特許翻訳トライアルの新潮流

ここ1~2年、

 

「トライアル応募しても書類審査ではねられてしまう」
「トライアルが難しくなった気がする」
という声が聞かれます。

 

何が起きているのでしょうか。

分析してみたいと思います。

 

 

 

成熟した業界で必然的に起こる変化

 

未成熟期

特許翻訳という職業が今ほど認知されていなかったころは、
特許翻訳者という職業自体が珍しく、特許翻訳というマーケットが
形成されていない、あるいは、あったとしても小さく、
今のようなスクールも成り立たなかったため、
スキル獲得手段の多くは、先輩からのOJTに依存していたはずです。

 

現在、大手のスクール経営者に顔見知りが多いのは、
そのことを裏付けるものでしょう。

 

彼らは、業界がまだ未成熟期にあった頃、試行錯誤しながら経験を積み上げて

指導する側に回ったと考えられます。

 

 

成熟期

時が経過し、翻訳業界が成熟し、それなりにノウハウ・テクニックが蓄積され、
それらがマニュアル化され、スクールビジネスを通じて組織的に
翻訳志望者へと広まったことで何が起きたのでしょうか。

 

裾野が広がったスポーツやビジネスでも同じように、
特許翻訳者の集団における「底辺層の底上げ」並びに、それに伴う
必然的な「全体レベルの上昇」です。

 

 

 

 

この時、マーケット全体が拡大し、全員の受け皿が準備できていれば
問題ないのですが、企業の特許出願数の頭打ち傾向や出願する
特許の厳選・選別という状況が生じればそうはなりません。

 

では、どうなるでしょうか?

 

業界全体で必要とする特許翻訳者数は横ばいかむしろ減少してしまい、
新規参入のための閾値すなわち「トライアルのレベル」は必然的に
「上昇」することになります。

 

加えて、

 

過当競争により依頼側の「要求水準の上昇」と「レート低下」をもたらし、
従来の平均以下レベルの翻訳者の仕事は、翻訳精度の上がった機械翻訳ソフト
あるいは、近時流行のAI翻訳ソフトによって代替されていく方向であろうことは
容易に推察できます。

 

 

 

トライアル受験者が経験したこと

 

トライアル受験をした人の多くが、以下のような経験をするようになったのは、
上記のような業界の変化が背景にあると考えられます。

 

すなわち、

 

(1)時間制限付・日数制限付トライアルが登場してきた
(2)どこがダメだったのかはっきりしないが不合格となるケースが増えた
(3)トライアルに何度挑戦しても突破できない
(4)すでにプロとして食べている人がトライアルに合格できなくなった
(5)書類審査で落ちるケースが増えてきたなど、

 

 

 

 

  • 一言でいえば、「トライアルが難しくなっている」ということです。
    この理由について、以下で深掘りしてみることにしましょう。

 

 

 

新規参入者が知っておくべき新潮流

 

時間制限・日数制限付トライアルの登場

以前のように「出来たら送ってください」という時間制限のないトライアルは
確実に減少しています。

 

逆に、そちらの都合に合わせて課題文の訳文を何時送ってもらっても構いません

という一見するとやる気のないトライアルは、さほど新規参入者のニーズが
高くない状況とも考えられます。

 

この背景にあるのは、

 

「マーケットの停滞」と「新規参入の増加」が人出不足感を解消させ、
「現有のレギュラー陣と交代させられる程度のレベルなら欲しいが、
とりあえず登録だけしておいてひょっとしたら依頼するかも知れない人に
合格を出す必要はない」という会社が増えたためではないかと思います。

 

翻訳雑誌などでも「優秀な特許翻訳者は常に不足しています」
というのがコレですね。

 

 

 

 

「優秀なら」つまり、現有のレギュラー陣=1軍と代替可能なレベルなら
欲しいが、そうでないなら、専門分野が特殊とか何か理由がない限り、
急いで採用するまでのことはない、というわけです

 

野球でいえば、イチローやダルビッシュクラスなら何人いても困らないよ、
という至極当たり前のことを言っているだけであり、特許翻訳志望者が
この部分だけ見て、特許翻訳者が不足しているから業界参入の大チャンスだ
と考えると大やけどをしてしまいますよということです。

 

 

採用する側から考えればすぐに分かりますが、
そもそも登録者だけを増やしても管理コストだけ増えて何のメリットもありません。

 

加えて、レギュラー陣でとりあえず目先の仕事が回っているのであれば、
それ以上にトライアルを実施して人を増やす必要がそもそもないのです。

 

どうしても追加で必要なときだけ少数の優秀な翻訳者を合格させればよいのであって、
普段から登録者を増やして実ジョブに慣れさせる訓練をしておく必要もなくなった
とみるべきでしょう。

 

 

また、引き受ける仕事の「レートが低下している」傾向の中では、
いきなり実戦投入できない初心者を長い時間とコストをかけてまで
育てる余裕がなくなっていることも考えられます。

 

 

 

 

これは特許翻訳業界に限定された話ではなく、ビジネス全般に言えます。

 

一流大手に入社した新入社員でも、昔なら3年ぐらいで一人前になってくれよと

言っていたのが、1年になり、半年になり、3か月になり...
最近では、入社後1か月で実戦(プロジェクト)に戦力投入される
というケースもあるようです。

 

そして、プロジェクトの現場に放り込んで、そこからなんとか
自己成長できる人だけ残し、そうじゃない人はばっさりリストラする
という会社もあるようです。

 

即戦力で、教育の手間がかからず、仕事を依頼する側からすれば
打てば響く(気持ちよく使える)優秀な人材なら欲しいが、
そうでなければ相手にする必要はない、というのがビジネスの流れです。

 

それぐらいビジネスの現場は厳しくなっているわけですから、
こうしたソークラ(ソースクライアント)から見て下流=「下請け」
に過ぎない企業に余裕などあるわけがありません。

 

即戦力以外は不要、というのはどの業種、どの段階でも
ディファクトとなりつつある考えです。

 

 

 

書類審査のハードルの上昇

「書類審査のハードルが上がった」ことも、上記の点から考えれば
容易に説明がつきます。

 

育てる必要のない優秀な人は、メールの文面や添付ファイルにある文章を
見ていれば、おおよそ選別できるものです。

 

トライアル応募に対してトライアル課題文を送る必要もないだろう
という判断をされてしまう人も増えてくるのが自然な流れです。

 

 

 

 

初心者は気づいていないかも知れませんが、メールでのやりとりや
応募要項に対応したCV作成能力によって、同時に翻訳力を含む翻訳者としての
総合力もおおよそアタリを付けることができるものなのです。

 

まして、年間何百~何千通という応募メール、CVを見ているコーディネータ、

その結果として使えたかどうかを相関関係のデータベースとして頭の中に持つ

経験豊かな翻訳コーディネータであれば、
この見切りはさほど難しいことではないでしょう。

 

 

 

スクールと異なる判定基準の不明確さ

加えて、「トライアル不合格の理由が分からない」のであれば、
対策しようがありません。

 

数打ちゃ当たるだろうとばかりに沢山のトライアルを受けていこう
とする人も出てきますが、明確なトラップ(罠)が仕掛けられているだけでなく、
全体として訳文の硬さや、調査の浅さなど「総合判定」を判定項目に持ち出されると、
パッチワークのような勉強をいくら続けても、その後トライアルに
落ち続けることになります。

 

 

 

トライアル権にすがるべきでない理由

 

このような状況下にあってなお、翻訳スクールがインセンティブとして付けている
「トライアルを受験できる権利」なるものにすがる人が、少なからず
いることに驚きます。

 

翻訳スクールの中には、そのスクールの運営母体である翻訳会社の
「トライアルを受験できる権利」をオマケにしているところもあるようですが、
もし、そのトライアルに落ちた場合にどうするつもりなのでしょうか。

 

 

 

 

また同権利が付いた類似のスクールに入り直すつもりなのでしょうか。
最悪、同じスクールの同じコースを複数回受講することになりそうですが、
それが解決策になりますか?

 

そもそもプロとして安定稼働するためには、契約会社を1社のみに限定するのは
非常に危険です。時期により依頼案件数が変動しますし、
ソークラが別の翻訳会社に契約を切り換えた場合、
その専門分野の依頼そのものが無くなってしまいます。

 

プロとしてはこのような場合に備え、リスクヘッジとして常時2~3社との
取引が必要で、それが専業の翻訳者として生活を維持するための前提となります。

 

 

 

 

とすれば、トライアルは複数合格しておいて、その中から各種条件と
案件・担当者との相性等を考えて最終的に2~3社と契約するという
流れになるはずです。

 

そして、このような状態にするためには、
翻訳スクールが提示する「トライアル受験の権利」にすがるのではなく、

任意の会社に自由に応募してもかなりの確率でトライアル合格できる実力
(真の翻訳力)の獲得に精力を傾けることが重要と考えます。

 

ましてや、「トライアル受験の権利付」のスクールに入っても、
最終的にトライアル合格できずにチェッカーとしてずっと安く使われたり、
別の講座(英検1級コース、TOEIC高得点コースなどが定番のようですが)
へ誘導されたりして、時間とお金を効率的に投入できていない状況は、
プロの特許翻訳者になり安定稼働するという当初の目的からみて、
本末転倒をいわざるを得ません。

 

 

 

結果に結びつかない学習はやめよう

 

翻訳者のスキルとしては、一般に英語力、専門知識、日本語力、調査能力
などに加えて、ビジネスセンス(営業力などを含む)も必要となりますが、
これらを個別に鍛えていても、時間制限付のトライアルを突破することは困難です。

 

トライアルに挑戦する段階で、一軍として活躍できるレベルが必要なのですから、
テキストをなぞっていくようなやり方では限界があると言えるでしょう。

 

 

 

 

現在のトライアルは、出来合いのテキストを使い、時間をかけて勉強すれば
そのうち突破できるようなものでは無くなっています。

 

なので、結果に結びつかない学習は早期に軌道修正する必要があります。

 

ゼロから始めたとしてせいぜい3年、時間のない子育て中の主婦だとしても
4-5年でプロとして稼働できなければその勉強方法は根本から間違っています。

また、正しい努力を一定期間継続してもダメだったら潔く諦めるというのもありです。

 

レートが低くても構わない、とにかくプロを名乗れればいい、
という発想しかない人は、おそらく遠くない未来にAI翻訳の下請けとして、
安いロボット要員にされるだけでしょう。

 

 

 

 

そもそも、一流大手には英語ができる社員ははいて捨てる程いますし、また
高性能化した翻訳ソフトを使いこなす社内の人材によって
現在は外注されている仕事も内製化されてしまい、
外部へ仕事の発注そのものがなくなる状況すら考えられます。

 

企業は、「キャッシュアウト」を嫌うためです。

 

それに、ポストエディットやゴミ取り作業を担当する、いわゆる
ポイントチェッカーの仕事では翻訳者としてのモチベ維持も困難です。

 

加えて、総じて低収入ですから「お小遣いレベル」を卒業することができず、

家族に何かトラブルが生じた場合にはサポート力として脆弱です。

最悪の場合、生活の維持ができません。

 

 

 

図解による確認

 

これまでの話を図解で確認していきましょう。
下図はこれまでの業界を示しています。

 

トップ層があって、ボトム層がある。真ん中に平均層が存在するという図です。

もちろん、現実はこのような単純構造にはなっていませんが、
話の都合でモデリングして細部は切り捨てて簡略化していますので
この点はご了承ください。

 

 

 

 

これに起きた変化の一部を付け加えたのが下図です。

 

従来のトップレベルが上昇し、下位レベルも上昇しています。
また、全体のパイの増大に伴い全体の三角形が破線のように変化します。
平均値が分厚くなっています。

 

 

 

 

これにさらに修正を加えたのが下図です。

 

平均値が上昇しています。

新しい平均値(赤の破線)は従来の平均値(赤の細い実線)より上に
スライドしています。翻訳者(志望者も含む)の総数は増えつつ、
平均レベルが上昇し、全体としてハイレベル化していることを示しています。

 

 

 

 

これにマーケット(ニーズ)の大きさ(パイ)に変化が無いことによる、
市場参入レベルの状況を付け加えたのが下図となります。

 

2つの紫の実線が上方向にかなりスライドしていることが分かります。

 

新しいEntry Levelより上の三角形部分(斜面が破線、底辺が緑の実線)だけが、
稼働対象となるプロの特許翻訳者を示しています。

 

業界のレベルが上がれば、緑の底辺(実線)が上方に平行移動し、
三角形の面積はさらに縮退することになります。

 

 

 

 

すでにプロとして稼働している翻訳者がトライアルを受け直したときに、
以前よりレベルが上昇しているため、必ずしも合格できるとは言えないのは
このためです。

 

新しい状況に対応できず、廃業に追い込まれるベテランが一定数いることも

これに関係していると見ています。

 

加えて、常に顧客の高まるニーズというプレッシャに晒されている
コーディネータにしてみれば、現在の一軍の中にもリストラしたい人が
一定数存在するはずです。

 

上側の紫の実線より上のレベルがトライアルで発掘できれば、
使えない一軍をリストラしてフレッシュな新人とスワップしたいと考えるはずです。

 

文句なしのトライアル合格レベルとは、このレベルです。

 

 

 

翻訳者を目指す人へのアドバイス

 

まず、業界の状況は今後、厳しくなることはあってもその逆はないだろう
ということです。それを前提とすると、期限を決めて極限まで努力し
ダメだったら転進することも考えるべきだと思います。

 

だらだらと5年、10年と「ワナビー」(夢子)を続けるのは人生の浪費です。
一度しか無い人生、たかだか数十年の人生ですから、貴重に使いたいものです。

 

お花畑スキップを続けてはいけません。

 

 

 

 

それにお金儲けが目的なら、他のビジネスもあります。
不要品販売、転売、せどり、アフィリエイト、コンサルなどのネットビジネスも
個人でできる時代です。自分の適性にあったものを選べばいいと思います。

 

 

もう一つは、英語力を通訳か翻訳か、という狭い世界で使おうとしないで、
もっと視野を広げるべきでしょう。

 

例えば、IT翻訳にコピーライティングを組み合わせれば
新しい需要を生み出せる可能性があります。
講座では「翻訳力を再解釈してブルーオーシャンを狙え」と言っています。

 

極限まで努力する、期限を決めて努力する。反対解釈として、
適当で中途半端な努力を延々と続けて人生を浪費してしないで欲しいと思います。

 

 

本講座ではかって有料で販売していた「ビデオセミナーを300本」
まとめてプレゼントしています。無料です。

 

 

 

 

このうち100本程度を1か月で集中的に視聴してみてください。
このときの努力量の10倍を1年で集中投下できれば、
かなりの高確率でプロになれます。

 

もしこれは無理だ、2~3年でプロとしてやっていけそうもないし、
そんな努力はできそうもないというのなら諦めましょう。
その判断材料として是非、ビデオ300本プレゼントに応募して頂きたいと思います。

 

叶わぬ夢に何時までもしがみついているのは人生の無駄です。
さっさと挑戦してさっさと決断し次のステージへいきましょう。

人生は短いのですから。

 

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