

ビデオでもお話されていますが、この第一関門をどう突破するかは大切です。
できれば「トライアル合格」を目標とせず、その先のジョブを視野に入れて
準備
されると、受注に繋がりやすいように思います。

 

 

 

■受講検討中の方へ

 

現在、300号までのビデオがプレゼントされていますが、
あくまでそれは「さわり」だとお考えください。

 

わたしは無料時代のビデオを相当聞き込んで自習してきた経験があるので
言えるのですが、そこではまだ、講座の本質的な部分は語られていません。

 

差別化できる特許翻訳者となるには、根本的な発想の転換が必要です。
それに気づいている人はあまりいませんし、そこへ到達する鍛錬法を
教えてくれる講座はまずないと思います。

 

 

わたし自身、産業翻訳者として翻訳業界に身をおく立場にありましたが、
以前は閉塞感にとらわれることがしばしばでした。

 

自分の持てるものに自信が持てず、成長の可能性が感じられませんでした。
それは、既に決められたフィールドやルールに自分を当てはめようとしていたからです。

 

 

この講座を通じて、知識は重層的なものであり、分野ごとの縦割りは
無意味であることや、特許翻訳を通じて幅広い知見を持てるようになることを
知りました。

 

新しい分野(「翻訳」にとどまらず)を開拓していくための鍛錬法を知ることで、
興味さえあれば、多様に展開していける自信がついたことは大きな財産です。

 

 

現在、講座を始められない理由がある方もおられると思います。
わたし自身がそういう時期を過ごしたので、
勉強できる環境の有り難みは実感しています

 

今、似た立場におられる方がいらしたら、どうか、マイナスをゼロに、
ゼロを1にするための、小さな何かを始めてみてください。
ほんの小さなことでいいので。

 

 

 

■さいごに

 

最後になりましたが、この講座を主催してくださった管理人さんに
お礼を申し上げます。一時は、もう翻訳はやめようと思っていた時期もありました。

 

管理人さんの情熱的な講義によって、「もっと知りたい」という欲求が生まれ、
再び、「やってみたい。やろう。」という闘志を呼び覚ますことができました。
今後も一つずつ階段を登り、成長した姿をご報告できるように精進します。

 

そして、わたしにとって物理・化学のビデオから得たものは
とりわけ大きな自信の糧となりました。このシリーズの配信を提案してくださった
G様に、この場をかりて厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

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